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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。
好きな人の好きなとこ。 燃夏サイド
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今日の客は散々だった。
燃夏は仕事帰りに、ほんの少し
ナイーブな気持ちになっていた。
由海広さんも買い物に行ってるので
一人寂しい帰り道。
嫌でも思い出してしまう…。
客は気難しい相手だとは聞いていた。
だからスーツも一番いいやつを選んで
身だしなみに気をつけて、何日も前から
海さんに色々アドバイスをもらったりして
対応に気を付けてきた。
その相手が俺を見た第一声が
「なんだその頭髪は!!」
髪のわびしい肥えた体型の男性が
女性のような金切り声で叫んだ。
お客様相手に、あなたは俺の先生ですか?
なんて聞きそうになった。
俺、先生兼恋人いるんで間に合ってます…。
しかしこれは地毛です。と答えた。
必要ないけど頭を下げて謝った。
毛質の問題か、体質の関係か黒に染めると
かぶれたりまだらだったりと
職場でも不評なのだ。
元々変わった髪質なので周囲では現状に
慣れてしまい、この反応がむしろ
懐かしく感じた。
対応中も散々、主に見た目をつつかれた。
好奇の眼差しで、よかれと思って、
押し付けられるのは単純に疲れる…。
二時間かけて契約はなんとか成立した。
言いたいことを喚いた客は
満足してお帰り下さった。
それなら、もう考えることはない。
他人に関心が薄いため、なおさら
さっぱり忘れてしまえばいいんだけど…。
しかし、あぁやって俺の全てを否定する
動物のことを思い出してしまう。
暗い部屋で扉前で耳を塞ぐ。
部屋の向こうではチチオヤが騒ぐ。
俺は失敗作だった、
育てなければ良かったと。
チチオヤと客がだぶる。
頭を左右に振る。
今は違う。
あのときとは違うんだ。
今は、恋人がいるんだ。
しょげているよりも、彼と話したい。
彼の肩を抱いて、
関係ないことを沢山話そう。
それだけで、めちゃくちゃ元気でるから…
帰り道、早足で帰宅を急いだ。
それから自宅で沢山話を聞いてもらって
温かいご飯を食べて、
海さんと肩を並べてテレビを眺める。
こんなに幸せなのに、俺はまだ女々しく
客の暴言が頭から離れない。
終わったことだと、今そんなこと考えても
仕方ないと自分に言い聞かせる。
そして、気を紛らわせようと彼を見た。
おっとりした笑顔がかわいい。
ギャグを言うと、くすくす笑う。
白髪混じりのサラサラした黒髪から覗く
…耳たぶがちらりと見えた。
ふっくら、もちもちしている。
昔のカノジョにもいたような
いなかったような。
いたわ。福耳だってすごい自慢してた。
どうでもいいけど。
海さんの耳たぶはどうでもよくない。
マシュマロ、いや温かいおもちだな。
…触りたい。すごい触りたい。
見つめてるうちに勝手に腕が伸びた。
ふにふに、ふにふに
「わひゃっ」
ぷるっと身を震わせて
びっくりする表情がかわいい。
最早手が止まらない。
海さんの耳たぶ。
何これ癖になる。
柔らかい。もちもち。ふにふに。
流行りのすくいーず?みたいだ。
「…くん、……かな?」
いや、温かい分指先が癒される。
何これ一生触ってられる。
柔らかい、気持ちいい。
「あの、…モカくん?」
「…!」
はっと我に返る。
気づかずに没頭していた。
「ぁ、あぁすみません。集中してました。」
あ、びっくりさせてたみたいだ。
彼の表情が驚いたものから、
ほっとした様子に変わる。
しかし指は耳たぶから離れない。
中毒性がある。離せない。気持ちいい。
「海さん…福耳、ですね。」
「そうかな?…意識したことないなぁ。」
「すっ…ごい触り心地いいです…。」
キスするときや、抱き締めるときに
何度も触れたりキスもした。
だけど、俺もあまり意識してなかった。
こんなお宝放っておいたなんて…。
「あ、ありがとう…」
それに、好きなように触らせてくれる
彼にきゅんとしてしまう。
褒めると顔から耳まで真っ赤だ♡
「あ、海さん耳まで赤い。」
「……っっ!」
目をつむるとますます紅さが濃くなる。
反応がかわいすぎる。
今、ドキドキしてくれてるのかな。
「も、モカくんだって…っ!」
ぎゅ、と耳たぶを触り返される。
ちょっと驚いたけど照れてるのを
誤魔化してるんだな、と思うと愛しい。
「俺の耳、ピアスの痕だらけで歪だし
薄くて皮みたいでつまらないですよ?」
海さんと違って。
あぁ、関係ない話のはずが、ちょっと
客のこと引きずってネガティブに
なってしまう。
肯定が欲しい構ってちゃんに見えて、
重いと思われたかな…。
ネガティブがネガティブを呼ぶ。
だけど…海さんは目を輝かせた。
真剣な眼差しで耳たぶをふにふにしてる。
「すべすべしてて、綺麗だよ。私…、
モカくんの耳たぶ、好きだな。」
「…っ!あ、ありがとう、ごさいます。
お世辞でも、そう言われると、嬉し…」
「?別にお世辞じゃないよ?」
「……っ。」
やばい、俺まで顔があつい。
絶対赤くなってる…。
「海さん、俺のこと贔屓にしすぎです。」
勘違いしちゃいけない。
俺が綺麗なところなんてないし、
彼は俺より大人だから、
そういってくれてるだけであって…っ。
自分に言い聞かせていると、
海さんは俺の好きな笑顔を見せてくれる。
「それならモカくんだって。
ふふ、それに、贔屓をしちゃうのは
モカくんのことが好きだからだよ。」
「……っ!」
い、今のは心臓にきた…っ、
くらっと、どきっと…っ!
本心からの言葉と思うと
込み上げる嬉しさがやばい。
綺麗と言われるのが好きなんじゃない。
好きな人に好きだと言われるのが嬉しい。
恋人勘定で甘めに見られてても、
俺のこと、好きでいてくれてるって
自覚するのがやばい。とにかくやばい。
幸せすぎる。
「…反撃が重すぎますっ…!」
いつもは俺が余裕をなくさせるのに。
ふわりと微笑む海さんに敵わない。
元気ないってばれたのかな。
今は下半身重点的に元気なんだけど。
耳たぶに触れる腕を引き剥がし、
キスをした。
後編につづきます→
燃夏は仕事帰りに、ほんの少し
ナイーブな気持ちになっていた。
由海広さんも買い物に行ってるので
一人寂しい帰り道。
嫌でも思い出してしまう…。
客は気難しい相手だとは聞いていた。
だからスーツも一番いいやつを選んで
身だしなみに気をつけて、何日も前から
海さんに色々アドバイスをもらったりして
対応に気を付けてきた。
その相手が俺を見た第一声が
「なんだその頭髪は!!」
髪のわびしい肥えた体型の男性が
女性のような金切り声で叫んだ。
お客様相手に、あなたは俺の先生ですか?
なんて聞きそうになった。
俺、先生兼恋人いるんで間に合ってます…。
しかしこれは地毛です。と答えた。
必要ないけど頭を下げて謝った。
毛質の問題か、体質の関係か黒に染めると
かぶれたりまだらだったりと
職場でも不評なのだ。
元々変わった髪質なので周囲では現状に
慣れてしまい、この反応がむしろ
懐かしく感じた。
対応中も散々、主に見た目をつつかれた。
好奇の眼差しで、よかれと思って、
押し付けられるのは単純に疲れる…。
二時間かけて契約はなんとか成立した。
言いたいことを喚いた客は
満足してお帰り下さった。
それなら、もう考えることはない。
他人に関心が薄いため、なおさら
さっぱり忘れてしまえばいいんだけど…。
しかし、あぁやって俺の全てを否定する
動物のことを思い出してしまう。
暗い部屋で扉前で耳を塞ぐ。
部屋の向こうではチチオヤが騒ぐ。
俺は失敗作だった、
育てなければ良かったと。
チチオヤと客がだぶる。
頭を左右に振る。
今は違う。
あのときとは違うんだ。
今は、恋人がいるんだ。
しょげているよりも、彼と話したい。
彼の肩を抱いて、
関係ないことを沢山話そう。
それだけで、めちゃくちゃ元気でるから…
帰り道、早足で帰宅を急いだ。
それから自宅で沢山話を聞いてもらって
温かいご飯を食べて、
海さんと肩を並べてテレビを眺める。
こんなに幸せなのに、俺はまだ女々しく
客の暴言が頭から離れない。
終わったことだと、今そんなこと考えても
仕方ないと自分に言い聞かせる。
そして、気を紛らわせようと彼を見た。
おっとりした笑顔がかわいい。
ギャグを言うと、くすくす笑う。
白髪混じりのサラサラした黒髪から覗く
…耳たぶがちらりと見えた。
ふっくら、もちもちしている。
昔のカノジョにもいたような
いなかったような。
いたわ。福耳だってすごい自慢してた。
どうでもいいけど。
海さんの耳たぶはどうでもよくない。
マシュマロ、いや温かいおもちだな。
…触りたい。すごい触りたい。
見つめてるうちに勝手に腕が伸びた。
ふにふに、ふにふに
「わひゃっ」
ぷるっと身を震わせて
びっくりする表情がかわいい。
最早手が止まらない。
海さんの耳たぶ。
何これ癖になる。
柔らかい。もちもち。ふにふに。
流行りのすくいーず?みたいだ。
「…くん、……かな?」
いや、温かい分指先が癒される。
何これ一生触ってられる。
柔らかい、気持ちいい。
「あの、…モカくん?」
「…!」
はっと我に返る。
気づかずに没頭していた。
「ぁ、あぁすみません。集中してました。」
あ、びっくりさせてたみたいだ。
彼の表情が驚いたものから、
ほっとした様子に変わる。
しかし指は耳たぶから離れない。
中毒性がある。離せない。気持ちいい。
「海さん…福耳、ですね。」
「そうかな?…意識したことないなぁ。」
「すっ…ごい触り心地いいです…。」
キスするときや、抱き締めるときに
何度も触れたりキスもした。
だけど、俺もあまり意識してなかった。
こんなお宝放っておいたなんて…。
「あ、ありがとう…」
それに、好きなように触らせてくれる
彼にきゅんとしてしまう。
褒めると顔から耳まで真っ赤だ♡
「あ、海さん耳まで赤い。」
「……っっ!」
目をつむるとますます紅さが濃くなる。
反応がかわいすぎる。
今、ドキドキしてくれてるのかな。
「も、モカくんだって…っ!」
ぎゅ、と耳たぶを触り返される。
ちょっと驚いたけど照れてるのを
誤魔化してるんだな、と思うと愛しい。
「俺の耳、ピアスの痕だらけで歪だし
薄くて皮みたいでつまらないですよ?」
海さんと違って。
あぁ、関係ない話のはずが、ちょっと
客のこと引きずってネガティブに
なってしまう。
肯定が欲しい構ってちゃんに見えて、
重いと思われたかな…。
ネガティブがネガティブを呼ぶ。
だけど…海さんは目を輝かせた。
真剣な眼差しで耳たぶをふにふにしてる。
「すべすべしてて、綺麗だよ。私…、
モカくんの耳たぶ、好きだな。」
「…っ!あ、ありがとう、ごさいます。
お世辞でも、そう言われると、嬉し…」
「?別にお世辞じゃないよ?」
「……っ。」
やばい、俺まで顔があつい。
絶対赤くなってる…。
「海さん、俺のこと贔屓にしすぎです。」
勘違いしちゃいけない。
俺が綺麗なところなんてないし、
彼は俺より大人だから、
そういってくれてるだけであって…っ。
自分に言い聞かせていると、
海さんは俺の好きな笑顔を見せてくれる。
「それならモカくんだって。
ふふ、それに、贔屓をしちゃうのは
モカくんのことが好きだからだよ。」
「……っ!」
い、今のは心臓にきた…っ、
くらっと、どきっと…っ!
本心からの言葉と思うと
込み上げる嬉しさがやばい。
綺麗と言われるのが好きなんじゃない。
好きな人に好きだと言われるのが嬉しい。
恋人勘定で甘めに見られてても、
俺のこと、好きでいてくれてるって
自覚するのがやばい。とにかくやばい。
幸せすぎる。
「…反撃が重すぎますっ…!」
いつもは俺が余裕をなくさせるのに。
ふわりと微笑む海さんに敵わない。
元気ないってばれたのかな。
今は下半身重点的に元気なんだけど。
耳たぶに触れる腕を引き剥がし、
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