2 / 55
2話.モンステルの森
しおりを挟む
昼間でも、光が届かない程、鬱蒼と茂る高木。
何処かジメっとした、空気が身体に纏わりつく。
足元に落ちているのは、枯葉なのか?
小鳥のさえずりも、小動物の吐息さえも、聞こえない。
遠くにある清流の音が、微かに聞こえて来るだけ。
豊かな森林である筈のその場所に、獣と呼ばれる生き物達の姿は、一切ない。
そこを支配しているのは、何なのか?
実体の無い■■は、自然の恵みを享受する事も無く、おぞましい姿で悪臭を漂わせ徘徊する。
存在したばかりの弱い■■は、強い■■に取り込まれ、運良く魔力を強めた■■は擬態を覚える。
悪臭を消し、自然と同化しながら唯ひたすらに、獲物が近づいて来るのを待っている。
この世界に生きる人々の中で■■を見て、生き伸びた者達は皆、口を揃えてこう呼んだ。
弱いも強いも一括りに、ただ一言【魔物】…だと。
だが魔物は、時の流れと共に、人々の記憶から薄れてゆく。
平和な世界に住む者達は、森から出た事にすら気づかない。
人に擬態した魔物に笑顔を向け、何の疑いも無く付いて行く。
その先に、何が待っているのかも、分からずに…
ここは北国独特のなまりや風習が残る、オルテンシア伯爵領・モンステルの森。
魔物の生息域を、爽快に走る二人の少女がいた。
温厚なオルテンシア伯爵の娘とは思えない、母親譲りの勝ち気で口の悪い、カルティア・オルテンシアと。
従姉妹の、冷静で口数の少ない、クレアナ・エルピーダ男爵令嬢である。
二人は貴族令嬢とは思えない身のこなしで、身体に纏わり付く小枝や枯葉等気にせず、何の躊躇いもなく森の奥へと入って行く。
何かを感知したのか、カルティアは足を止めた。
「淀んでる…」
「何処?」
クレアナも足を止め、キョロキョロと周りを見回しながら辺りを探るが、擬態した魔物を感知する能力は乏しい。
「複数隠れてるから、魔術使うわ」
「分かった」
クレアナは、腰に下げてた剣を抜き、構える。
魔術とは、己と自然を一体化させ、様々な事象を引き起こす現象の事だ。
火・水・風・土を四属性、闇・光を二属性、何処にも属さない物は無属性と呼ぶ。
これらは一人に一属性で、両親のどちらかの属性を受け継ぎ、隔世遺伝はしない。
極々稀に両親の属性を両方受け継いだ、多属性持ちが産まれる事もある。
闇と光の二属性は突然変異で現れ、子に遺伝しない事も分かっている。
突然変異が二代、三代と現れた記録は無い。
その為両親がどちらも二属性だった場合、産まれて来る子は必ず無属性になる。
己の属性に合った術式や詠唱文を覚え、訓練した者だけが魔術を使えるようになるのだ。
複雑な術式と、数多ある詠唱文を覚えるのは、容易ではない。
魔術師になりたいのなら避けては通れない道だが、そうではないのなら、態々魔術を覚える必要が無いのである。
この世界の人々は皆、魔力を体内に宿して産まれて来るが、魔術を使えない者の方が多いのだ。
しかしオルテンシア伯爵領の人々は、特殊な地域で生き抜くために、魔術を習得する事が必須になっていた。
カルティアとクレアナも例外ではない。
二人はそれぞれの苦手科目を克服する為、この森を訓練場としていた。
何故なら、モンステルの森は広大で、オルテンシア伯爵領の騎士団だけでは人手が足りなかったからだ。
カルティアは魔術、クレアナは剣術の腕を磨き、克魔物も討伐出来一石二鳥だと思いこの場に来ている。
「噛んじゃ駄目・噛んじゃ駄目・噛んじゃ駄目」
「心配無い、ティアなら出来る」
「ありがと」
クレアに励まされて、落ち着いた。
「森羅万象、この世界に、干渉する者たちに告ぐ。我が魔力を対価に、その偉大なる力を、貸し与えよ!『開け、土の門』」
両掌から土属性を証明する黄色の淡い光が浮き上がり、みるみる膨らんで身体全体を纏う。
足元から複数の術式が波紋の様に広がり、内側からゆっくり回転したのを皮切りに、それぞれ変則的な回転を始める。
発動された全ての術式が動くと、外側から術者を守る様に光壁が上がった。
「完璧だわ」
私は勝ち誇る。フフン(ドヤ顔)
土属性は耐久性が高く、封印魔術が得意なんだけど、索敵も得意なのだ。
術式を発動させる事で、魔術詠唱だけの時より、更に精度が向上するよ。
「自然の理に背き、嘲りし物。真理を暴き、その姿を顕せ!『土蛍』」
術式の中から無数の小さな青白い光が浮き上がり、三方向に分かれて擬態化してる魔物へと飛んでくのを見届ける。
「私だって、やれば出来る子だ」フフン(満足顔)
直ぐに『土蛍』を追って、クレアが走ってった。
私は耳を澄まして、森と同化するよ。
柔らかな鞭がしなり、風を切る。
長く生い茂った雑草が、無造作に叩き潰されたり、切られる音がした…
これは、魔物がクレアを襲ってるんだわ。
辺り一面に森の香が漂い始め、パキパキっと小枝を踏みつける。
大木を切り刻む音が鳴り響き、森中に木霊する。
今度は、クレアが魔物を討伐した音ね。
うちの領民は皆、幼い頃から五感を鍛えられる、私達もそう。
ここからは見えないけど、音でクレアが擬態化した魔物と戦ってる様子を、感じ取ってるところ。
『土蛍』は攻撃力こそ無いが、術者が探してる物を追跡する。
見つけたら対象物が無くなるか、魔術を解除するまで纏わりついて離れないのだ。
「もうちょっと索敵範囲を広げられたら、上級レベルに行けそうなんだけど。まだまだ一人前には、程遠いなぁ」
ボケ~っとしてたら、クレアが戻って来た。
「でっかい魔晶石出たよ~」
嬉しそうだ、私も嬉しい。
クレアの手には、成人男性の握り拳よりでっかい魔晶石が二つあった。
こんなでっかいのは、初級魔物からは採れない。
「え、二体も中級居たの?」
「居たの、最近多くない?」
クレアも不思議に思ってるようだ。
「多いと思う」
差し出された魔晶石を、一つ受け取りながら答えた。
ここ数年で、何かが変わって来てる気がする。
魔晶石は魔物からしか採れない。
初級・中級・上級とランク付けされてて、討伐した魔物の魔力量により、魔晶石の大きさも変わる。
でっかいのは滅多に出なかったし、お値段もビックリする位跳ね上がるから、嬉しいんだけど…
光に翳しながら、クオリティを確かめた。
「この魔晶石、な~んか引っかかる」
「そお?」
クレアも光に翳してるけど、特に何も感じてないみたい。
「まぁいっか~鑑定士に任せればいいんだし、次探そう」
「そだね」
一度発動された術式は、術者が解除するか、意識が無くならない限り消えたりはしないのだ。
私達は新たな気配を求めて、森の奥へと入ってった。
何処かジメっとした、空気が身体に纏わりつく。
足元に落ちているのは、枯葉なのか?
小鳥のさえずりも、小動物の吐息さえも、聞こえない。
遠くにある清流の音が、微かに聞こえて来るだけ。
豊かな森林である筈のその場所に、獣と呼ばれる生き物達の姿は、一切ない。
そこを支配しているのは、何なのか?
実体の無い■■は、自然の恵みを享受する事も無く、おぞましい姿で悪臭を漂わせ徘徊する。
存在したばかりの弱い■■は、強い■■に取り込まれ、運良く魔力を強めた■■は擬態を覚える。
悪臭を消し、自然と同化しながら唯ひたすらに、獲物が近づいて来るのを待っている。
この世界に生きる人々の中で■■を見て、生き伸びた者達は皆、口を揃えてこう呼んだ。
弱いも強いも一括りに、ただ一言【魔物】…だと。
だが魔物は、時の流れと共に、人々の記憶から薄れてゆく。
平和な世界に住む者達は、森から出た事にすら気づかない。
人に擬態した魔物に笑顔を向け、何の疑いも無く付いて行く。
その先に、何が待っているのかも、分からずに…
ここは北国独特のなまりや風習が残る、オルテンシア伯爵領・モンステルの森。
魔物の生息域を、爽快に走る二人の少女がいた。
温厚なオルテンシア伯爵の娘とは思えない、母親譲りの勝ち気で口の悪い、カルティア・オルテンシアと。
従姉妹の、冷静で口数の少ない、クレアナ・エルピーダ男爵令嬢である。
二人は貴族令嬢とは思えない身のこなしで、身体に纏わり付く小枝や枯葉等気にせず、何の躊躇いもなく森の奥へと入って行く。
何かを感知したのか、カルティアは足を止めた。
「淀んでる…」
「何処?」
クレアナも足を止め、キョロキョロと周りを見回しながら辺りを探るが、擬態した魔物を感知する能力は乏しい。
「複数隠れてるから、魔術使うわ」
「分かった」
クレアナは、腰に下げてた剣を抜き、構える。
魔術とは、己と自然を一体化させ、様々な事象を引き起こす現象の事だ。
火・水・風・土を四属性、闇・光を二属性、何処にも属さない物は無属性と呼ぶ。
これらは一人に一属性で、両親のどちらかの属性を受け継ぎ、隔世遺伝はしない。
極々稀に両親の属性を両方受け継いだ、多属性持ちが産まれる事もある。
闇と光の二属性は突然変異で現れ、子に遺伝しない事も分かっている。
突然変異が二代、三代と現れた記録は無い。
その為両親がどちらも二属性だった場合、産まれて来る子は必ず無属性になる。
己の属性に合った術式や詠唱文を覚え、訓練した者だけが魔術を使えるようになるのだ。
複雑な術式と、数多ある詠唱文を覚えるのは、容易ではない。
魔術師になりたいのなら避けては通れない道だが、そうではないのなら、態々魔術を覚える必要が無いのである。
この世界の人々は皆、魔力を体内に宿して産まれて来るが、魔術を使えない者の方が多いのだ。
しかしオルテンシア伯爵領の人々は、特殊な地域で生き抜くために、魔術を習得する事が必須になっていた。
カルティアとクレアナも例外ではない。
二人はそれぞれの苦手科目を克服する為、この森を訓練場としていた。
何故なら、モンステルの森は広大で、オルテンシア伯爵領の騎士団だけでは人手が足りなかったからだ。
カルティアは魔術、クレアナは剣術の腕を磨き、克魔物も討伐出来一石二鳥だと思いこの場に来ている。
「噛んじゃ駄目・噛んじゃ駄目・噛んじゃ駄目」
「心配無い、ティアなら出来る」
「ありがと」
クレアに励まされて、落ち着いた。
「森羅万象、この世界に、干渉する者たちに告ぐ。我が魔力を対価に、その偉大なる力を、貸し与えよ!『開け、土の門』」
両掌から土属性を証明する黄色の淡い光が浮き上がり、みるみる膨らんで身体全体を纏う。
足元から複数の術式が波紋の様に広がり、内側からゆっくり回転したのを皮切りに、それぞれ変則的な回転を始める。
発動された全ての術式が動くと、外側から術者を守る様に光壁が上がった。
「完璧だわ」
私は勝ち誇る。フフン(ドヤ顔)
土属性は耐久性が高く、封印魔術が得意なんだけど、索敵も得意なのだ。
術式を発動させる事で、魔術詠唱だけの時より、更に精度が向上するよ。
「自然の理に背き、嘲りし物。真理を暴き、その姿を顕せ!『土蛍』」
術式の中から無数の小さな青白い光が浮き上がり、三方向に分かれて擬態化してる魔物へと飛んでくのを見届ける。
「私だって、やれば出来る子だ」フフン(満足顔)
直ぐに『土蛍』を追って、クレアが走ってった。
私は耳を澄まして、森と同化するよ。
柔らかな鞭がしなり、風を切る。
長く生い茂った雑草が、無造作に叩き潰されたり、切られる音がした…
これは、魔物がクレアを襲ってるんだわ。
辺り一面に森の香が漂い始め、パキパキっと小枝を踏みつける。
大木を切り刻む音が鳴り響き、森中に木霊する。
今度は、クレアが魔物を討伐した音ね。
うちの領民は皆、幼い頃から五感を鍛えられる、私達もそう。
ここからは見えないけど、音でクレアが擬態化した魔物と戦ってる様子を、感じ取ってるところ。
『土蛍』は攻撃力こそ無いが、術者が探してる物を追跡する。
見つけたら対象物が無くなるか、魔術を解除するまで纏わりついて離れないのだ。
「もうちょっと索敵範囲を広げられたら、上級レベルに行けそうなんだけど。まだまだ一人前には、程遠いなぁ」
ボケ~っとしてたら、クレアが戻って来た。
「でっかい魔晶石出たよ~」
嬉しそうだ、私も嬉しい。
クレアの手には、成人男性の握り拳よりでっかい魔晶石が二つあった。
こんなでっかいのは、初級魔物からは採れない。
「え、二体も中級居たの?」
「居たの、最近多くない?」
クレアも不思議に思ってるようだ。
「多いと思う」
差し出された魔晶石を、一つ受け取りながら答えた。
ここ数年で、何かが変わって来てる気がする。
魔晶石は魔物からしか採れない。
初級・中級・上級とランク付けされてて、討伐した魔物の魔力量により、魔晶石の大きさも変わる。
でっかいのは滅多に出なかったし、お値段もビックリする位跳ね上がるから、嬉しいんだけど…
光に翳しながら、クオリティを確かめた。
「この魔晶石、な~んか引っかかる」
「そお?」
クレアも光に翳してるけど、特に何も感じてないみたい。
「まぁいっか~鑑定士に任せればいいんだし、次探そう」
「そだね」
一度発動された術式は、術者が解除するか、意識が無くならない限り消えたりはしないのだ。
私達は新たな気配を求めて、森の奥へと入ってった。
20
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる