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第四章
魔法使いと眠る姫1
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建物の前に来ると、誠二はその大きさに圧倒された。
「でけー・・・。」
「そんなことないよ?首都の城のほうがずっと大きいし結界もあるからね。襲撃されたら、ここだとひとたまりもないよ。」
「そうだな。ここはあくまで別邸だから、設備が整っていない。
城にいるよりも、何倍も危険だな。」
それでもサッカーグラウンドよりも大きそうな建物だ。生まれてから3LDKのマンションで生活してきた誠二には、十分に大きな城に見える。
「こんなとこでだらだらしててもしかたないよ。さっさと入ろ、誠二君。」
・・・
玄関を開けて中に入ると、大きなホールになっていた。
目の前には左右に分かれた階段が二階の踊り場で一つになるように弧を描いている。左右には廊下が続き、目の前の階段の中央には大きな扉があった。
屋敷の中には、気配はあるが人は一人も見えなかった。
「ディヤイアンちゃん。
君たちの仲間も呪いをかけられたみたいなことを最初に言ってたけど、本当はどうなの?」
何故か声を潜めて、誠二はディヤイアンに耳打ちした。彼女は少しだけ首を傾げた。
「そんなことは言ってないよ?」
「え?」
「わたしは、君の所に来たのはわたしたちだけだって言ったはずだよ?
ちなみに、ほかの人たちはそこいらで見てるよ。なかなか見れないからね、国交のない地球人だなんてね。」
(えーっと、動物園のライオン・・・よりぱんだ?)
誠二はちょっと情けなくなった。
「そんな顔しないでよ。大丈夫とって食べたりしないからさ。
さて、誠二君。お腹はすいていない?」
ディヤイアンがそんなことを言ったので、誠二の腸が反応を起こした。
ぐきゅるるるるる・・・
誠二は真っ赤になって俯いた。
「では、先に食事だな。準備はできてるようだ。」
エクーディアがホールを進み、階段の間にある大きな扉を開くと、美味しそうな匂いが漂ってきた。
そこは、大きな机が中央にあり、その周りには椅子が並んでいる部屋だった。
そして、机の上には様々な料理が並べられていた。
エクーディアは中央の椅子を引き、誠二を呼んで座らせると、自分もその隣に座った。
「では、ディヤイアン。給仕を頼む。一人で食べると不安になるかもしれないからね。」
そう言うと、エクーディアはグラスに桜色の液体を注ぎ、誠二の前に置いた。
「どうした?食べないのか?」
椅子に座って固まっている誠二を見て、エクーディアが不思議そうに聞いた。ディヤイアンはすでに隣の部屋に消えている。
「食べないのかって・・・。お姫様は?」
おそるおそる聞くと、エクーディアは少し首をかしげて答えた。
「呪いを解いてくれるのだろう?
それなら心配は要らない。魔法使いの狙いは君だとディヤイアンは話しただろう?」
「でも、早く起こしたほうが・・・。」
「ゲストを空腹のままにしていたことがわかったら、姫は確実に怒られるだろう。だから大丈夫だ。」
「そうそう。それに、自分の世界に帰るんなら、飲んで食べて楽しんだほうがいいでしょ?」
いい匂いと湯気が立ち上る大皿を持って、いつのまにか戻ってきていたディヤイアンは笑顔で言った。
腹をくくった誠二は、食事を楽しむことに決めた。実際に腹はめちゃくちゃすいていた。
「でけー・・・。」
「そんなことないよ?首都の城のほうがずっと大きいし結界もあるからね。襲撃されたら、ここだとひとたまりもないよ。」
「そうだな。ここはあくまで別邸だから、設備が整っていない。
城にいるよりも、何倍も危険だな。」
それでもサッカーグラウンドよりも大きそうな建物だ。生まれてから3LDKのマンションで生活してきた誠二には、十分に大きな城に見える。
「こんなとこでだらだらしててもしかたないよ。さっさと入ろ、誠二君。」
・・・
玄関を開けて中に入ると、大きなホールになっていた。
目の前には左右に分かれた階段が二階の踊り場で一つになるように弧を描いている。左右には廊下が続き、目の前の階段の中央には大きな扉があった。
屋敷の中には、気配はあるが人は一人も見えなかった。
「ディヤイアンちゃん。
君たちの仲間も呪いをかけられたみたいなことを最初に言ってたけど、本当はどうなの?」
何故か声を潜めて、誠二はディヤイアンに耳打ちした。彼女は少しだけ首を傾げた。
「そんなことは言ってないよ?」
「え?」
「わたしは、君の所に来たのはわたしたちだけだって言ったはずだよ?
ちなみに、ほかの人たちはそこいらで見てるよ。なかなか見れないからね、国交のない地球人だなんてね。」
(えーっと、動物園のライオン・・・よりぱんだ?)
誠二はちょっと情けなくなった。
「そんな顔しないでよ。大丈夫とって食べたりしないからさ。
さて、誠二君。お腹はすいていない?」
ディヤイアンがそんなことを言ったので、誠二の腸が反応を起こした。
ぐきゅるるるるる・・・
誠二は真っ赤になって俯いた。
「では、先に食事だな。準備はできてるようだ。」
エクーディアがホールを進み、階段の間にある大きな扉を開くと、美味しそうな匂いが漂ってきた。
そこは、大きな机が中央にあり、その周りには椅子が並んでいる部屋だった。
そして、机の上には様々な料理が並べられていた。
エクーディアは中央の椅子を引き、誠二を呼んで座らせると、自分もその隣に座った。
「では、ディヤイアン。給仕を頼む。一人で食べると不安になるかもしれないからね。」
そう言うと、エクーディアはグラスに桜色の液体を注ぎ、誠二の前に置いた。
「どうした?食べないのか?」
椅子に座って固まっている誠二を見て、エクーディアが不思議そうに聞いた。ディヤイアンはすでに隣の部屋に消えている。
「食べないのかって・・・。お姫様は?」
おそるおそる聞くと、エクーディアは少し首をかしげて答えた。
「呪いを解いてくれるのだろう?
それなら心配は要らない。魔法使いの狙いは君だとディヤイアンは話しただろう?」
「でも、早く起こしたほうが・・・。」
「ゲストを空腹のままにしていたことがわかったら、姫は確実に怒られるだろう。だから大丈夫だ。」
「そうそう。それに、自分の世界に帰るんなら、飲んで食べて楽しんだほうがいいでしょ?」
いい匂いと湯気が立ち上る大皿を持って、いつのまにか戻ってきていたディヤイアンは笑顔で言った。
腹をくくった誠二は、食事を楽しむことに決めた。実際に腹はめちゃくちゃすいていた。
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