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第一章
冒険の始まり4
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「エクーディアさん・・・でしたよね?何してるんですか?」
エクーディアの言葉にディヤイアンが苦笑いをすると、暖炉のほうから自分を見ていたエクーディアと目が合った誠二が、大好きなおもちゃを見つけた子犬のような楽しげな目をして、嬉しそうに声をかけた。彼が犬なら間違いなく耳がぴんと立ち、尻尾が大きく激しくゆれていることだろう。
二人は軽くうなずきあい、ディヤイアンが誠二のほうに向かってきた。
エクーディアは火の世話をしている。
「お茶があったほうが、落ち着くでしょー?
今ね、エクーディアが美味しいの淹れてくれるから。
あとは・・・。あたしでよければ、『勇者』君の質問に答えるよぉ?」
誠二の前の椅子に、ちょっと苦労しながら座ったディヤイアンは、彼にそう問い掛けた。だが、誠二は複雑な顔をしてディヤイアンを見ている。
「・・・。その、『勇者』って何?・・・ですか?」
「あ、敬語じゃなくていいよぉ。普段しゃべってるとおりで。あたしたちもそうさせてもらってるからね。
『勇者』って言葉、気に入らなかったかなぁ?」
ディヤイアンは、小さく首をかしげながら続けた。
「君くらいの年齢の、地球の・・・日本人なら、『勇者』ってゆーの気に入ってくれると思ったんだけどなぁ?」
その言葉に、誠二は首を傾げた。
「日本人って・・・。ここ、日本じゃないの?」
誠二のきょとんとした顔を見て、ディヤイアンは苦笑いをしながら答えた。
「薄々気づいているとは思うんだけどぉ・・・。
ここは、君がいた世界じゃないの。ゲームや漫画や小説で見聞きしたことないかなぁ?
ここはねぇ、剣と魔法の世界。異世界ファンタジーってとこだねぇ。」
口をあけて間抜けに自分を見る誠二を満足げに見て、ディヤイアンは続けた。
「実はね。ちょーっと困った事があってね。この世界とは違う世界の住人である君を呼ばせてもらったの。」
ディヤイアンの話をまとめると、二人が仕えている主が、魔法使いにより呪いをかけられたという。
その呪いは、異世界よりこの地に招かれた人物、つまり『勇者』でないと解けないというものだった。
彼女たちは、ある魔法使いが召喚した人物が、誠二が寝ていた場所に現れれるということで現地に向かったのだが、目的の人物がいなくなっていたので探したとのことだ。
「・・・なんで森の中だったの?そのオレを召喚したって人のとこじゃだめだったの?」
エクーディアが淹れてくれたお茶は、緑茶のようなすこし濁った緑色だったが、誠二の母親が好きなミントのハーブティに似た爽やかな味だった。
誠二はそのお茶を一口飲んでから、お茶の入ったコップを両手で持ちながら幸せそうに飲んでいるディヤイアンに問い掛けた。
「実はねー、君が寝ていた場所はドゥエムワウムグイルンと呼ばれている場所で・・・。
って、あんまり難しく話すと訳せないよねぇ。うーん・・・。」
はてなマークを飛ばす誠二を見て、ディヤイアンは一度腕を組んでから、頷いて話を続けた。
「んー・・・。あそこはぁ、魔法を使う時の力・・・魔力でわかる?うん。それが集中する場所なの。
召喚みたいな大きな術を使う時はね、そういう場所でないと、失敗する確立がすっごく高くなっちゃうの。
失敗すると困るでしょ?時空のひずみに落ちたら、助けにいけなくなっちゃうからね。
それに、そのまま永遠に漂流しなくちゃならなくなる可能性もあるの。
それは嫌でしょ?
あと、召喚に手を貸してくれた人物がいる場所は・・・。あまり良くないとこだったの。
だから、あたしたちが出張してきたんだ。
・・・。少しはわかってもらえたかなぁ?」
「うーん・・・。なんとなく・・・。」
(てことは、オレって召喚獣?クラスやレベルはどのくらいなのかな?バハムートレベル100!
・・・ってことはないよなぁ・・・?)
そんな馬鹿なことをつらつら考えていた誠二は、ふと気になって呟いた。
「・・・。オレなんかでいいのかな?」
エクーディアの言葉にディヤイアンが苦笑いをすると、暖炉のほうから自分を見ていたエクーディアと目が合った誠二が、大好きなおもちゃを見つけた子犬のような楽しげな目をして、嬉しそうに声をかけた。彼が犬なら間違いなく耳がぴんと立ち、尻尾が大きく激しくゆれていることだろう。
二人は軽くうなずきあい、ディヤイアンが誠二のほうに向かってきた。
エクーディアは火の世話をしている。
「お茶があったほうが、落ち着くでしょー?
今ね、エクーディアが美味しいの淹れてくれるから。
あとは・・・。あたしでよければ、『勇者』君の質問に答えるよぉ?」
誠二の前の椅子に、ちょっと苦労しながら座ったディヤイアンは、彼にそう問い掛けた。だが、誠二は複雑な顔をしてディヤイアンを見ている。
「・・・。その、『勇者』って何?・・・ですか?」
「あ、敬語じゃなくていいよぉ。普段しゃべってるとおりで。あたしたちもそうさせてもらってるからね。
『勇者』って言葉、気に入らなかったかなぁ?」
ディヤイアンは、小さく首をかしげながら続けた。
「君くらいの年齢の、地球の・・・日本人なら、『勇者』ってゆーの気に入ってくれると思ったんだけどなぁ?」
その言葉に、誠二は首を傾げた。
「日本人って・・・。ここ、日本じゃないの?」
誠二のきょとんとした顔を見て、ディヤイアンは苦笑いをしながら答えた。
「薄々気づいているとは思うんだけどぉ・・・。
ここは、君がいた世界じゃないの。ゲームや漫画や小説で見聞きしたことないかなぁ?
ここはねぇ、剣と魔法の世界。異世界ファンタジーってとこだねぇ。」
口をあけて間抜けに自分を見る誠二を満足げに見て、ディヤイアンは続けた。
「実はね。ちょーっと困った事があってね。この世界とは違う世界の住人である君を呼ばせてもらったの。」
ディヤイアンの話をまとめると、二人が仕えている主が、魔法使いにより呪いをかけられたという。
その呪いは、異世界よりこの地に招かれた人物、つまり『勇者』でないと解けないというものだった。
彼女たちは、ある魔法使いが召喚した人物が、誠二が寝ていた場所に現れれるということで現地に向かったのだが、目的の人物がいなくなっていたので探したとのことだ。
「・・・なんで森の中だったの?そのオレを召喚したって人のとこじゃだめだったの?」
エクーディアが淹れてくれたお茶は、緑茶のようなすこし濁った緑色だったが、誠二の母親が好きなミントのハーブティに似た爽やかな味だった。
誠二はそのお茶を一口飲んでから、お茶の入ったコップを両手で持ちながら幸せそうに飲んでいるディヤイアンに問い掛けた。
「実はねー、君が寝ていた場所はドゥエムワウムグイルンと呼ばれている場所で・・・。
って、あんまり難しく話すと訳せないよねぇ。うーん・・・。」
はてなマークを飛ばす誠二を見て、ディヤイアンは一度腕を組んでから、頷いて話を続けた。
「んー・・・。あそこはぁ、魔法を使う時の力・・・魔力でわかる?うん。それが集中する場所なの。
召喚みたいな大きな術を使う時はね、そういう場所でないと、失敗する確立がすっごく高くなっちゃうの。
失敗すると困るでしょ?時空のひずみに落ちたら、助けにいけなくなっちゃうからね。
それに、そのまま永遠に漂流しなくちゃならなくなる可能性もあるの。
それは嫌でしょ?
あと、召喚に手を貸してくれた人物がいる場所は・・・。あまり良くないとこだったの。
だから、あたしたちが出張してきたんだ。
・・・。少しはわかってもらえたかなぁ?」
「うーん・・・。なんとなく・・・。」
(てことは、オレって召喚獣?クラスやレベルはどのくらいなのかな?バハムートレベル100!
・・・ってことはないよなぁ・・・?)
そんな馬鹿なことをつらつら考えていた誠二は、ふと気になって呟いた。
「・・・。オレなんかでいいのかな?」
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