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1章 出会い
32話.王子の収集癖
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王女様は、休日明けから学校行ったよ。
お友達から、手術頑張ったねって言われて、嬉しかったって!
それは良かったんだけど、一つ問題が出来た。
実はね、何時までもクレアを学校に付き合わせる訳に行かないので、手乗りサイズのハニワちゃんを預けてたの。
呪詛が爆発する気配を感じたら、王女様毎封印して、私の所へ戻って来る様術式を刻んでる。
これで領地が消える心配は無くなったんだけど、常にべったりと王女様にくっついてるもんだからね。
情が湧いたらしく「エリザベス」なんて、ハニワ如きに高貴な名前まで付けて、ドレス着せて着飾ってる。
お妃様が…
そう、気に入ってしまったのよ。
ハニワだよ?
粘土だよ?
意思なんて、ある訳ないっしょ!
そんなのにドレス着せても意味なくね?って思ってたら、王女様もエリザベスを溺愛してた。
私は罪悪感でいっぱいだよ。
あれはね、呪詛に反応して側にいるだけで、王女様に懐いてる訳じゃないの。
しかも次の手術が終わって、呪詛が王女様から消えたら、ハニワもお役御免なのよ。
術式は消えて土に帰っちゃう。
私は何時もの如く別室に籠って、頭を抱えてたら…
足音が近付き、扉の前で止まる。
「またか!」
最近多いんだよね、私の部屋を訪ねて来る事が…
ノックもしないで引き返す時もあれば、小一時間悩んでから、声をかけて来る時もある。
基本我が家の、部屋の扉は開放されてる。
お好きにど~ぞってスタイルなんだけど、入り口でウロウロされるのは、正直良い気分ではない。
私は何時も続き部屋にいるから、廊下は見えないんだけど、足音や気配で分かるのよ。
今日はどんだけ躊躇うのかな?って思ってたら、意外と決断は早かった。
「失礼する」
「なんすか?」
部屋に入って来るなり、棚に並んでる物に気付いた。
そこには半分目玉から作り出した、ガラス容器に入ったサンプルが並べてある。
視神経から硝子体だけの物や、黄斑部だけの物、水晶体迄。
核になった中心窩を作ってからも、虹彩を変える研究を続けてたのよ。
お陰様で、色とりどりの虹彩を持つ目玉も、沢山あるのだ。
「見事だな…机の上にあるのは、リーシャの眼球か?」
そうなのだ、今更だけど完成したのだ。
見ても良いか?って聞かれたから渡したよ。
嬉しそうに目玉を眺めてる姿を見てると、普通に妹思いのお兄ちゃんなんだよね~
「王女様は今ので満足なんだって、目玉差し替える気ないみたい」
私は「がっかりだよ」と、本音を零す。
「それは申し訳ない。リーシャを説得して来るから、待っていてくれ」
「説得しなくていいよ。あんたと一緒の目玉が良いって言うんだもの、本人の希望を優先してあげようよ」
王女様の気持ちが理解出来ない程、私は鬼じゃないもん。
「そうか…ありがとう。心遣いに感謝する」
「ちょうど処分しようと思ってたから、ちょっと付き合ってくんない?一応王族の肉体だから、媒体にされると問題になるし。見届けてよ」
躊躇い王子は、暫くサンプルを眺めてから、問いかけて来た。
「私の半分目玉は、後世の役に立つだろうか?」
後世?
王女様の役には立ったよ?
「研究資料は残したからね。私が上級医術師になったら、他領でも隻眼の人はいなくなるよ」
躊躇いは嬉しそうに目玉を抱えて、何度も感謝するって言ってくれた。
でも、目玉を離そうとしない…
処分する気ないの?って思ったから、一応聞いてみた。
「それ…欲しかったらあげるよ?」
元はあんたのだし。
躊躇い王子から、効果音が聞こえてきそうな位の、笑顔を向けられたよ!
「良いのか?ありがたく受け取ろう」
やっぱ欲しかったんだ、滅茶苦茶嬉しそうなんだけど…
前回のケロイドも、処分せずに持ち帰ると言ってたし、収集癖でもあんのか?
そのまま帰ろうとしたので、他のサンプルをどうするか聞いたら、やっぱ持ち帰るって。
沢山あるから、マジック袋に入れて渡したけど…
何しに来たんだ?
お友達から、手術頑張ったねって言われて、嬉しかったって!
それは良かったんだけど、一つ問題が出来た。
実はね、何時までもクレアを学校に付き合わせる訳に行かないので、手乗りサイズのハニワちゃんを預けてたの。
呪詛が爆発する気配を感じたら、王女様毎封印して、私の所へ戻って来る様術式を刻んでる。
これで領地が消える心配は無くなったんだけど、常にべったりと王女様にくっついてるもんだからね。
情が湧いたらしく「エリザベス」なんて、ハニワ如きに高貴な名前まで付けて、ドレス着せて着飾ってる。
お妃様が…
そう、気に入ってしまったのよ。
ハニワだよ?
粘土だよ?
意思なんて、ある訳ないっしょ!
そんなのにドレス着せても意味なくね?って思ってたら、王女様もエリザベスを溺愛してた。
私は罪悪感でいっぱいだよ。
あれはね、呪詛に反応して側にいるだけで、王女様に懐いてる訳じゃないの。
しかも次の手術が終わって、呪詛が王女様から消えたら、ハニワもお役御免なのよ。
術式は消えて土に帰っちゃう。
私は何時もの如く別室に籠って、頭を抱えてたら…
足音が近付き、扉の前で止まる。
「またか!」
最近多いんだよね、私の部屋を訪ねて来る事が…
ノックもしないで引き返す時もあれば、小一時間悩んでから、声をかけて来る時もある。
基本我が家の、部屋の扉は開放されてる。
お好きにど~ぞってスタイルなんだけど、入り口でウロウロされるのは、正直良い気分ではない。
私は何時も続き部屋にいるから、廊下は見えないんだけど、足音や気配で分かるのよ。
今日はどんだけ躊躇うのかな?って思ってたら、意外と決断は早かった。
「失礼する」
「なんすか?」
部屋に入って来るなり、棚に並んでる物に気付いた。
そこには半分目玉から作り出した、ガラス容器に入ったサンプルが並べてある。
視神経から硝子体だけの物や、黄斑部だけの物、水晶体迄。
核になった中心窩を作ってからも、虹彩を変える研究を続けてたのよ。
お陰様で、色とりどりの虹彩を持つ目玉も、沢山あるのだ。
「見事だな…机の上にあるのは、リーシャの眼球か?」
そうなのだ、今更だけど完成したのだ。
見ても良いか?って聞かれたから渡したよ。
嬉しそうに目玉を眺めてる姿を見てると、普通に妹思いのお兄ちゃんなんだよね~
「王女様は今ので満足なんだって、目玉差し替える気ないみたい」
私は「がっかりだよ」と、本音を零す。
「それは申し訳ない。リーシャを説得して来るから、待っていてくれ」
「説得しなくていいよ。あんたと一緒の目玉が良いって言うんだもの、本人の希望を優先してあげようよ」
王女様の気持ちが理解出来ない程、私は鬼じゃないもん。
「そうか…ありがとう。心遣いに感謝する」
「ちょうど処分しようと思ってたから、ちょっと付き合ってくんない?一応王族の肉体だから、媒体にされると問題になるし。見届けてよ」
躊躇い王子は、暫くサンプルを眺めてから、問いかけて来た。
「私の半分目玉は、後世の役に立つだろうか?」
後世?
王女様の役には立ったよ?
「研究資料は残したからね。私が上級医術師になったら、他領でも隻眼の人はいなくなるよ」
躊躇いは嬉しそうに目玉を抱えて、何度も感謝するって言ってくれた。
でも、目玉を離そうとしない…
処分する気ないの?って思ったから、一応聞いてみた。
「それ…欲しかったらあげるよ?」
元はあんたのだし。
躊躇い王子から、効果音が聞こえてきそうな位の、笑顔を向けられたよ!
「良いのか?ありがたく受け取ろう」
やっぱ欲しかったんだ、滅茶苦茶嬉しそうなんだけど…
前回のケロイドも、処分せずに持ち帰ると言ってたし、収集癖でもあんのか?
そのまま帰ろうとしたので、他のサンプルをどうするか聞いたら、やっぱ持ち帰るって。
沢山あるから、マジック袋に入れて渡したけど…
何しに来たんだ?
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