こいちゃ![R-18]

蒼い色鉛筆

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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。

短編 クリスマス・イブ

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燃夏モカくんとお付き合いするように
なってから楽しみになったイベントは
沢山増えたけど、そのうちの一つが
クリスマスだと思う。

「ふふ~ふふん♪」

由海広ユミヒロは鼻歌混じりのご機嫌な様子で
こじんまりしたクリスマスツリーに
飾りつけをしていく。

年季が入っており、多少葉っぱが
落ちているがまだまだ現役ツリーだ。
初めて二人でクリスマスを迎えた時に
モカくんが意気揚々と買ってきて
くれた思い入れのあるツリーなのだ。

最初はとても照れくさかった。
独り身の時は日常と変わらず過ごして
きたのに、この年でおじさんになって子供のように
はしゃぐのはどうかと思ったけど、
屈託のない笑顔のモカくんを見たら
気にならなくなった。

そして今は楽しみにしつつ
雪の代わりにふわふわの綿や
飾りのキャンディやプレゼント、
良い感じにLEDライトを巻きつける。
コードが足に絡まらないように
隅っこにある上に最長30センチとは
思えない迫力と存在感だ。
いい仕事した…っ!

「ふふふふん♪」

チカチカと楽しげにライトの色が
変わるツリーを眺めて満足気に笑う。
いいバランスを保つてっぺんの星を
特に意味はないけどつんつんつつく。

ガチャッ

「はーー、海さんただいまー。」

「おかえりーっ。」

玄関の扉から滑るように一直線で
モカくんがリビングに現れた。
指先を紅くした両手にはエコバッグ
いっぱいの買い物を提げている。
氷点下を下回るという予報を受けて
かなり厚着の防寒をさせたが
額も鼻先も真っ赤になっていた。
見てるだけで相当寒そう…。
贅沢に暖房を上げておいて良かった。

しかし荷物をその場に置いた彼は
真っ直ぐ私の前まで歩いてくる。
マフラーにコート、ニット帽で
厚着されすぎて身動きが
取りにくいようで、よちよち不慣れに
歩いてくる姿はなんだかとても
可愛らしかった。

特に考える必要もなく両手を広げて
彼を抱きしめる。

「は~~っ♡やっと帰ってきたって
実感します…。海さん暖かい…。」

「お疲れさま♡買い物ありがとー。」

冷えきったコートの上から手で擦り
もっと強く抱きしめて熱を与える。

「シャワー入るなら着替え用意
しよか?それともココア淹れよか?」

「んー。キスしてくれたら
俺すごく暖まります。」

「ふふ、そうなんだ。」

甘える彼にはにかみつつ、
紅くして冷たい唇にキスをする。

「ん…ん、む、…♡」

氷のような口づけだが、しなやかに
口内に侵入してきた彼の舌先は
溶けそうなほどに熱い。

「ふあっ…あ、ん…ちゅ…♡ちゅく…」

私はそれほど寒さを感じていなかった
のに、モカくんの温かさが心地よくて
離れることが出来ない…。
いやむしろ、しがみつくほど
熱烈なキスに夢中になってしまう。

「はぁ…ん、ちゅ…んん…♡」

口内に吸い付くようなキスが
きもちよくて酔いしれてしまい、
思考がぼやけてきた…。

「…………。」

「んむ…ん、ん…?ふぁ…」

うっかり私の方が流されそうになると
彼がそっと体を離した。

「これ以上はまじで勃ちます。」

潤んだ緑の瞳はキラキラ輝いて
とってもセクシーだった。

「う、うん…。そうだね。」

既に半勃ちしてますとは言えずに
隠して、慌てて背を向ける。

「え、えーと。夕飯のパーティー
ですが、半分くらいが惣菜です。」

「うん、あ、ありがとう。」

まだ火照る唇を指でなぞりながら
答えた。お互い仕事があるので
全て手作りという訳にはいかなかった。
それでも十分楽しい。

「あと、頼まれてた換気扇の油汚れ
落としに窓拭き用の洗剤…などなど
買ってきましたが…あれ?
ツリーもそうですけど、いつもより
部屋が綺麗ですね?」

「ふふふん。おじさんもやる時は
頑張るおじさんさっ!」

不思議そうに部屋を見渡す
モカくんに存分にどや顔を見せた。
外で凍えて買い物をしてくれる
彼の分まで張り切って年末へ向けて
大掃除をしたのだ。
床はピカピカ、家電はつるつるだ。
…それでも外出には勝てないので
本当に感謝してる。
だけど私に甘い彼は私を褒めてくれる。

「そうだったんですね。
ありがとうございました♡
クリスマスの準備だけじゃなくて
掃除までしてくれたなんて…。」

「う、ううん。こちらこそ
買い物ありがとうだよ。」

「あ、そうそう。あともう一つ
美味しそうなケーキがあったので…
買ってしまいました。」

「ほ、ほんとに!?予約した分と
合わせて2ホール目だよ…!?」

言いにくそうに苦笑いした彼は
そっとワンホールケーキを袋から
チラ見させた。
チョコレートたっぷりの甘そうな。
ううん、私は甘いものは
食べられないからただ純粋に驚き
なんだけど、モカくんの甘い物好きは
真剣なんだなと改めて思う。

「実は合計三つあります。」

「ま、まだ出てくるのかっ!」

今度はチーズケーキか!?と身構える。
しかし彼が取り出したのは
生クリームのスプレーだった。

「三つ目は海さんです♡」

「………っ!!」

あ、あぁ去年もやったやつ…。
そう言えば随分気に入ってたね…。
安心したような、
不安要素が増えたような…。
微妙な顔になってしまう。

「ケーキはいくらでも食べられます
けど、今日と明日まで時間を掛けて
じっくり食べることにします。
もちろん海さんのこともですよ?♡」

「あぅ…お手柔らかにお願いします…」

生クリームはベタベタして
あまり心地いいとは言えないけど、
嬉しそうに舐めとるモカくんの笑顔や
砂糖細工のように甘くなる舌で
キスをしてもらうのは好きだ。

「たっぷり優しくしますからね♡」

「また濃いクリスマスになりそうだね」

自然と束の間の休息ということになり
ソファーに並んで座った。
コートを脱いだ彼がぎゅっと肩を
抱いてくれる。

「以前は…覚えてる限り殆ど楽しい
クリスマスなんてなかったですから
俺、今すごいはしゃいでます。
ただぼんやりと…微かな記憶を辿って
ツリーを飾って、ご馳走を食べて
プレゼントを心待ちにする、
一番楽しかった思い出を
あなたと二人で分かち合うことが
出来て本当に幸せです。」

同時に辛い記憶も思い出して
いるようで、しみじみと語った。

「うん…。うん。そうだね。」

「そう言えば…海さんは小さい頃
どんな風にクリスマスを過ごし
たんですか?なんだか俺の暴走に
付き合わせてる気がしますけど普通
こんな感じで合ってるんでしょうか?」

「うーん…うん。同じだと思うよ。
昔のことあまり覚えていないんだ。
その、もうおじさんだから記憶が
古くてね。」

「んふ、同じなら安心しました。
クリスマスイブだけでもワクワク
するのに…明日は海さんの誕生日
ですね。明日も盛大にお祝いさせて
くださいね。」

「うぅ…33歳になるおじさんを…?」

「俺にとっては33でも66でも
海さんが生まれてくれた大切な日
ですから感謝させてください♡」

実年齢の現実に直面してブルーに
なりかけた気持ちがほわわっと
軽くなり照れて桃色になる。

「毎年ありがとう…♡」

「いえ、とても楽しみですね。
二日続けて目一杯あなたを
愛することが出来るんですから♡」

「………♡」

今年も彼は手を抜くつもりは
ないらしい…。…嬉しい。

「さて、少し早いですが夕飯の
仕込みもしておきましょうか。
あ、プレゼントは明日渡しますね。」

「うん、ありがとう。
でもそれならまだ昼過ぎから…
そんなに急ぐ必要あるかな?」

「夜を長く使いたいですから♡
ベッドでゆっくり暖まりたいです♡」

「…!そ、そゆこと…。」

色々察して、重い腰を上げる。
せっかく彼もやる気だから
楽しんだもの勝ちだよね。

「よーし…がんばるぞーっ…!」

残りの掃除を目一杯頑張ったあとは
二人きりではしゃいで、テレビを
見たり無礼講でちょっとふざけたり。
ご馳走に囲まれて一番美味しい紅茶を
堪能して過ごして…朝までたっぷり
濃い時間を楽しんだ。

メリークリスマス♪






ーーーーーーー
作者こめんと

今日も冷え込みますが、
ご予定のある皆さまはクリスマスを
沢山楽しんでくださいね♪
予定がなくてもいつもより
美味しいご飯やケーキで
イベント気分を楽しんで、
素敵なイブになりますように♪♪

………え?作者の予定ですか?
何も無いですよ?自宅待機ですよ?
え?友達恋人?いませんが?(白目)
夕飯の予定?肉なしお好み焼きですよ?
お好み焼き好きだから全然ノーダメで
ハッピーですよ?
プレゼント?いい子じゃないので
久しく貰っておりませんけど?
…ぐすん。(つよがり)
作者の分まで…皆さまに、
楽しいことがありますように。
読んでくださって
ありがとうございました(´;ω;`)

追伸

明日は海さんの誕生日短編が
投稿されると思います。
(作者が元気なら多分(T_T))
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