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数日経って
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告白してから2日ほど過ぎた日の授業を終えた後、部活に行く前に職員室に行く用事があったのでそちらに寄ってから行こうと職員室での用事を終え出てみると高坂にばったり会った。
「お、三枝。こんなところで何してるんだ?」
高坂の方から声をかけてきた。
「ちょっと加藤先生に呼ばれてね」
「あー、あの先生お前のこと気に入ってるもんな」
確かに加藤先生は俺のことを気に入っている節がある。先輩や他のクラスの話を聞いても成績優秀者を気にいる傾向にあるようで、雑用をそうした人物に頼んでは職員室で無駄話をする。
あまり嬉しい話でもないので苦笑して話を変える。
「高坂こそ、部活じゃないのか?」
高坂は笑いながら肩をすくめた。
「まぁ、そうなんだけど。オレは悪い方での呼び出し」
そういえば高坂は課題の出し忘れかなんかで呼び出されていたような気がする。
「三枝ってほんとすごいよな。何でもできるから、ちょっと羨ましいよ」
急な話題の転換に少し驚いた様子で高坂を見つめた後、笑って答えた。
「ありがとう、でも、すごいことじゃないよ。やってることは誰でも出来ること。少し要領がいいだけだよ」
高坂は頷きながら思い出したように言う。
「柚羽が中学の時似たようなこと言ってたな」
高坂は納得したように「うんうん」と思い返している。
俺は高坂の表情をじっと見つめた後、少し微笑んだ。
「仲良いんだな」
自分で言っていて少しモヤっとするが口にしてしまったのだから仕方がない。高坂は一瞬動揺したが、すぐに笑顔を作った。
「ああ、幼馴染だからな。柚羽には世話になってるところもあるし…まぁ腐れ縁だな」
俺は高坂の言葉の裏にある気持ちを察しながらも、特に言及しなかった。
「そうなんだ」
高坂は少し照れくさそうに笑った。
「でも、感謝の気持ちもあるならなんでいつもあんなに口論してんだよ」
「それとこれは別。感謝してても口うるさいからなあいつは」
本人がいる時ほどではないが照れ隠しのセリフは言ってしまうらしい。
「好きなのか?」
高坂は「はぁ!?」と大きな声を出して目を丸くした。
「ないないない!幼馴染ってだけでそう言われんのめんどいんだよなぁ~」
心なしか嬉しそうな様子も見せながら否定する言葉を吐く。今泉との関係についてはこんな風によく聞かれるんだろう。
「ほら、あいつ女子にしては背高いじゃん?俺とも目線ほぼ一緒だし、付き合いも長いし、男友達みたいなもんよ」
高坂は聞いてもいないのに続ける。
「それか口うるさいババア?世話になってる自覚はあるけど、恋人にしたいからとか好きかとかは別だなぁ」
まぁこの辺りまでセットなんだろう。顔を赤くして普段より大きな声で早口。わかっていたことだけど好きなんだろうなぁ。
「じゃあ、高坂は彼女とかいたことあるの?」
「なんだよー自分がモテるからって自慢か?ねーよ!てか、彼女とか金かかるって言うしいらねー」
声のボリュームは落ち着いたが上がったテンションは収まらず探りを入れてみれば勢いよく返してくる。
「そう言う三枝はどうなんだよ」
「俺?彼女はいたことないよ」
「えぇ!?まじかよ。彼女できたことないのかよ意外だわ」
「そうかなぁ」
この話も高校に入ってから全く同じ話をした覚えがある。そんな感じでもう会話辞めたいななんて思っていた時、高坂から不意に話題が降ってきた。
「三枝みたいな奴が変なのに引っかかんなよ~」
「変なの?」
「ほら、この前も柚羽に勘違いさせそうな言い方してたろ?」
「ん?あー、あれ?そんなことないでしょ。ま、俺としては勘違いされてもいいし」
適当に話を合わせておく。その中で軽くジャブくらいは打っておく。
「いや、気をつけろよ本当に。彼氏できたことのない奴ほど理想高かったり、厄介そうじゃん?知らんけど」
「あはは~気をつけるよ。というか、今泉も彼氏とかいたことないんだ」
「ぷははっ出来るわけないじゃん」
今泉って彼氏いたことないんだ。別にそんなの気にしたことはなかったがなんだか嬉しい気もしてくる。
思わぬ収穫があったところで、タイミング良く職員室から担任の小村先生が出てくる。
「高坂、来てるなら早く入って来い」
「あ、はい!そんじゃあな」
「じゃあ」
俺はその場を後にした。
教室に荷物を置いたままこちらに来ていたので一旦そちらの方に戻った。
教室にはまだ人影があった。入ってみれば今泉と本田だった。
「あれ、三枝くんどうしたの?」
「職員室行ってて、荷物置きっぱなしで行ったんだよ。二人こそまだ残ってたんだね」
「うん。ちょっと色々あって…」
本田はちらっと今泉の方を見た。
今泉はこっちと本田をチラチラ見つつ素知らぬ顔を貫こうとしている。
十中八九、先日の告白の件だろう。あの日から今泉は気まずそうにしている。
こんなつもりじゃなかったんだけどな。
おそらく本田を相談相手に選び事情を知っており、今に至ると言った具合だろうか。では、俺がここに長くいるのもあまり都合が良くないのだろう。
軽い会話で終わり、荷物を持ちササっと出る。
「本田、じゃあね」
「うん!じゃあ!」
本田と軽い挨拶を交わす。
「今泉!」
「っ、はい!」
「また明日」
「うん!また明日」
今泉にはちょっとだけ本田と違いをつけて見る。動揺した今泉の様子が可愛らしい。こんな風に声をかけられると思わなかったんだろう。困らせるつもりはないけれど、自分のことでいっぱいいっぱいになっているであろう姿を見るのは悪くないな。なんて思ってしまった。
少しだけ小走りで部活に向かった。
「お、三枝。こんなところで何してるんだ?」
高坂の方から声をかけてきた。
「ちょっと加藤先生に呼ばれてね」
「あー、あの先生お前のこと気に入ってるもんな」
確かに加藤先生は俺のことを気に入っている節がある。先輩や他のクラスの話を聞いても成績優秀者を気にいる傾向にあるようで、雑用をそうした人物に頼んでは職員室で無駄話をする。
あまり嬉しい話でもないので苦笑して話を変える。
「高坂こそ、部活じゃないのか?」
高坂は笑いながら肩をすくめた。
「まぁ、そうなんだけど。オレは悪い方での呼び出し」
そういえば高坂は課題の出し忘れかなんかで呼び出されていたような気がする。
「三枝ってほんとすごいよな。何でもできるから、ちょっと羨ましいよ」
急な話題の転換に少し驚いた様子で高坂を見つめた後、笑って答えた。
「ありがとう、でも、すごいことじゃないよ。やってることは誰でも出来ること。少し要領がいいだけだよ」
高坂は頷きながら思い出したように言う。
「柚羽が中学の時似たようなこと言ってたな」
高坂は納得したように「うんうん」と思い返している。
俺は高坂の表情をじっと見つめた後、少し微笑んだ。
「仲良いんだな」
自分で言っていて少しモヤっとするが口にしてしまったのだから仕方がない。高坂は一瞬動揺したが、すぐに笑顔を作った。
「ああ、幼馴染だからな。柚羽には世話になってるところもあるし…まぁ腐れ縁だな」
俺は高坂の言葉の裏にある気持ちを察しながらも、特に言及しなかった。
「そうなんだ」
高坂は少し照れくさそうに笑った。
「でも、感謝の気持ちもあるならなんでいつもあんなに口論してんだよ」
「それとこれは別。感謝してても口うるさいからなあいつは」
本人がいる時ほどではないが照れ隠しのセリフは言ってしまうらしい。
「好きなのか?」
高坂は「はぁ!?」と大きな声を出して目を丸くした。
「ないないない!幼馴染ってだけでそう言われんのめんどいんだよなぁ~」
心なしか嬉しそうな様子も見せながら否定する言葉を吐く。今泉との関係についてはこんな風によく聞かれるんだろう。
「ほら、あいつ女子にしては背高いじゃん?俺とも目線ほぼ一緒だし、付き合いも長いし、男友達みたいなもんよ」
高坂は聞いてもいないのに続ける。
「それか口うるさいババア?世話になってる自覚はあるけど、恋人にしたいからとか好きかとかは別だなぁ」
まぁこの辺りまでセットなんだろう。顔を赤くして普段より大きな声で早口。わかっていたことだけど好きなんだろうなぁ。
「じゃあ、高坂は彼女とかいたことあるの?」
「なんだよー自分がモテるからって自慢か?ねーよ!てか、彼女とか金かかるって言うしいらねー」
声のボリュームは落ち着いたが上がったテンションは収まらず探りを入れてみれば勢いよく返してくる。
「そう言う三枝はどうなんだよ」
「俺?彼女はいたことないよ」
「えぇ!?まじかよ。彼女できたことないのかよ意外だわ」
「そうかなぁ」
この話も高校に入ってから全く同じ話をした覚えがある。そんな感じでもう会話辞めたいななんて思っていた時、高坂から不意に話題が降ってきた。
「三枝みたいな奴が変なのに引っかかんなよ~」
「変なの?」
「ほら、この前も柚羽に勘違いさせそうな言い方してたろ?」
「ん?あー、あれ?そんなことないでしょ。ま、俺としては勘違いされてもいいし」
適当に話を合わせておく。その中で軽くジャブくらいは打っておく。
「いや、気をつけろよ本当に。彼氏できたことのない奴ほど理想高かったり、厄介そうじゃん?知らんけど」
「あはは~気をつけるよ。というか、今泉も彼氏とかいたことないんだ」
「ぷははっ出来るわけないじゃん」
今泉って彼氏いたことないんだ。別にそんなの気にしたことはなかったがなんだか嬉しい気もしてくる。
思わぬ収穫があったところで、タイミング良く職員室から担任の小村先生が出てくる。
「高坂、来てるなら早く入って来い」
「あ、はい!そんじゃあな」
「じゃあ」
俺はその場を後にした。
教室に荷物を置いたままこちらに来ていたので一旦そちらの方に戻った。
教室にはまだ人影があった。入ってみれば今泉と本田だった。
「あれ、三枝くんどうしたの?」
「職員室行ってて、荷物置きっぱなしで行ったんだよ。二人こそまだ残ってたんだね」
「うん。ちょっと色々あって…」
本田はちらっと今泉の方を見た。
今泉はこっちと本田をチラチラ見つつ素知らぬ顔を貫こうとしている。
十中八九、先日の告白の件だろう。あの日から今泉は気まずそうにしている。
こんなつもりじゃなかったんだけどな。
おそらく本田を相談相手に選び事情を知っており、今に至ると言った具合だろうか。では、俺がここに長くいるのもあまり都合が良くないのだろう。
軽い会話で終わり、荷物を持ちササっと出る。
「本田、じゃあね」
「うん!じゃあ!」
本田と軽い挨拶を交わす。
「今泉!」
「っ、はい!」
「また明日」
「うん!また明日」
今泉にはちょっとだけ本田と違いをつけて見る。動揺した今泉の様子が可愛らしい。こんな風に声をかけられると思わなかったんだろう。困らせるつもりはないけれど、自分のことでいっぱいいっぱいになっているであろう姿を見るのは悪くないな。なんて思ってしまった。
少しだけ小走りで部活に向かった。
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