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7話.王都からの手紙

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 ある日の午後
 「旦那様、王都から二通の手紙が届きました」
 お父様の執務を手伝ってたら、執事が手紙を持って来たけど?
 「こんな時期にお呼び出し?何か悪い事でもしたの?」
 私はお父様を茶化してみた。
 「呼び出しではないけれど…なんだろね?『王弟一家を頼む』としか、書いてないんだよ」
 不思議そうに手紙を光に透かしたり、水の魔術で濡らしてみたり…
 何かの暗号なのかと頭を悩ませてる。
 「もう一通は?なんて書いてるの?」
 意味の分からない手紙なんて、ほっとけばいいのよ。
 「王弟殿下が視察にいらっしゃるって、ご家族と一緒に」
 手紙をじっくりと読みながら教えてくれた。
 「えっ。王弟って王様の弟だよね…家族連れで?こんな北の、ド田舎に?なんで?」
 「なんだろ…ね?薬草畑でも見に来るんじゃないのかな?」
 「ふ~ん…」
 ホントかな?他にも何かあるんじゃないの?って思っちゃう。
 自慢じゃないがオルテンシア家は貧乏貴族だ。
 私達に自覚は無かったけど、王都では有名だと誰かが教えてくれた。
 実際王立学園の、授業料の高さに目玉飛び出たからね!
 だから王族のおもてなしなんて、期待しないで欲しいわ。
 王弟一人ならともかく、ここは家族連れで来るような所じゃない。
 建国当初は、それなりに領地が点在してた。
 お互い切磋琢磨しながら開拓してたらしいけど…
 観光業は成り立たず、鉱山も無ければ、金山も無い。
 魔物に襲われ領民だけでなく、領主まで逃げ出すわ、領地運営が立ち行かなくなり、没落するわで数が減り。
 無理でしたって、国に返還出来たら、御の字だったらしい。
 そんな領地に、後継者なんて、見つかる筈も無く。
 うちに統合しようとしたけど、こっちも手一杯だってご先祖様が拒絶し。
 放置された領地が荒れ果て、これは問題だと頭を悩ませた当時の王様が、北の辺境伯領に問答無用で押し付けた。
 だけど、領地が広がったって人がいなけりゃ話にならず。
 国境問題あるから、開拓なんてやんないよ?ってなったのは言うまでもない。
 で、気が付いたらオルテンシア伯爵領は、魔物の巣くう森にぐるっと囲まれてた。
 地図には北の辺境伯領の中の南西寄りに、ポツンと取り残された小さな領地として、描かれてる。
 そんな所に態々モンステルの森を抜けて入って来る様な、変わり者はいない。
 つい最近までは、誰も来ない陸の孤島だったらしい。
 今はお母様が嫁いで来たから、お互いの領地をポータルで繋いでる。
 自由に行き来出来るようになってるけど…
 こっちから、あっちに行く人は、あんま居ない。
 逆にあっちからは、重傷患者がよく運ばれて来るようになった。
 うちの医術師は腕が良いし、薬術師が作るポーションも評判が良いのだ。
 私も初級医術師と、初級薬術師の資格を取ったから、その腕の中に入ってる。
 クレアも初級医術師の資格を持ってるから同じ腕なのだ。フフン(ドヤ顔)
 一緒に受験して一緒に合格したからね!
 私にとってクレアは良きライバルで、親友で物心付いた時から側に居るから…
 姉妹かもしんない。
 そして私達は上級資格を取る為、猛勉強中だ。
 王立学園へ入るまでに、もう一つ位何か開発したいなぁって思ってる。
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