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第三章
経験の値6
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「でもね、わざわざ姫を目覚ませるために異世界人を召喚しなければならないような呪いを使って、無理難題を突きつけて自分の要求を受け入れさせたりするような奴も、たまーにだけどいたりするんだ。
どーせエクーディアのことだから、衣食住が保証されていれば問題ないって言ったんでしょ?でも本当はね、エクーディアみたいに純粋じゃないんだよ、みんな。」
少し俯いて考えた誠二は、顔を上げてディヤイアンを見た。
「・・・。なら、そいつって、王様に何を要求したの?」
「君を。」
「オレ?」
首を傾げて聞く誠二に、ディヤイアンは真面目な顔をして答えた。
「異世界人をこの世界に召喚するには、最初にも少し言ったと思うけど、とても危険で大変な技術が必要なんだ。その魔術師は、それを実践するために姫に呪いをかけたんだ。
そして君の召喚に成功して、姫の護衛であるわたしたちを派遣したの。姫を目覚めさせたいなら君を連れてこいってね。
そして、君を無事にもとの世界のもとの時間に帰すのがねらいなの。」
「えーっと・・・?」
ちょっと頭が混乱した誠二は、片手を上げてディヤイアンの言葉を遮った。
「・・・つまり、そいつは、異世界人を召喚して無事に送り届けるっていうすっごい難しい技をやってみたくなって、こんなことをしたわけ?」
「そうなるねぇ。」
とぼけた声で頷くディヤイアンを見て、誠二はへたり込んだ。
「なんか、最初にディヤイアンちゃんから聞いたのと全然話が違うような気がするんですけど・・・。」
ヤンキー座りをして上目遣いに自分を見る誠二に、ディヤイアンは少し困ったように笑った。
「ごめんね。でもね、わたし嘘は言ってないよ。まぁ、言葉を選んで誠二君が乗ってくれるようにはしたけどね。」
その言葉に、誠二は確かにと頷いた。あの時点で本当のことを聞かされていたら・・・多分怒って拗ねて帰っていただろう。
「・・・んじゃ、なんで今そんなこと教えてくれるの?」
「エクーディアが話しちゃったでしょ?それと、君には嘘をつくよりきちんと説明をしたほうがいいと思ったからかな?
・・・今からでも止める?あの魔術師の目的は、君を召喚して送り届けることだから、今すぐにでも帰ることは出来るよ。」
その言葉に、誠二は頭を抱えた。正に今、自分が考えていたことだったからだ。
しばらくして、誠二はのろのろと立ち上がった。
「・・・でも、それじゃお姫様が眠ったままでしょ?」
「まぁ、そうなるかな?」
「んじゃ、行きがけの駄賃にお姫様の呪いを解いていくよ。じゃないと、オレの目覚めがわるいもん。」
「ありがとう。」
ディヤイアンは爽やかに笑い、再び歩き出した。
・・・
「遅かったな。何かしていたのか?」
湖が見えてくると、頭上から聞きなれた声がした。
誠二が見上げるとエクーディアが幹に腰掛けていた。
「誠二君がなかなか起きなかったからか?」
「あたーりー。」
ディヤイアンが楽しそうに言った。
「すいません・・・。」
誠二は恥かしそうに小さく頭を下げた。
「それで、どうする?ディヤイアンから聞いただろう?」
頷く誠二の隣に、エクーディアは飛び降りてきた。
「オレ、お姫様の呪いを解く。それから帰るよ。」
肩を落とすエクーディアに、ディヤイアンは片目を閉じて笑った。誠二は湖の湖畔にある建物を見て、そんな二人には気づいていない。
「あそこにオレを召喚した奴もいるんでしょ?」
「あぁ。そうだよ。」
「じゃぁオレ、お姫様を起こしてから、彼女にこんな騒動を起こしたやつをお姫様に一発殴ってもらってから帰るよ。彼女にはそうする権利があるだろ?」
「・・・。」
口の中で言った言葉は、言い方こそ差があれ、二人とも同じ内容だったようで、エクーディアとディヤイアンは目を合わせて苦笑いをした。
どーせエクーディアのことだから、衣食住が保証されていれば問題ないって言ったんでしょ?でも本当はね、エクーディアみたいに純粋じゃないんだよ、みんな。」
少し俯いて考えた誠二は、顔を上げてディヤイアンを見た。
「・・・。なら、そいつって、王様に何を要求したの?」
「君を。」
「オレ?」
首を傾げて聞く誠二に、ディヤイアンは真面目な顔をして答えた。
「異世界人をこの世界に召喚するには、最初にも少し言ったと思うけど、とても危険で大変な技術が必要なんだ。その魔術師は、それを実践するために姫に呪いをかけたんだ。
そして君の召喚に成功して、姫の護衛であるわたしたちを派遣したの。姫を目覚めさせたいなら君を連れてこいってね。
そして、君を無事にもとの世界のもとの時間に帰すのがねらいなの。」
「えーっと・・・?」
ちょっと頭が混乱した誠二は、片手を上げてディヤイアンの言葉を遮った。
「・・・つまり、そいつは、異世界人を召喚して無事に送り届けるっていうすっごい難しい技をやってみたくなって、こんなことをしたわけ?」
「そうなるねぇ。」
とぼけた声で頷くディヤイアンを見て、誠二はへたり込んだ。
「なんか、最初にディヤイアンちゃんから聞いたのと全然話が違うような気がするんですけど・・・。」
ヤンキー座りをして上目遣いに自分を見る誠二に、ディヤイアンは少し困ったように笑った。
「ごめんね。でもね、わたし嘘は言ってないよ。まぁ、言葉を選んで誠二君が乗ってくれるようにはしたけどね。」
その言葉に、誠二は確かにと頷いた。あの時点で本当のことを聞かされていたら・・・多分怒って拗ねて帰っていただろう。
「・・・んじゃ、なんで今そんなこと教えてくれるの?」
「エクーディアが話しちゃったでしょ?それと、君には嘘をつくよりきちんと説明をしたほうがいいと思ったからかな?
・・・今からでも止める?あの魔術師の目的は、君を召喚して送り届けることだから、今すぐにでも帰ることは出来るよ。」
その言葉に、誠二は頭を抱えた。正に今、自分が考えていたことだったからだ。
しばらくして、誠二はのろのろと立ち上がった。
「・・・でも、それじゃお姫様が眠ったままでしょ?」
「まぁ、そうなるかな?」
「んじゃ、行きがけの駄賃にお姫様の呪いを解いていくよ。じゃないと、オレの目覚めがわるいもん。」
「ありがとう。」
ディヤイアンは爽やかに笑い、再び歩き出した。
・・・
「遅かったな。何かしていたのか?」
湖が見えてくると、頭上から聞きなれた声がした。
誠二が見上げるとエクーディアが幹に腰掛けていた。
「誠二君がなかなか起きなかったからか?」
「あたーりー。」
ディヤイアンが楽しそうに言った。
「すいません・・・。」
誠二は恥かしそうに小さく頭を下げた。
「それで、どうする?ディヤイアンから聞いただろう?」
頷く誠二の隣に、エクーディアは飛び降りてきた。
「オレ、お姫様の呪いを解く。それから帰るよ。」
肩を落とすエクーディアに、ディヤイアンは片目を閉じて笑った。誠二は湖の湖畔にある建物を見て、そんな二人には気づいていない。
「あそこにオレを召喚した奴もいるんでしょ?」
「あぁ。そうだよ。」
「じゃぁオレ、お姫様を起こしてから、彼女にこんな騒動を起こしたやつをお姫様に一発殴ってもらってから帰るよ。彼女にはそうする権利があるだろ?」
「・・・。」
口の中で言った言葉は、言い方こそ差があれ、二人とも同じ内容だったようで、エクーディアとディヤイアンは目を合わせて苦笑いをした。
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