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34話.おっさんに会ったよ

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 2度目の形成手術にあたって、呪詛師は興味無さそうだよ。
 むしろどんどんやってくれって、思ってるのかもしらん。
 寿命を縮めて、呪詛毎消えてくれるのを、待ってるんだと思う。
 凄~くムカつくけど、私だって多分そう願うだろうなって、気持ち分かっちゃうから余計腹が立つんだよなぁ。
 だいたいさ!
 失敗した時点で解除しろよって、言いたいんだけど…
 放置してるって事は、解除しないんじゃなくて、出来ないんじゃないのかな?って思ったの。
 中途半端に発動したまんま、操る事も消す事も出来ないってのは、呪詛師にとって邪魔以外の何物でもないよね~。
 しかも王族だから、下手に手出し出来ないし…
 厄介でしょ!
 目の上のたんこぶだよね。
 うちに来たら秘密裏に処分出来るチャンス!って考えて、見張りを付けてたんじゃないかな?って思ってたんだけど…
 途中から標的を変えて、私達を狙った理由が分からないんだよな…
 それにしてもさ、暗殺者が二人だけって、馬鹿にし過ぎじゃない?
 お母様は護衛と黒幕を、お爺様に引き渡したんだけど…
 どんな状態だったのかは、想像しない方が良いと思う。
 お爺様も、お母様も容赦ないからね~
 敵に情けを掛ける訳が、ないのだよ。
 お陰様で抵抗もせず、大人しく王都へ連行されてった!
 ついでに王弟も王都に帰ったよ。
 王弟だけね、直ぐ戻るって言ってお爺様と一緒に、チュン太郎に乗ってったわ。
 いや、あんたの戻る場所此処じゃないだろ!って口から出そうになったけど。
 リーシャが、手術の時までに戻って来てねって言うからさ…
 失敗する気は無いけど、今回ばかりは絶対大丈夫も無いからね、王弟が戻る迄待つ事にした。
 
 なんか話反れたけど…
 一番の懸念材料だった、生きた呪詛を入れる器は、何とか完成したよ。
 私の想像通りあれは失敗作だったから、別の器に入れ替えても、呪詛師に気付かれる事は無い…多分?
 だってね、王族お抱えの呪術師がいる事くらい、知ってると思うんだよ。
 あんな堂々とした物を、リーシャにくっ付けて置きながらね?
 バレてないと、本気で思ってるとは、考え難くない?
 沈黙が不気味なんだけど、そこは国同士のなんちゃらだろうから、私が考えても仕方ない。
 ただねリーシャにかけた呪詛がさ、リーシャと別行動するのは、問題なんじゃないかなってのは思った。
 そこにあると、思わせとかなきゃいけないんじゃない?
 だから、ハニワちゃんを器にしようと考えたんだけど…
 小さすぎるのよ!
 ケロイド毎封じなきゃいけないから、それ相応の大きさが必要になるの。
 でもさ、リーシャと同じくらいのハニワちゃんが、四六時中一緒にいたら怪しくない?
 私だったら絶対何か変な物が入ってると思う!
 中身、見たくなるじゃない。
 もうね、ポチの中で何十年考えたか分からん位難しかったよ。
 100年単位で、籠ってたんじゃないかって!
 途中で諦めそうにもなったけど、でもみんなの笑顔の為に私頑張った。
 リーシャとお妃様が溺愛してるエリザベスの中に、新たな術式を上書きして封印してあげれば、悲しい思いもさせずに一石二鳥だ。
 根本的な事が解決出来たら、そん時にまた術式を上書きして、今度こそペットみたいに懐くようにしてあげればいいしね。
 そんな魔術知らんけど…
 お父様に本気で弟子入りして、独自に開発するのもいいかも?

 器の報告をルーク叔父様にした帰り、中央広場のオープンカフェで見つけちゃった!
 「おっさん!!!久し振り~体調崩して寝込んでるのかと思っちゃったよ!元気そうだね、身体みせて!何処も悪くないわ」
 私は魔力を流し込んで、くまなく体内を調べた。
 ちゃっかり席に着いて、ケーキセットもご馳走になってる。
 「ティアもクレアも元気そうじゃな。ここは皆、儂たちの健康状態を見てくれるから、治療院へ療養に来ているようじゃよ」
 そう言っておっさんは笑いながら、ポチを撫でてた。
 ポチも気持ち良さそうに、膝の上で丸くなって寝てる。
 「そりゃそうよ!こんな僻地に来る唯一の観光客だもの。いっその事移住して来ない?おっさんなら皆大歓迎だよ!」
 終の棲家も良いなって、お友達と話してる。
 そうなのだ、ここに観光客は来ない。
 モンステルの森は、そう簡単に抜けられないんだよ。
 うちに続く街道も無いしね!
 お爺様の所にあるポータルは、個人の持ち物だから、勝手に使って良いのは許された人だけなのだ。
 おっさん達は領民以外で唯一許された人達だから、皆歓迎してんだよ。
 そして貴重な情報源でもある。
 西の国と、西の辺境伯の間で、小競り合いが大きくなってるって事を聞いたよ。
 お爺様の所は無理って諦めたのか、南下してるんだって~
 戦争は嫌だなって、話になってた。
 西の辺境伯ってあんま聞いた事無いけど…
 国境を預かってる位だから、心配無いんじゃね?って言ったら、眉を八の字にした。
 西の国境は広いけど…
 その分人も多いって聞いてるし?
 「いつ戦争になるの?」
 「いつじゃろう?西の国の、気分次第じゃなかろうか?」
 小一時間程経ったかな?
 ポチの癒しも十分貰ったみたいだし、そろそろ日が暮れそうなんで帰るみたい。
 ここに宿泊施設は、無いからね~
 うちに泊れば良いのに、いっつも遠慮すんだよ。
 王弟に爪の垢でも飲ませてやりたいわ。
 中央広場にあるポータルまで見送りしたら、お土産は既に屋敷へ届けてるって言われた。
 何時もありがたい!
 また来てねって姿が消えてくのを、最後まで見届けた。

 「新種の雑草、おっさんビックリしてたね」
 クレアが目を輝かせて珍しく興奮してる。
 「うん!まさか本当に開発者になるとは、思わなかったよ。やっぱおっさんて、物知りだよね~王国の事だけじゃなくて、世界中の情報持ってんだもの」
 上級免許取ったら、お爺様の所だけじゃなく、西の辺境伯にも分けてあげたいな…
 よし!品種改良頑張ろ。
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