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5.魔法具屋
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本日店休日。
ハイネの店は基本毎日開いているが不定期で休みになる。主に素材の補充、調合、時々リンデルに愛されすぎてベッドから出てこれなくてなど様々。今日はハイネの有り余る魔力を魔法石に溜める為の休みである。
ハイネの魔力はそこらにいる魔法師よりも多い。そして上手く消費できない体質。
この世界で魔力を持つ者は自分の魔力を体内でコップに溜めるかのように溜め満杯になると消費するまで溢れることはない。だがハイネはいつまでも魔力が流れ続けている状態。魔力が無限に出ているのではなく尋常な程の魔力量をしているだけだが、それはハイネの体調を侵すもので眩暈や吐き気に襲われる。ハイネはそれを回避する為に魔法石に自分の魔力を流し込み調整している。
因みに魔力を入れた魔法石は使用者の魔力を高める効果がある為一般的には高価で取引されており、買い手は主に貴族や魔法師を育てる学問など様々。ハイネは自分の魔力を知らないところで使われても困るので基本的には使い魔のご飯、時々騎士団や孤児院など信頼出来る人達に渡している。
「っは…、きっついな…」
机の上にいくつもの魔法石を並べ流し込む。1つ2つ…今日は6つの魔法石に魔力を注いだ。
「この間買い足したのに残りはこれだけ…早めに買い足しておくか」
残りの魔法石を数えながら一人呟く。使っているこの石は古い知り合いの店で購入しており他で買うより少し安い。生活に困っているわけではないが余裕があるわけでもないので消耗品は少しでも安く手に入れたい本音。
散らかした机の上を片づけ、上着を羽織り出かけようと準備をしていると店のドアが開く。店休日の看板を出してはいるが駆け込みで来客があることも時たまある為カギはかけていない。いないがノックも無しに入ってくる人は限られている。
「ハイネーいるかー?」
見知った顔、孤児院の先生トワがドアから顔を覗かせ手を振ってくる。その後ろにはリンデルとディアの姿もある。
「丁度そこで会ったんだ。折角だしみんなでランチでもどうかってことで誘いにきた」
「やぁハイネ、ごきげんよう。今日も美しいね」
遠慮なく入って来てはハイネを抱き寄せ頬にキスを一つ送るリンデル。見慣れた光景にトワもディアもスルーして昼食に行くかどうかを再度尋ねる。
「うん行く。先に用事済ませてくるから先に行ってて」
「用事?」
「イルのところ」
先に行っててと言ったものの結局みんなでハイネの用事に付いてきた。3番通りにある少し古びた外観の道具屋、日常に使うものから探索具、魔法具など何でも扱っている店主の名はイル。銀色の長い髪で少しアンニュイな雰囲気を出しているこの人物を城下町で知らない人はいない。そして城下町の年寄り達が子供のころからイルはイルの姿で、人か人外かは謎に包まれている。
カランと店のドアベルが響き奥から人が出てくる。
「おや、ハイネじゃないカ。みんなもお揃いで、ごきげんよう」
緩やかに手を振り中へ案内する。店内は用途ごとにまとめて陳列されていて手に取りやすいようになっている。一等広くスペースを使っているのは魔法具関連で色とりどりの魔法石が並んでいる。
「今日はどうしたんだイ?」
いつの間にか紅茶セットを用意し奥のテーブルへ促し用件を聞く。
「魔法石が無くなりそう。新しいのが欲しい」
「…この間渡した分は?」
「もう無くなりそう。一昨日で5つ、今日で6つ使った」
ハイネの言葉にピクリと眉を顰め近寄り手首や首など触診のように触れて魔力の流れを確認するイル。
「ちょっと異常だネ。体調はどう?」
「朝起きるとだるいし眩暈もする」
具合が悪いのかい?とハイネの肩を抱き寄せるリンデルだがその身体はイルの手によって奪われる。
「一度魔力量をちゃんと測った方がいいかもネ、ハイネこっちにおいで」
「おい、道具屋。私のハイネに勝手に触るな」
奪い返そうとするものの軽く躱されハイネとイルは店の奥の部屋に入って行く。ハイネはイルに手を引かれながらもリンデル達にちょっと待ってて、と声をかける。
床一面に大きな魔法陣が描かれ壁にも四方に異なる魔法陣が描かれた異様な部屋に入るとイルは魔法陣の真ん中に立つ様に言う。イルの手には水晶玉があり、水晶越しにハイネを見ると眉を顰める。
「うーん…これだと正確にはわからないネ」
「イルでもわからないのか」
ハイネの中ではイルは何でも知っていて何でも出来る人と認知している為、わからないと言うイルに疑問を浮かべる。
イルの持つ水晶は対象者の魔力量を見通せる魔法具である。騎士団でも使われるし学問の施設でも使われる一般的な道具であるがハイネの魔力量はそれを遥かに上回りはっきりとした量が見えない。
「イルでもわからないことはあるヨ。取り合えず対策は考えてみるから暫くは魔石に流し込むか使い魔クンに魔力を渡してもいいんじゃなイ?」
「それは…」
イルの言葉に俯くハイネ。魔法師が使い魔に魔力を与えるのは普通なことだが、ハイネはそれを何故か嫌う。
「使い魔クンはハイネからご飯が貰えてハイネは楽になる。それに使い魔クンからは高品質な素材が採れるようになって調合にも使える。もちろん素材を高値で売ることも…」
「イルやめて」
言葉を遮るようにハイネは手のひらでイルの口を押さえる。その指先は微かに震えていて俯いてはっきり見えない表情はどこか泣きそうにも見える。
「…そうだったネ、ごめんネ。さ、向こうに戻ろう」
そっと手を外しハイネの頭を数回撫でると背中を押し、店へ戻る。
「ハイネ!何もされなかったかい!?」
店に戻ると早々にリンデルが近寄りハイネをぎゅっと抱きしめあちこち触れてくる。普段ならそんなリンデルにツンとした言葉を返すハイネだが今日は違った。そっとリンデルの背に腕を回し緩く服を掴むと胸に顔を押しつけて甘えてくる。いつもと違うハイネの様子にリンデルも戸惑いを隠せない。
「ハイネ?どうしたんだい?どこか痛むのかい?」
ハイネは返事をせずに更に服をぎゅっと掴み続けるのを背中で感じたリンデルは優しく背をポンポンと撫でる。近くにいるトワもディアも心配そうにハイネを見つめている。
「ちょっと魔力量が多くて元気無くなっちゃっただけだヨ、心配いらないサ」
イルはそんなハイネを見て先程と同じように頭を撫でる。
「ハイネの身体のことならなんでも分かるからネ」
「なんだ道具屋、喧嘩なら買うぞ」
「事実だヨ。ハイネが初めて射精した時も知ってるんだからネ」
「あ”?」
「殿下、その顔はまずいですって」
ディアが止めに入るもリンデルとイル、この二人はすこぶる仲が悪い。悪いというより相性が合わない。幼い頃からハイネのことを知ってるイルとハイネを溺愛してるリンデル、お互いマウントの取り合いで顔を合わせれば煽り合う。
「イル、余計なことを言うな。リンデルもここで喧嘩するな」
ハイネは魔法石を見てくると、リンデルの腕の中から抜け出し陳列棚へ向かう。その後ろをトワが付いて行く。
ハイネの温もりがなくなりシュン…とするリンデルにイルは普通に声をかける。
「真面目な話し、リンデル殿下にお願いがあるんだヨ」
カウンターの引き出しから取り出してきた物をリンデルに渡すとにっこりと笑う。
「これでハイネの魔力量を調べて欲しいんダ。魔力に反応して動くからハイネの魔力が空っぽになったら終わり。その時間を計ってて欲しいんだヨ」
「魔力量を今測ったんじゃないのか?」
「測ったけど、まぁ正確にはわからないよネ。だってハイネだし。このままじゃハイネしんどいだろうから宜しく頼むヨ彼氏殿」
ニコニコと笑うイルに不審がるリンデルだがハイネのこととあらばやらないわけにはいかない。たとえそれが卑猥な道具だとしてもだ。
「理由は分かった。が、男根である必要はあるのか?」
そう、イルが渡した物はエグい形をした男根の偽物。所謂大人の玩具バイヴである。素材自体はシリコンのような柔らかさがあるが長さも太さもある。だが恐らくリンデルのよりは小さい。
「ん?見たいでショ?ハイネが一人でこれをイイトコロに当てて善がって何度もイク姿。止まらない動きに腰を揺すったりするの…見たくなイ?」
「見たいが?」
即答したリンデルにゲラゲラと笑うイル。誰しも恋人が一人で遊ぶ姿は見たいものである。普段は誘って来ない相手が一人淫らに喘ぐのだ。それは見たいに決まっている。
「ンフフ、素直な子は嫌いじゃないヨ、じゃあ任せたからネ」
イルはそう言い残すとハイネのところに行き魔法石を見繕う。リンデルは手の中にある玩具を見つめては頭の中ではどうやってハイネに使うかを必死に考えている。乱れるハイネを目の前に襲わない自信があるか。いやない。そんなリンデルの心中を察したディアが肩を叩き一言。
「抱き潰すのは自由ですけど程々にしてくださいよ」
ハイネの店は基本毎日開いているが不定期で休みになる。主に素材の補充、調合、時々リンデルに愛されすぎてベッドから出てこれなくてなど様々。今日はハイネの有り余る魔力を魔法石に溜める為の休みである。
ハイネの魔力はそこらにいる魔法師よりも多い。そして上手く消費できない体質。
この世界で魔力を持つ者は自分の魔力を体内でコップに溜めるかのように溜め満杯になると消費するまで溢れることはない。だがハイネはいつまでも魔力が流れ続けている状態。魔力が無限に出ているのではなく尋常な程の魔力量をしているだけだが、それはハイネの体調を侵すもので眩暈や吐き気に襲われる。ハイネはそれを回避する為に魔法石に自分の魔力を流し込み調整している。
因みに魔力を入れた魔法石は使用者の魔力を高める効果がある為一般的には高価で取引されており、買い手は主に貴族や魔法師を育てる学問など様々。ハイネは自分の魔力を知らないところで使われても困るので基本的には使い魔のご飯、時々騎士団や孤児院など信頼出来る人達に渡している。
「っは…、きっついな…」
机の上にいくつもの魔法石を並べ流し込む。1つ2つ…今日は6つの魔法石に魔力を注いだ。
「この間買い足したのに残りはこれだけ…早めに買い足しておくか」
残りの魔法石を数えながら一人呟く。使っているこの石は古い知り合いの店で購入しており他で買うより少し安い。生活に困っているわけではないが余裕があるわけでもないので消耗品は少しでも安く手に入れたい本音。
散らかした机の上を片づけ、上着を羽織り出かけようと準備をしていると店のドアが開く。店休日の看板を出してはいるが駆け込みで来客があることも時たまある為カギはかけていない。いないがノックも無しに入ってくる人は限られている。
「ハイネーいるかー?」
見知った顔、孤児院の先生トワがドアから顔を覗かせ手を振ってくる。その後ろにはリンデルとディアの姿もある。
「丁度そこで会ったんだ。折角だしみんなでランチでもどうかってことで誘いにきた」
「やぁハイネ、ごきげんよう。今日も美しいね」
遠慮なく入って来てはハイネを抱き寄せ頬にキスを一つ送るリンデル。見慣れた光景にトワもディアもスルーして昼食に行くかどうかを再度尋ねる。
「うん行く。先に用事済ませてくるから先に行ってて」
「用事?」
「イルのところ」
先に行っててと言ったものの結局みんなでハイネの用事に付いてきた。3番通りにある少し古びた外観の道具屋、日常に使うものから探索具、魔法具など何でも扱っている店主の名はイル。銀色の長い髪で少しアンニュイな雰囲気を出しているこの人物を城下町で知らない人はいない。そして城下町の年寄り達が子供のころからイルはイルの姿で、人か人外かは謎に包まれている。
カランと店のドアベルが響き奥から人が出てくる。
「おや、ハイネじゃないカ。みんなもお揃いで、ごきげんよう」
緩やかに手を振り中へ案内する。店内は用途ごとにまとめて陳列されていて手に取りやすいようになっている。一等広くスペースを使っているのは魔法具関連で色とりどりの魔法石が並んでいる。
「今日はどうしたんだイ?」
いつの間にか紅茶セットを用意し奥のテーブルへ促し用件を聞く。
「魔法石が無くなりそう。新しいのが欲しい」
「…この間渡した分は?」
「もう無くなりそう。一昨日で5つ、今日で6つ使った」
ハイネの言葉にピクリと眉を顰め近寄り手首や首など触診のように触れて魔力の流れを確認するイル。
「ちょっと異常だネ。体調はどう?」
「朝起きるとだるいし眩暈もする」
具合が悪いのかい?とハイネの肩を抱き寄せるリンデルだがその身体はイルの手によって奪われる。
「一度魔力量をちゃんと測った方がいいかもネ、ハイネこっちにおいで」
「おい、道具屋。私のハイネに勝手に触るな」
奪い返そうとするものの軽く躱されハイネとイルは店の奥の部屋に入って行く。ハイネはイルに手を引かれながらもリンデル達にちょっと待ってて、と声をかける。
床一面に大きな魔法陣が描かれ壁にも四方に異なる魔法陣が描かれた異様な部屋に入るとイルは魔法陣の真ん中に立つ様に言う。イルの手には水晶玉があり、水晶越しにハイネを見ると眉を顰める。
「うーん…これだと正確にはわからないネ」
「イルでもわからないのか」
ハイネの中ではイルは何でも知っていて何でも出来る人と認知している為、わからないと言うイルに疑問を浮かべる。
イルの持つ水晶は対象者の魔力量を見通せる魔法具である。騎士団でも使われるし学問の施設でも使われる一般的な道具であるがハイネの魔力量はそれを遥かに上回りはっきりとした量が見えない。
「イルでもわからないことはあるヨ。取り合えず対策は考えてみるから暫くは魔石に流し込むか使い魔クンに魔力を渡してもいいんじゃなイ?」
「それは…」
イルの言葉に俯くハイネ。魔法師が使い魔に魔力を与えるのは普通なことだが、ハイネはそれを何故か嫌う。
「使い魔クンはハイネからご飯が貰えてハイネは楽になる。それに使い魔クンからは高品質な素材が採れるようになって調合にも使える。もちろん素材を高値で売ることも…」
「イルやめて」
言葉を遮るようにハイネは手のひらでイルの口を押さえる。その指先は微かに震えていて俯いてはっきり見えない表情はどこか泣きそうにも見える。
「…そうだったネ、ごめんネ。さ、向こうに戻ろう」
そっと手を外しハイネの頭を数回撫でると背中を押し、店へ戻る。
「ハイネ!何もされなかったかい!?」
店に戻ると早々にリンデルが近寄りハイネをぎゅっと抱きしめあちこち触れてくる。普段ならそんなリンデルにツンとした言葉を返すハイネだが今日は違った。そっとリンデルの背に腕を回し緩く服を掴むと胸に顔を押しつけて甘えてくる。いつもと違うハイネの様子にリンデルも戸惑いを隠せない。
「ハイネ?どうしたんだい?どこか痛むのかい?」
ハイネは返事をせずに更に服をぎゅっと掴み続けるのを背中で感じたリンデルは優しく背をポンポンと撫でる。近くにいるトワもディアも心配そうにハイネを見つめている。
「ちょっと魔力量が多くて元気無くなっちゃっただけだヨ、心配いらないサ」
イルはそんなハイネを見て先程と同じように頭を撫でる。
「ハイネの身体のことならなんでも分かるからネ」
「なんだ道具屋、喧嘩なら買うぞ」
「事実だヨ。ハイネが初めて射精した時も知ってるんだからネ」
「あ”?」
「殿下、その顔はまずいですって」
ディアが止めに入るもリンデルとイル、この二人はすこぶる仲が悪い。悪いというより相性が合わない。幼い頃からハイネのことを知ってるイルとハイネを溺愛してるリンデル、お互いマウントの取り合いで顔を合わせれば煽り合う。
「イル、余計なことを言うな。リンデルもここで喧嘩するな」
ハイネは魔法石を見てくると、リンデルの腕の中から抜け出し陳列棚へ向かう。その後ろをトワが付いて行く。
ハイネの温もりがなくなりシュン…とするリンデルにイルは普通に声をかける。
「真面目な話し、リンデル殿下にお願いがあるんだヨ」
カウンターの引き出しから取り出してきた物をリンデルに渡すとにっこりと笑う。
「これでハイネの魔力量を調べて欲しいんダ。魔力に反応して動くからハイネの魔力が空っぽになったら終わり。その時間を計ってて欲しいんだヨ」
「魔力量を今測ったんじゃないのか?」
「測ったけど、まぁ正確にはわからないよネ。だってハイネだし。このままじゃハイネしんどいだろうから宜しく頼むヨ彼氏殿」
ニコニコと笑うイルに不審がるリンデルだがハイネのこととあらばやらないわけにはいかない。たとえそれが卑猥な道具だとしてもだ。
「理由は分かった。が、男根である必要はあるのか?」
そう、イルが渡した物はエグい形をした男根の偽物。所謂大人の玩具バイヴである。素材自体はシリコンのような柔らかさがあるが長さも太さもある。だが恐らくリンデルのよりは小さい。
「ん?見たいでショ?ハイネが一人でこれをイイトコロに当てて善がって何度もイク姿。止まらない動きに腰を揺すったりするの…見たくなイ?」
「見たいが?」
即答したリンデルにゲラゲラと笑うイル。誰しも恋人が一人で遊ぶ姿は見たいものである。普段は誘って来ない相手が一人淫らに喘ぐのだ。それは見たいに決まっている。
「ンフフ、素直な子は嫌いじゃないヨ、じゃあ任せたからネ」
イルはそう言い残すとハイネのところに行き魔法石を見繕う。リンデルは手の中にある玩具を見つめては頭の中ではどうやってハイネに使うかを必死に考えている。乱れるハイネを目の前に襲わない自信があるか。いやない。そんなリンデルの心中を察したディアが肩を叩き一言。
「抱き潰すのは自由ですけど程々にしてくださいよ」
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