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1章 出会い

5話.王都のお屋敷は凄かった

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 場所は変わり、私とクレアはリッデル伯父様の屋敷前に来てる。
 あの後お母様から伯父様に推薦状をお願いしたら、二つ返事で引き受けてくれたのだ。
 学園へは伯父様の屋敷から通っても良いと言われ…
 寮費浮いた~ついでに食費も浮いた~と、家を出る時までは浮かれてたんだけど…
 領地から出た事も無かった私達は、初めて見た王都に度肝を抜かれたよ。
 ここのお屋敷凄いわ!本当に此処で合ってる?宮殿じゃないの?
 何度も行ったり来たりして確かめたけど、住所合ってるよね?
 恐る恐る門番に手紙を見せたら通してくれた!
 印象が悪くならない様、頬をヒクヒクさせながらも笑顔を作り。
 使用人に案内され客間に来たけど…
 開放されてる扉からは、ここに座れよ!
 と、言わんばかりに主張の激しい、豪華な応接セットが見える。
 どうぞと、言われてしまった…
 どうする?これ幾らすんの?座らないとダメ?ってクレアと話してたら…
 お茶を運んで来てくれた。
 そして美味しそうなお菓子もあったから、仕方なく腰を下ろしたよ。
 だってさ!せっかく淹れてくれたお茶を飲まないと、ミラ伯母様がおっかないんだもの。
 恐々とした面持ちで、ソファーに大人しく二人並んで、腰をかけてる振りをする。
 俗に言う空気椅子だ。
 日頃から訓練してる私達にとって、これ位は造作もない。
 落ち着かないけど、お茶もお菓子も美味しい。
 「王都に住んでたんだ、立派なお屋敷だね~」
 クレアも緊張してるんだ!饒舌になってる。
 二人してキョロキョロと、落ち着きなく客間を見回した。
 「一応王族の護衛だからじゃない?王様の傍にいたいのかも?」
 扉が開いたままだったから、こそこそ話してたつもりだったけど…
 「一応とは何だ、一応とは」
 「「!?」」
 起立!礼!
 「「はじめましてっ!ごきげんよう!」」
 着席!
 「「あっ」」
 足音も気配も無く客間に入って来た伯父様に驚いた!
 そして、緊張のあまり頭が真っ白になってて、やらかしちゃった…
 許可が下りるまで座っちゃいけないと、教えて貰ったばかりだったのに!
 しかも、空気椅子ではなくどっかり、腰を下ろしちゃったよ…
 一度座ったソファから立ち上がろうとした私達を、
 伯父様は豪快に笑いながら座ってなさいと言ってくれた。
 なるほど、会えば分かった、お母様とそっくりだ。
 私はぎこちなく問いかける。
 「あのですね、クレアの…エルピーダ男爵令嬢の推薦状も書いて貰えるのは本当ですか?その、伯父様との関わりは何になりますか?」
 私は淑女教育なんて受けた事も無いし、貴族だけの集まりにも参加した事がない。
 マナーが全く分からないぞ~。
 こんな事なら、誰かに教わっておけば、良かったよ…
 誰かって誰だ?
 そもそもお母様があんなだよ?
 淑女って何?美味しいの?って人だ。
 そんな私だって淑女がどんな人なのか知らない。
 背中に嫌~な汗をかいてた。
 「楽にしなさい、ルディアが淑女教育をしていない事は、把握している」
 にっこり笑ってくれた事で、身体から力が抜けて…
 私達はソファーからずり落ちそうになった。
 「伯母様と似てるね」
 クレアが耳元で囁く、私はコクコクと頷いた。
 「エルピーダ男爵令嬢は、義弟の妹の娘として推薦出来るから、安心しなさい」
 え?それで良いの?
 だったらそんな推薦無くても一緒じゃない?って思った事は…
 込み上げて来た物と一緒にゴクリと飲み込んだ。
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