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第二章
運動と衝撃3
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「なかなかやるなぁ」
ぱちぱちと拍手がしたのでそちらを見ると、近づいてきたディヤイアンが手を叩いていた。
「剣を合わせられるとは思わなかったよ。エクーディアが利き手じゃない右手を使っていたとしてもね。びっくりしたよ。」
「・・・。全然で、かっこ悪ぃよ・・・。」
俯きながらしゃがみこみ、いじけている誠二に向かって、エクーディアは優しい目を向けて言った。
「なかなか筋はいい。最後は私も剣を使わせてもらった。」
「そーだよねぇ~。一応、親衛隊の隊長の一人なんだから、負けられたらそっちのほうが困るよ。」
「親衛隊?隊長!?」
仰々しい役職にびっくりした誠二がおうむ返しに聞いた。
「自己紹介した時に、話したはずだが?」
「覚えてないかな?」
にこにこと笑いながら言うディヤイアンを見て、誠二は首をかしげた。
「わたしが魔法使いで、エクーディアが剣士だって話は覚えてる?」
頷く誠二を見て、ディヤイアンは続けた。エクーディアは誠二の剣が飛ばされたところに行ってその剣を拾い、先ほどディヤイアンが座っていた木の根元に行き、バックパックを手にした。
「あのね、エクーディアもわたしも、王国軍に在籍しているの。その中でもエクーディアは、王位継承者である姫の護衛を担当する部隊の隊長なんだ。つまりわたしは、立場的にはエクーディアの部下になるの。
それに、わたしは小屋で紹介した通り魔法使いで、そっちの仕事もやりながら、姫の護衛もまかされているんだ。
他にも何人も姫の護衛はいるんだけどね。・・・誠二くんの所に来たのは、私たち二人だけだったの・・・。」
その言葉を聞き、誠二ははっとした表情をしてディヤイアンを見た。
「そんな顔しないでよ。これから姫の呪いを解きに行ってくれるんでしょ?そうしたら私たちの仲間も開放されるよ。」
にっこりと笑うディヤイアンを見て、誠二は力強く頷いた。
「オレ、たいしたことできないけど、早くお姫様を助けるためにがんばるよ。」
「それじゃ、剣技の基礎はやっといたら?
やって損することでもないし、なんかの役に立つかもよ?」
自分の横に来ていたエクーディアに視線を移したディヤイアンに、エクーディアは誠二が持っていた剣を渡してから首を振った。
「数時間程度では何も変わらない。剣を持たせるのは危険すぎる。」
「でも、素質はあるんでしょ?エクーディア楽しそうだったもん。」
(あんな無表情で楽しそうだったのか?)
思わずそう考えた誠二は、顔を引きつらせた。あんなに怖い顔で教えをこうむるのは正直勘弁して欲しいと思った。
「彼は足が速いので、何かがあったときは逃げてもらおう。私たちがいれば、そのような問題は起きないと思うが。」
「えー。訓練しよーよ。く~ん~れ~ん~!」
「・・・。ディヤイアン。ただ休みたいだけだろう?」
「あ、ばれた?わたし、普段からあんまり歩かないから。ほら、魔法使いってあんまり外に出ないからね。」
「何を言ってる。知らない誠二君を味方にしようとしているようだが、嘘は言わないように。
君は姫付きなのだから、ほとんど我々と同じように行動しているだろう?それに、魔法使いも体力が基本だ。
誠二君の体力も考えていたよりありそうだから、野営地まで休みなしで行くことにする。」
「えーっ。やーすーもーうーよー。」
「ま、まぁまぁ、二人とも落ち着いて・・・。」
(何でオレが仲裁してるわけ?)
そんなことを考えながら、エクーディアからバックパックを受け取った誠二は、戦力外通知をもらって少し落ち込んた。
ぱちぱちと拍手がしたのでそちらを見ると、近づいてきたディヤイアンが手を叩いていた。
「剣を合わせられるとは思わなかったよ。エクーディアが利き手じゃない右手を使っていたとしてもね。びっくりしたよ。」
「・・・。全然で、かっこ悪ぃよ・・・。」
俯きながらしゃがみこみ、いじけている誠二に向かって、エクーディアは優しい目を向けて言った。
「なかなか筋はいい。最後は私も剣を使わせてもらった。」
「そーだよねぇ~。一応、親衛隊の隊長の一人なんだから、負けられたらそっちのほうが困るよ。」
「親衛隊?隊長!?」
仰々しい役職にびっくりした誠二がおうむ返しに聞いた。
「自己紹介した時に、話したはずだが?」
「覚えてないかな?」
にこにこと笑いながら言うディヤイアンを見て、誠二は首をかしげた。
「わたしが魔法使いで、エクーディアが剣士だって話は覚えてる?」
頷く誠二を見て、ディヤイアンは続けた。エクーディアは誠二の剣が飛ばされたところに行ってその剣を拾い、先ほどディヤイアンが座っていた木の根元に行き、バックパックを手にした。
「あのね、エクーディアもわたしも、王国軍に在籍しているの。その中でもエクーディアは、王位継承者である姫の護衛を担当する部隊の隊長なんだ。つまりわたしは、立場的にはエクーディアの部下になるの。
それに、わたしは小屋で紹介した通り魔法使いで、そっちの仕事もやりながら、姫の護衛もまかされているんだ。
他にも何人も姫の護衛はいるんだけどね。・・・誠二くんの所に来たのは、私たち二人だけだったの・・・。」
その言葉を聞き、誠二ははっとした表情をしてディヤイアンを見た。
「そんな顔しないでよ。これから姫の呪いを解きに行ってくれるんでしょ?そうしたら私たちの仲間も開放されるよ。」
にっこりと笑うディヤイアンを見て、誠二は力強く頷いた。
「オレ、たいしたことできないけど、早くお姫様を助けるためにがんばるよ。」
「それじゃ、剣技の基礎はやっといたら?
やって損することでもないし、なんかの役に立つかもよ?」
自分の横に来ていたエクーディアに視線を移したディヤイアンに、エクーディアは誠二が持っていた剣を渡してから首を振った。
「数時間程度では何も変わらない。剣を持たせるのは危険すぎる。」
「でも、素質はあるんでしょ?エクーディア楽しそうだったもん。」
(あんな無表情で楽しそうだったのか?)
思わずそう考えた誠二は、顔を引きつらせた。あんなに怖い顔で教えをこうむるのは正直勘弁して欲しいと思った。
「彼は足が速いので、何かがあったときは逃げてもらおう。私たちがいれば、そのような問題は起きないと思うが。」
「えー。訓練しよーよ。く~ん~れ~ん~!」
「・・・。ディヤイアン。ただ休みたいだけだろう?」
「あ、ばれた?わたし、普段からあんまり歩かないから。ほら、魔法使いってあんまり外に出ないからね。」
「何を言ってる。知らない誠二君を味方にしようとしているようだが、嘘は言わないように。
君は姫付きなのだから、ほとんど我々と同じように行動しているだろう?それに、魔法使いも体力が基本だ。
誠二君の体力も考えていたよりありそうだから、野営地まで休みなしで行くことにする。」
「えーっ。やーすーもーうーよー。」
「ま、まぁまぁ、二人とも落ち着いて・・・。」
(何でオレが仲裁してるわけ?)
そんなことを考えながら、エクーディアからバックパックを受け取った誠二は、戦力外通知をもらって少し落ち込んた。
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