婚約破棄後のお話

Nau

文字の大きさ
上 下
8 / 21

令嬢の日常6

しおりを挟む
お買い物用のかごを持って、家を出て少し歩くと毎日賑わいを見せる市場があります。
もうお昼どきですし、買い物より先にお昼にしましょう。
カフェに入り、紅茶とサンドイッチを頼みました。ここは、この前アレクとその、デ、デートで来て、とても美味しかったお店なのです。
今日は特に急ぎの用事もないのでのんびりと昼食を食べます。ふわふわでほんのり甘みのあるパンにハムが挟んであるだけのシンプルなものですが、とっても美味しいです。
食べ終わると、お金を払ってお買い物です。お買い物はとても楽しいです。貴族だったときは、王太子の婚約者としての教育が忙しく、城下町でお買い物なんてできませんでしたし、殿下は私のことがお嫌いでしたのでデートの誘われたこともありません。精々義務的に行われるお茶会だけです。それも、ひと目を気にしていなければならないとても息苦しいものです。
それにくらべて、平民となった今は自由にお買い物ができますし、旦那様方はデートにだってたくさん誘ってくれます。旦那様方はとても優しくて大好きです。

今日の夕飯は、何にしましょうか。確か、家にブラックロックバードのお肉(脂身の少ないさっぱりとしたお肉)があったので、ハーブと一緒に焼くと美味しそうです。
お野菜も大事ですから、お野菜から見ていきましょうか。

「お、オルフェリアちゃん、買い物かい?よっていきなよ、安くするよ?」
「あら、みずみずしいお野菜ですね!じゃあ、これと、あとあれもください!」
「はいよ、銅貨4枚ね」
「はい」
「おまけも入れとくかね」
「わあ、おじさんありがとうございます!」

「フェリアちゃん!今度うちに寄っていきなよ!また一緒にお菓子作ろう」
「ぜひ!」

市場を歩くと沢山の人が話しかけてくれます。みんな地元の方で、旦那様方がとても有名でそのお嫁さんということもあって、顔見知りです。ご近所のおばさまは、はじめお料理が全くできなかった私にお料理や今ではお菓子の作り方を教えてくれるとっても良い方なんです。

私が平民に落ちて辛い思いをしていると思っている方々、私はとっても幸せです。
今では平民になってよかったとまで思うほどに、ね。


---------------------------------------------------
〈この世界のお金〉

銅貨1枚  百円
銀貨1枚  千円
大銀貨1枚 1万円
金貨1枚  十万円
白金貨1枚 百万円        みたいな感じです
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

なりすまされた令嬢 〜健気に働く王室の寵姫〜

瀬乃アンナ
恋愛
国内随一の名門に生まれたセシル。しかし姉は選ばれし子に与えられる瞳を手に入れるために、赤ん坊のセシルを生贄として捨て、成り代わってしまう。順風満帆に人望を手に入れる姉とは別の場所で、奇しくも助けられたセシルは妖精も悪魔をも魅了する不思議な能力に助けられながら、平民として美しく成長する。 ひょんな事件をきっかけに皇族と接することになり、森と動物と育った世間知らずセシルは皇太子から名門貴族まで、素直関わる度に人の興味を惹いては何かと構われ始める。 何に対しても興味を持たなかった皇太子に慌てる周りと、無垢なセシルのお話 小説家になろう様でも掲載しております。 (更新は深夜か土日が多くなるかとおもいます!)

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

アラフォー王妃様に夫の愛は必要ない?

雪乃
恋愛
ノースウッド皇国の第一皇女であり才気溢れる聖魔導師のアレクサは39歳花?の独身アラフォー真っ盛りの筈なのに、気がつけば9歳も年下の隣国ブランカフォルト王国へ王妃として輿入れする羽目になってしまった。 夫となった国王は文武両道、眉目秀麗文句のつけようがないイケメン。 しかし彼にはたった1つ問題がある。 それは無類の女好き。 妃と名のつく女性こそはいないが、愛妾だけでも10人、街娘や一夜限りの相手となると星の数程と言われている。 また愛妾との間には4人2男2女の子供も儲けているとか……。 そんな下半身にだらしのない王の許へ嫁に来る姫は中々おらず、講和条約の条件だけで結婚が決まったのだが、予定はアレクサの末の妹姫19歳の筈なのに蓋を開ければ9歳も年上のアラフォー妻を迎えた事に夫は怒り初夜に彼女の許へ訪れなかった。 だがその事に安心したのは花嫁であるアレクサ。 元々結婚願望もなく生涯独身を貫こうとしていたのだから、彼女に興味を示さない夫と言う存在は彼女にとって都合が良かった。 兎に角既に世継ぎの王子もいるのだし、このまま夫と触れ合う事もなく何年かすれば愛妾の子を自身の養子にすればいいと高をくくっていたら……。 連載中のお話ですが、今回完結へ向けて加筆修正した上で再更新させて頂きます。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

処理中です...