こいちゃ![R-18]

蒼い色鉛筆

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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。

覗いちゃダメだよ 前編

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喫茶店の外は、地面を貫くような激しい雨。

まだ夕方なのに、真っ暗な夜みたいな
雨雲が空いっぱいに広がっている。

帰宅時間で歩道にはスーツ姿の人たちが
傘をさしたり鞄を頭に、皆走ってる。

これは…帰れるかなぁ…?

由海広ユミヒロは窓から空を見上げた。

冬の雨は厄介だ…。
降ってきたら一気にびしょ濡れ。
全身冷えてあっという間に風邪を引く。

温かい店内に感謝して、冷めないうちに
アールグレイの紅茶を味わう。

うん、今日も美味しい。

「…に、助かりました。
海さんが迎えに来てくれなかったら
俺、凍えてました。」

「んっ?」

正面のテーブルでハンバーグ定食の
おかずに豚カツを頼む燃夏モカくんの方を見た。

相変わらず気持ちいいくらい食べる。

おじさんはさっぱり和風定食で満腹だ…。

「んっ、良かった。でも職場まで
押し掛けて…迷惑じゃなかった?」

「全然!むしろ、恋人が迎えに
来てくれるって幸せなことですね。」

「そ、そうだね…よ、よかった。」

言葉以上に彼のキラキラ輝く笑顔に照れる。
でも本当に喜んでくれたみたい、安心した。

表情を誤魔化してティーカップに口をつけ
窓の外をチラリと見た。

…昼過ぎから雨は長く続いてる。
朝確認した天気予報では晴れだったので…
二人とも傘は持っていなかったが、
私は突然の雨の日に備えて
会社に置き傘をしていた。

モカくんはどうかな、と思い連絡したら
「それじゃ一緒に帰りましょう!」と
返事をしてくれた。それから折角なので
久々に喫茶店で外食することが決まった。
そして今現在、雨宿りをしている…。

「たまには外食もいいですよね。だって…」

「うん?」

意味深な小声に、顔を近づけて聞いた。

「家に帰ってから海さんを
抱きしめる時間が増えますからね♡」

「っ!」

びっくりして目を見開く。

当の本人は…さっぱり爽やかスマイルだ。
ずるい…かっこいい…!

「も、もう…っ!」

「ふふ、すみません♡」

「う、うん…。」

恥ずかしさで顔を背けたけど
彼の言うことを考えると確かに…
それは…私も嬉しいことだから…。

「……そういえば」

「んぅ?」

仕事のこと、買い出しのことを色々
話してる途中で、ライスのおかわりを
頼んだモカくんが思い出したように呟いた。

「そういえば海さん、
昼は外に出てましたね。商談ですか?」

「え?昼?」

「なんか…数人と歩いてたみたいですけど」

「うーん…?心当たりないなぁ。
今日は会議と書類点検で缶詰めだったよ?」

「あれっ?見間違いですかね?
…言われてみたら、似てただけのような
気がします。俺、一日中海さんに
会いたいな、とか考えてるせいですかね。」

「ふふっ、家ではいつも一緒でしょ?」

「それもそうですね、ふふ。」

「んふふ。」

彼の照れ笑いにつられて和む。

お茶のおかわりはほうじ茶にした。
体の内側からぽかぽか温まる…。

もう一度窓の外を見ると雨はさっきより
勢いを増して地面を跳ねている。

傘をさしていても店を一歩出たら…
ぱんつまでびしょ濡れになりそうだ。

「雨、止まないね。」

ちょっと憂鬱で、愚痴みたいに呟く。

「本当だ…。帰ったらお風呂ですね♡」

食事を終えたモカくんは満足そうだけど
やはりどこか、意味深な感じだ。
普通の会話なのに…モカくんが言うと
ちょっとえっちに聞こえてしまう…。

「そ、そうだね。」

「一緒に入りましょうか。」

「ふぁっ…!?う、うん…。」

なるべく意識しないように返事を
したのに、そんなこと言われたら
期待してしまって、すごい雨なのに早く…
家に帰りたくなってしまう…。

「…………。」

アプリを使って、一番早く帰れる
バスの時間を確認した。







「ふーー…。」

さっぱりほこほこだ…。

部屋のカーテンを閉める前に
窓から空を見上げるとようやく
雨は小降りになっていた。

バスに乗るまでに二人で
びっしょりになってしまったので
ちょっとタイミングを逃した気もするけど…
明日には止むといいな。

湯船にしっかり浸かって温まったところで
コーヒーを淹れた。

これで体の内も外も完璧に温まる…。

ウキウキの足取りでソファーに腰掛け、
二人でニュースを眺める。

「海さん、寒くないですか?」

「うん、もう大丈夫。ありがとね。」

隣でココアを飲むモカくんと一緒に
お風呂に入ったけど、想像以上の雨の
激しさに冷えきった私を心配してくれて、
二人共ほっこり湯船で温まっただけだった。

「あー、明日も寒くなるみたいですよ。」

天気予報を見てモカくんが残念そうに言う。

「雨のあとって寒くなるよねー。」

「今夜も冷えそうですね。押し入れから
毛布もう一枚引っ張り出しましょうか。」

「うーん…そうだね、それもいいけど…」

ふと、今考えたタイミングでさっきの
喫茶店で恥ずかしいこと言われて
赤面したことを思い出す。

それからいつになく頭も冴え渡り
…ちょっとしたお返しまで思いついた。

「また、あとで考えよっか。」

「へ?それは…いいですけど、
…何か企んでいませんか?」

勘の鋭いモカくんは、
私の顔をじっと見て尋ねた。

「ふふふ、あとで、のお楽しみ♡」

そっと指を絡めて手を繋いだ。

「うんん…。」

何が起こるのか…ちょっと気になる
様子だけど、彼は握り返してくれた。

夜が更けるのが楽しみだ。





つづきます→
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