ブレイクソード

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第十二話 次の木敵地

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結局雨が止んだのは、朝方だった。

綺麗な朝焼けは見えなくて、どんよりとした雲が空を覆っていた。

濡れ切った服を魔法を駆使して乾かしていく。

焚火は消えていたが、移動するので問題は無いだろう。

それよりも、問題なのはアクセルのほうだ。

あの後、テントからは物音が一切聞こえなかった。

「あれ?おはようブレイク、今日は早いのね」

テントから欠伸をしながら、ブランが出てきた。

「あぁ、おはよう」

俺もつられて欠伸をしてしまった。

「アクセルはまだ寝ているの?」心配するように、アクセルのテントを見ていた。

「アクセルは俺のテントに居るよ。あの後、雨にあたりっぱなしで心配だったからな」

俺のテントのほうを指す。

「だから、魔法の痕跡があるのね」

何もない大気や、地面を観察している。

「それよりも、アクセルの奴大丈夫かな。この調子だと、数日はここに留まることに,,,」

遮るように大きな声が聞こえてきた。

「おはようございます!」

昨日の様子とは打って変わって、元気な様子を見せていた。

何か変化でもあったのだろうか。ま、元気になっているならそれでいいか。

「体調は大丈夫か?」アクセルに聞く。

「大丈夫です。出発の準備をしてきますね」

答えるとともに、自分のテントのほうに歩いて行った。

「なんか、昨日とは別人のように見えるわね」

背中を見ながら、ブランが俺の肩を叩く。

「そうだな。もしかしたら、あれが本当のアクセルなのかもな」

キビキビと動くアクセルを見る。

「俺らも準備するか」自分のテントに戻って、魔法空間にしまっていく。

無論、今は必要ないもの以外だ。

全てが片付く頃には、鳥が鳴き始めていた。

「それじゃ、出発しますか」

全員が準備が整ったことを確認する。

「今度はどこに向かうんだっけ?」

ブランが目的地を聞いてきた。

「場所は、この森の最深部に居る「深淵樹」だ」

緑が濃くなっている方向を指す。

こいつは名の知れたモンスターで、この辺りに住んでいる町の人たちは絶対に近寄らない。

近づいたら最後、深淵の中に入ってしまう。

「深淵樹というと、暗闇魔法を使うトレントのことですよね?」

アクセルが確認を取る。

「そうだな。正確には闇魔法で、視界を奪うのが特徴だな」

アクセルの情報に俺が補足をする。

「そのモンスターって私たちが、倒すのを断念した奴よね?」

話をしているときにブランが、口を開いた。

「前は二人だから、断念をしたんだ。火力が足りないからな。でも。今はアクセルがいるからな」

バシバシと肩を叩く。

「そうなのね。なら、そいつを目標に行く方針ね」

俺とアクセルは大きく頷いた。

俺たちは、暗い森の中に、足を踏み入れた。

パきパきと、木の枝を折りながら、前へと進んでいく。最深部には程遠い。

何回かは、野営をする必要があるだろう。焦らなくていいんだ。

信頼できる仲間がいるからな。

ある程度歩いたところで、ブランが音を上げた。

「今日はもう無理かも,,,」息を切らしながら、報告してくれた。

なんかエロイな。

「色気がありますね」アクセルがちらちら見ながら呟く。

ポコッ。ブランがアクセルを叩く。小動物みたいだ。

「今日はここまでにするか。このペースで行くと、一日二日で辿り着くな」

足りなさすぎる脳みそをフルに使って計算をする。

「そうですね。いいペースです」アクセルが否定をしないんだ。合ってるだろ。

今日のキャンプの描写は、特になんもないからカット!!

「久々に見た気がするわね」お茶を飲みながら、ため息を吐いている。

「なんですかそれ?」

アクセルの疑問に対して、

「こうすると、すぐに夜がすぐに終わるんだよ」

「なんですかそれ。超常現象じゃないですかw」

その日の夜は、月が見えるほど晴れていて、森は笑い声で包まれていた。

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