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邪竜編
復活④ リリア視点
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豪華なご飯を食べて、広いお風呂に入ってマッサージまで受けて、貴族の女ってこんな贅沢してるの?!ふかふかの広いベッドで寝れば昨日の疲れも取れて開かれたこれから遺跡に向かって封印を解いたらあの女に復讐できると思うと最高の気分!
赤い薔薇の刺繍が入った黒いローブを着させられたけど、聖女って白じゃないの?なんか魔女みたいなんだけど。文句を言ったけどこれが正装と言われた。無事に教団の目的を果たしたら白なんだって。
「ねえ、エリック。まだつかないの~?」
「もう少しかかります、聖女様」
はあ、マジで暇なんだけど。やることなさすぎ!ほんと、スマホが欲しい。まあでも、こーんなイケメンのエリックが私のそばにずっといて話してくれるのはいい気分!エリックと楽しく話していると馬車が止まった。着いたの?
「到着したようです。聖女様、お足元にご注意ください」
先に降りたエリックが手を差し出してくれたから、その手を掴んで降りる。
そのままエリックにエスコートされて遺跡に入った。
「うえ、蜘蛛の巣やばいんだけど…なんかジメジメしてて最悪だし、なんかくっさい」
「申し訳ありません聖女様。少し我慢なさってくださいませ」
ほんと最悪!早く戻ってお風呂入りたい!
「ここです、聖女様…この宝玉に聖なる魔力をお注ぎください」
何これ…
そこにあったのは、黒い禍々しい雰囲気の水晶だった。気持ち悪い…浄化って言ってたし魔力を注げば綺麗になるの?
さっさと終わらせるために、宝玉に触れて魔力を流す。
聖なる魔力をどう注ぐのかは知らないけど、確かゲームでリリアは聖なる魔力を使って人々を癒してた。リリアの魔力=聖なる魔力っていう描写だったから普通に魔力をそそげばいいのよね!
魔力を注いでるのに一向に綺麗にならない。なんで?!何かおかしいと思ってエリックを見るけど、エリックは恍惚とした表情で宝玉を見るだけで目が合わない。
「ちょっと、エリック!どうなってるの!」
エリックに問いかけた瞬間、地面が激しく揺れ、宝玉が砕け散るのと同時にヘドロのような何かが地面を割って現れた。
「え…?なに、これ…」
「ああ、素晴らしい!神よ、感謝いたします!」
「ねえ、エリックってば!…きゃあ!」
エリックの腕に縋りついた私は強い力で振り払われて倒れた。
「愚かな聖女様…いや、邪悪なる魔女。お教えしてあげましょう。あれは破滅を呼ぶ邪竜。我らが邪竜教が待ち望んだ存在。封印の最後の砦である宝玉を割るには莫大な量の邪悪な魔力が必要でしたが…あなたがいて助かった」
誰この人…エリックはこんなこと言わない…なんで…それに…魔女…?
「どういうこと…魔女って何…」
「魔女でしょう?万民を慈しむ聖なる乙女ではなく、憎悪に身を焦がす堕落した乙女。貴女の聖なる魔力は、憎しみで反転し、邪悪な魔力へと変質したのですよ」
「そんな…」
「さて、貴女の役目はここで終わりです。お疲れ様でした」
「え?」
突然胸に走った痛みに不思議に思い、胸を見ると、剣が刺さり、胸からは血が流れていた。
何これ…痛い…痛い痛い痛い!
喉は焼けるように熱くて咳き込むと口からも血が溢れてる。暑いのに寒くて、剣が抜けるのと同時に体は完全に地面についた。
「多少考える頭があれば利用価値はあったんですが…ここまでのバカはもう必要ない。ここでお別れですさようなら」
エリック…行かないで…こんなところで1人なんて嫌…
どうして、こんなことになってしまったの…
私は幸せに…
だんだん目を開けられなくなって、目を閉じると嘘泣きじゃない、本当の涙が久しぶりに流れたような気がした。そこで私の意識は、永遠に途絶えた。
赤い薔薇の刺繍が入った黒いローブを着させられたけど、聖女って白じゃないの?なんか魔女みたいなんだけど。文句を言ったけどこれが正装と言われた。無事に教団の目的を果たしたら白なんだって。
「ねえ、エリック。まだつかないの~?」
「もう少しかかります、聖女様」
はあ、マジで暇なんだけど。やることなさすぎ!ほんと、スマホが欲しい。まあでも、こーんなイケメンのエリックが私のそばにずっといて話してくれるのはいい気分!エリックと楽しく話していると馬車が止まった。着いたの?
「到着したようです。聖女様、お足元にご注意ください」
先に降りたエリックが手を差し出してくれたから、その手を掴んで降りる。
そのままエリックにエスコートされて遺跡に入った。
「うえ、蜘蛛の巣やばいんだけど…なんかジメジメしてて最悪だし、なんかくっさい」
「申し訳ありません聖女様。少し我慢なさってくださいませ」
ほんと最悪!早く戻ってお風呂入りたい!
「ここです、聖女様…この宝玉に聖なる魔力をお注ぎください」
何これ…
そこにあったのは、黒い禍々しい雰囲気の水晶だった。気持ち悪い…浄化って言ってたし魔力を注げば綺麗になるの?
さっさと終わらせるために、宝玉に触れて魔力を流す。
聖なる魔力をどう注ぐのかは知らないけど、確かゲームでリリアは聖なる魔力を使って人々を癒してた。リリアの魔力=聖なる魔力っていう描写だったから普通に魔力をそそげばいいのよね!
魔力を注いでるのに一向に綺麗にならない。なんで?!何かおかしいと思ってエリックを見るけど、エリックは恍惚とした表情で宝玉を見るだけで目が合わない。
「ちょっと、エリック!どうなってるの!」
エリックに問いかけた瞬間、地面が激しく揺れ、宝玉が砕け散るのと同時にヘドロのような何かが地面を割って現れた。
「え…?なに、これ…」
「ああ、素晴らしい!神よ、感謝いたします!」
「ねえ、エリックってば!…きゃあ!」
エリックの腕に縋りついた私は強い力で振り払われて倒れた。
「愚かな聖女様…いや、邪悪なる魔女。お教えしてあげましょう。あれは破滅を呼ぶ邪竜。我らが邪竜教が待ち望んだ存在。封印の最後の砦である宝玉を割るには莫大な量の邪悪な魔力が必要でしたが…あなたがいて助かった」
誰この人…エリックはこんなこと言わない…なんで…それに…魔女…?
「どういうこと…魔女って何…」
「魔女でしょう?万民を慈しむ聖なる乙女ではなく、憎悪に身を焦がす堕落した乙女。貴女の聖なる魔力は、憎しみで反転し、邪悪な魔力へと変質したのですよ」
「そんな…」
「さて、貴女の役目はここで終わりです。お疲れ様でした」
「え?」
突然胸に走った痛みに不思議に思い、胸を見ると、剣が刺さり、胸からは血が流れていた。
何これ…痛い…痛い痛い痛い!
喉は焼けるように熱くて咳き込むと口からも血が溢れてる。暑いのに寒くて、剣が抜けるのと同時に体は完全に地面についた。
「多少考える頭があれば利用価値はあったんですが…ここまでのバカはもう必要ない。ここでお別れですさようなら」
エリック…行かないで…こんなところで1人なんて嫌…
どうして、こんなことになってしまったの…
私は幸せに…
だんだん目を開けられなくなって、目を閉じると嘘泣きじゃない、本当の涙が久しぶりに流れたような気がした。そこで私の意識は、永遠に途絶えた。
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