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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。
もっと…深くまで 前編
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朝夜の寒さは厳しいけれど、
日中は仄かに暖かくなってきた。
由海広は部屋のカーテンを開け放ち、
朝日の降り注ぐ快適なソファーに
もたれてエスプレッソを啜る。
隣の定位置に燃夏の姿はない。
「………。」
今日の予定は何もなし。
たまにはそんな休日もいいものだ。
ご飯を食べて、ゆっくり映画を観て
二人だけの時間を余すことなく使う。
しかしモカくんは…昨日から変だ。
夜、布団の中で明日の予定を尋ねたら
彼は言いにくそうに「宅配があるから」
という理由で家に留まることにした。
そして朝からそわそわ、時計を気にする。
私より宅配のほうがいいの…?いやいや、
年上としても、おじさんとしても
数時間構ってもらえないだけで
そんな拗ね方はあまりにみっともない。
頭を左右に振って、余裕の姿で
マグカップを傾けるが、
下唇を噛んでいて上手く飲めなかった。
そうだ、さりげなく会話に繋げよう。
「モカくん…?その、映画はどうする?」
「……えっ?すみません、何ですか?
もう一度お願いします。」
「…んーん、コーヒー美味しいよ。」
「…それは良かったです。」
やっぱり彼は忙しいんだ。
今別の用事に時間は割けない…んだから。
構ってちゃんな自分に言い聞かせる。
でも…だけど声を掛けても上のそら…。
「………?」
こっち来て、隣に来て。
微笑んでほしい、抱きしめてほしい…。
出来ないことばかり強く願う。
嫌な妄想ばかりモヤモヤ考えてしまう。
もしかして…もしかしておじさん…
「…うーみさん。」
「わっ…!?」
悶々としてソファーの上で
縮こまっていると、ふいに後ろから
声を掛けられた。
びっくりしてマグカップを
溢さなかったのは奇跡かも…。
期待と驚きでドクドク早まる胸を押さえた。
「ど、どうしたの?宅配まだだよね?」
「えっ…?すみません、俺…海さんから
見ても宅配に気をとられてたんですね。」
年上のおじさんが構ってもらえなくて
拗ねてるなんて、悟られたくない。
爽やかな笑顔を曇らせた彼に
慌てて弁明する。
「ん、んーんっいいんだよ。
大事な物なんでしょ?気にしな…んむ。」
しかし彼は背後からそっと顔を寄せて
キスをした。いつもの、優しいキス…。
「ワガママばかりですみません…でも今
海さんに甘えてもいいですか?」
「…うん、おいで。」
ぽーっと頬が熱くなる。
言葉巧みな彼が気を使ってくれたのか…?
そうだとしても、触れてもらえるのは
正直に嬉しい。
「ん…」
ソファーを回り込んで、いつもの場所に
腰かけたモカくんは私の体をそっと
押し倒して綺麗な瞳でじっと見つめた。
「海さん、実は俺………」
ピンポーン
「……っ!!」
なんて意地悪なチャイムだろう。
言葉の続きを、真剣に待っていたのに…!
怒りの感情をなんとか理性で鎮め
落ち着こうと深呼吸をする。
「も、モカくん、チャイムだよ…?」
おそらく、彼の荷物だろう。
中々動かないので肩をトントン叩く。
「………。」
あんなに待ちわびたのに…
少し不機嫌そうにモカくんは
玄関の方へ歩いていった。
「……うー…。」
もそもそと乱れはだけた衣類を整える。
ちょっぴり抱きしめてもらっただけなのに
胸がぎゅっと締めつけられるようだ。
心音もドキドキ高鳴って、嬉しい気持ちを
現している。
触れてくれたモカくんは
普段と何も変わらなかった。
おかげで変な妄想も吹き飛んでしまい、
いつの間にかニコニコ笑顔になっている。
我ながら単純だ…。
紅くなった頬を冷ますために
ぺたぺた顔に手を当てていると…
「海さんっ!届きましたよっっ!」
「ふわっ!?」
めちゃくちゃ上機嫌なモカくんが
段ボールを抱えて玄関から走ってきた。
驚いて思わず一歩、後ろに後退する。
さっきよりも彼の笑顔は
キラキラ輝いて眩しいくらいだ。
すっぽり定位置に腰かけて、
素早い手つきで箱を開ける。
「………?」
そろり、横から覗いて開封を見守った。
小さな箱に丁寧に包まれたそれは…?
「?…マドラー?」
「いいえ、尿道プラグです♡」
「えっ!?!?」
つづきます→
日中は仄かに暖かくなってきた。
由海広は部屋のカーテンを開け放ち、
朝日の降り注ぐ快適なソファーに
もたれてエスプレッソを啜る。
隣の定位置に燃夏の姿はない。
「………。」
今日の予定は何もなし。
たまにはそんな休日もいいものだ。
ご飯を食べて、ゆっくり映画を観て
二人だけの時間を余すことなく使う。
しかしモカくんは…昨日から変だ。
夜、布団の中で明日の予定を尋ねたら
彼は言いにくそうに「宅配があるから」
という理由で家に留まることにした。
そして朝からそわそわ、時計を気にする。
私より宅配のほうがいいの…?いやいや、
年上としても、おじさんとしても
数時間構ってもらえないだけで
そんな拗ね方はあまりにみっともない。
頭を左右に振って、余裕の姿で
マグカップを傾けるが、
下唇を噛んでいて上手く飲めなかった。
そうだ、さりげなく会話に繋げよう。
「モカくん…?その、映画はどうする?」
「……えっ?すみません、何ですか?
もう一度お願いします。」
「…んーん、コーヒー美味しいよ。」
「…それは良かったです。」
やっぱり彼は忙しいんだ。
今別の用事に時間は割けない…んだから。
構ってちゃんな自分に言い聞かせる。
でも…だけど声を掛けても上のそら…。
「………?」
こっち来て、隣に来て。
微笑んでほしい、抱きしめてほしい…。
出来ないことばかり強く願う。
嫌な妄想ばかりモヤモヤ考えてしまう。
もしかして…もしかしておじさん…
「…うーみさん。」
「わっ…!?」
悶々としてソファーの上で
縮こまっていると、ふいに後ろから
声を掛けられた。
びっくりしてマグカップを
溢さなかったのは奇跡かも…。
期待と驚きでドクドク早まる胸を押さえた。
「ど、どうしたの?宅配まだだよね?」
「えっ…?すみません、俺…海さんから
見ても宅配に気をとられてたんですね。」
年上のおじさんが構ってもらえなくて
拗ねてるなんて、悟られたくない。
爽やかな笑顔を曇らせた彼に
慌てて弁明する。
「ん、んーんっいいんだよ。
大事な物なんでしょ?気にしな…んむ。」
しかし彼は背後からそっと顔を寄せて
キスをした。いつもの、優しいキス…。
「ワガママばかりですみません…でも今
海さんに甘えてもいいですか?」
「…うん、おいで。」
ぽーっと頬が熱くなる。
言葉巧みな彼が気を使ってくれたのか…?
そうだとしても、触れてもらえるのは
正直に嬉しい。
「ん…」
ソファーを回り込んで、いつもの場所に
腰かけたモカくんは私の体をそっと
押し倒して綺麗な瞳でじっと見つめた。
「海さん、実は俺………」
ピンポーン
「……っ!!」
なんて意地悪なチャイムだろう。
言葉の続きを、真剣に待っていたのに…!
怒りの感情をなんとか理性で鎮め
落ち着こうと深呼吸をする。
「も、モカくん、チャイムだよ…?」
おそらく、彼の荷物だろう。
中々動かないので肩をトントン叩く。
「………。」
あんなに待ちわびたのに…
少し不機嫌そうにモカくんは
玄関の方へ歩いていった。
「……うー…。」
もそもそと乱れはだけた衣類を整える。
ちょっぴり抱きしめてもらっただけなのに
胸がぎゅっと締めつけられるようだ。
心音もドキドキ高鳴って、嬉しい気持ちを
現している。
触れてくれたモカくんは
普段と何も変わらなかった。
おかげで変な妄想も吹き飛んでしまい、
いつの間にかニコニコ笑顔になっている。
我ながら単純だ…。
紅くなった頬を冷ますために
ぺたぺた顔に手を当てていると…
「海さんっ!届きましたよっっ!」
「ふわっ!?」
めちゃくちゃ上機嫌なモカくんが
段ボールを抱えて玄関から走ってきた。
驚いて思わず一歩、後ろに後退する。
さっきよりも彼の笑顔は
キラキラ輝いて眩しいくらいだ。
すっぽり定位置に腰かけて、
素早い手つきで箱を開ける。
「………?」
そろり、横から覗いて開封を見守った。
小さな箱に丁寧に包まれたそれは…?
「?…マドラー?」
「いいえ、尿道プラグです♡」
「えっ!?!?」
つづきます→
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