ブレイクソード

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三十七話 開戦

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渡されたリストの情報を頼りにターゲットの屋敷に行く。今宵犠牲者となるのは魔法の名家と謳われるゲルマ家だ。



目的地に着いた。目の前には巨大な塔が立っていた。なるほど、魔塔と同じ建築ってことか。



魔塔とは、魔法を研究を主とする建造物の総称であり、見た目は一貫して塔を採用している。理由は飽くなき欲求が天まで届くからだとか。上に行けば行くほど地位も高くなっていく。ゲルマ家も同じだろう。



「どうすっかな」頭を掻きながら、どのように殺すのかを考える。上まで登っていくってのは、リスクがあるしな。正面突破,,,もあり得ないよな。俺は魔法に対してめっぽう弱いし。



狙うところを間違えたかな。リストを確認してほかの場所を狙うかを考える。ん?こいつらの魔法、屋内だと弱くないか?



リストには、高速詠唱による落雷攻撃って書いてある。落雷は屋外でしか起きないよな。これ、正面突破します。



大剣を担いで、入口に走っていく。警備にあたっているのは六人!すまんが犠牲になってくれ。「アクセラレーション」加速をして、背後に回る。ちっ、四人には気づかれたか。まあいい。二人は殺せる。



「うおらあぁ!」剣を横に思いっきり振る。こっちに気づいていなかった、二人の首は落とした。剣が刃こぼれしたな。こいつらのローブはどれだけ性能がいいんだ。



「侵入,,,!!」声を出そうとしていた警備に対して、咄嗟に魔法を飛ばす。簡単な風魔法だが、効果はあったようだ。



「古来より伝わる炎よ、今ここに顕現して,,,」くそっ、一番最初にに離脱した奴が詠唱を始めている。どうすればいいんだ?ここからじゃ殺せない。かといって俺がここから離脱をすれば革命が厳しくなる。



「構わず撃てぇ!!」考えている間に、拘束されてしまった。こいつら、「ストロング」を使っているな。引き剝がせない!!



「ファイアストーム!!」炎が俺に絡みつくように、うねりながら飛んできた。見切れてはいるが、どうにもできない。ここで終わりか,,,。



「マジックシールド!!」何者かが俺たちの間に入り、魔法を受け止めた。見覚えのあるフルアーマーだ。



「フェイン!お前は別のことをしているんじゃ!?」フェインとの計画では、俺が処理をしている間に、革命派を取り入れて、戦争の準備をしているはずだった。



「リズ様に任せています!!」短い言葉だったが、真意は汲み取れた。



「了解!助かった」俺はそのまま拘束をしていた奴らを振りほどいた。「ストロング」が無かったらただの雑魚だ。地面に組み倒して、喉元を腕に隠していた、ナイフで掻っ切った。



残りは三人、投擲でもしてみるか。風魔法で吹き飛ばした奴に向かって、ナイフを投げる。



サクッ!!小気味いい音が鳴り、首から血が噴き出た。命中した。案外やってみるもんだな。



あとは,,,フェインが一人殺したから、魔法を撃ってきたアイツだけか。「アクセラレーション」目にも止まらぬ速さで背後に回った。



スパァンッ!!はじけるような音が後ろから聞こえた。横切ったときに剣を振って、真っ二つにした。



べちゃべちゃ!背中に血が付いたのが分かる。この生暖かさに、どろりとした感触。何回も触れてきている。



「助かったよ」血を拭いながら、フェインに手を出す。



「こちらこそ」手を握り返してきた。その時に微かに古くなった血の匂いがした。



「お前,,,もしかして」俺が言おうとした言雄が分かったのだろう。こちを手で押さえられてしまった。



「心は移り変わる季節よりも早く変わるんですよ」悲しみをこらえたような笑顔を向けてきた。



フェインも、酷なことをしたんだな。お前たちの願いは叶えてやるからな。塔のほうを向く。待っていろよ、その首を取ってやるからな。決意を固めて、塔の中へと足を踏み入れた。



「侵入者が来たぞ!!魔法を撃ち込め!!」」まじか、アイツ声じゃなくて、魔法でも伝えていたのか。十数人から魔法が放たれる。



「ブレイクさん、ここは私が凌ぎます。攻撃の勢いが収まってきたら、反撃を」彼女は俺の前に立って、マジックシールドを構えた。



ドォン!バァン!轟音が鳴り響く。魔法は俺達には届いていない。フェインがすげてを防いでいてくれている。こいつら、強いな。何もできないから、見に徹する。



見た感じ全員が上級の魔法を扱えるようだ。やるな、さすがは魔法の名家だ。それにしても一向に攻撃が収まらない。フェインも体が震え始めている。



無茶だが、前に出て殺すか。そうしないとこの先、どんどんきつくなるだろう。ろくな魔法を覚えていないから、魔法戦は不利なんだよ。ブランにもっとまじめに教わっておけばよかったよ。



後悔しながら、フェインの後ろから、飛び出した。



「ブレイクさん!?」フェインが困惑をしている。あ、伝え忘れた。でもすぐに戻るから、安心しとけ。



階段を駆け上がって、上に居る魔法使いを殺しに向かう。理由は一番数が多かったからだ。



「お前らに恨みはないが死んでもらうぜ」俺が言葉を発すると、背中の方から魔方陣が展開された。刹那、無数の剣が飛び出して魔法使いたちを、貫き、壁に刺さっていった。



運よく避けれた奴も居るのか。殺しておきたいが仕方ない、フェイルのところに戻ろう。



二階から、飛び降りてフェインの後ろの駆けていく。俺のすぐ後ろで魔法が炸裂している。危ないな、俺の足が遅かったら、死んでいたよ。



「ブレイク!なぜあのような無茶を!」盾を構え続けていた、フェインが切れていた。口調が変わるくらいに。



「すまん!お前の負担が凄そうに見えたからだ!また行ってくる!」謝ってまた俺は、魔法が飛んでくる、戦場に走り出す。



「あなたって人は!!」後ろから、怒号が飛んでくる。でも構ってはいられない。今は目の前の敵のほうが大事だ。



隙が多かった魔法使いのほうに飛び掛かる。これで残るは、二人か。上に一人と、奥に一人。もう終わるな。



「かかったな!!パラライズ!!」嘘だろ、全部演技かよ!くそが、体がしびれて動けない。



「これで死ねェ!!」俺の心臓めがけて、ナイフが刺さる。痛ってぇ、これはもう死んだ、絶対に死んだ。だって血が噴き出て無いもん。



ゑ?噴き出てない?あ、そういえば黒月の体毛入れっぱなしだった。パラライズの効果も無くなって体も動く。こいつは死んだと思って喜んでいる。



「死んでねーよ」剣を後ろから、心臓めがけて突き刺す。血が剣を伝って手まで流れてくる。



「,,,え??」男は情けない声を出して絶命した。手間取らせやがって。



残りの人間はフェインが始末してくれていた。守りから攻撃に変えた辺り、団長の称号が似合っているな。



「ナイスフェイン。この調子で上に行くぞ」肩をゴンゴンと叩きて、上へ行こうとする。



「ブレイク、ちょっと待て」腕を掴まれた。ギリギリと音が出ているくらい、力がこもっている。正直めっちゃ痛い。



「な、なんですか?」痛みに耐えながら、フェインに聞く。



「これからは、耳打ちでもなんでもいいから、伝えてから動け。こっちが困る」兜で顔が見えないが、キレているのが、手から伝わってくる。



「分かったから!離してくれ!剣が持てなくなるから!」



「分かったならいいだろう」やっと手を放してくれた。まじで痛い。掴まれたところが、青く変色している。この後の戦闘大丈夫かな。



青くなった腕をさすりながら、塔の上へ行ける専用階段を登りながら次の戦いについて考えていた。



魔塔二階は誰も居なかった。恐らく俺たちを警戒して、上階に固まっているんだろう。



「どうするフェイン?アイツら上で固まっているぞ」団長の肩書を持っているフェインにどうするかを聞く。



「癪だが、アイツらの土俵に上がるしかないようだな。目立ってしまうが仕方がない」俺の剣を見ながらそう言った。



「了解」剣を愛剣に取り換えて、スキルを発動させる。



全て壊せばいいんだな。府さしぶりに使うか。溜めは無限にできるからな。



「自由の咆哮!!」限界まで溜め込んだエネルギーを放出させる。



青い雷と衝撃波が天井に向かって放たれる。



轟音が俺たちの耳の中を満たす。視界は崩壊していく塔の瓦礫が満たしている。



数分間、砂煙が上がっていた。



視界が晴れ始めた頃、目の前には三人の影が立っていた。恐らくこの王国で一番強い雷使い達だ。



「お前らがゲルマ家のトップか?」目の前に居る人間に聞く。



返事は無かった。代わりに数百の落雷が襲ってきた。しかし、俺らに当たることは無く、周りに落ちた。



舐めてるな。もう一回自由の咆哮を使うか。



砂煙の中にスキルを撃ち込む。大きなが開いただけで、意味は無かった。



「ブレイク!上を見ろ!」フェインに言われて、空を見上げる。金の髪に目の下に涙のような模様が入った男たちがいた。



「君たちかね、私たちの塔を壊したのは?」一番年齢の高そうな男が口を開いた。



「そうだ」隠す気もない。殺す相手だからな。



「君たちは雷を見たことがあるかい?」別の男が口を開いた。次男か?



「君たちは魔導の極みを知っているか?」最後の男が口を開いた。



「何を言っているが分からんが、ここで死んでもらうぜ」剣を向け、宣言する。



「「「君たちのようなものは、魔導の前に屈することが決まっているんだよ」」」



三人が声を合わせて喋った。そして、昼が来たと思わせるほどの光が放たれた。



「くっ」「っ!」思わず目を閉じてしまう。



眼前に現れたのは、黄金の光を纏う龍がいた。見た目は完全にライ〇クスだ。



「さぁ、戦争を始めようか」重々しい声が辺りに響き渡る。



思ったよりも早く戦争が始まった。
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