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現代編前編
現代編第7話 出立
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翌朝準備を整えた俺は村の入り口で待機し、仲間や聖騎士達と共に指示を待ってた。
今日は彼らを先導し魔物の潜んでいそうな場所を回る。
(昨日もそうだったか……)
結成された探索部隊は異様な緊張感に包まれていた。
特に聖騎士達は皆表情を強張れせ、己の指名を果たさんと静かな炎を瞳に宿してる。
その時「注目!」と一人の聖騎士が声を上げた。
他の聖騎士達は一斉に身体を向け敬礼をする。
「私の名はクルト」
「第六位聖女護衛聖騎士団長を務める」
「フレイヤ様より本作戦の探索部隊長を拝命した」
ズワ!
クルトと名乗った聖騎士の掛け声だけで場の空気が更に引き締まる。
(あの方が護衛聖騎士団の団長……なんて迫力だ!それにあの鎧と背中の大剣……他の聖騎士よりも明らかに上質な装備だ……)
(だけど何だあの手提げ袋は?あんなの持って背中の大剣を振るえるのか?)
(団長が持ってるって事はよほど大事な物なのか?)
中身を知りたいのは山々だが今は話かける雰囲気ではなかった。
「我ら探索部隊は周辺の探索及び近隣村への周知を行う」
「これより探索任務を開始する探索部隊前へ!」
選ばれた者達はクルトに続きざっと入り口に立つ。
「フレイヤ様どうか我らに加護を」
フレイヤは両手を合わせ言葉を紡ぐ。
「皆様どうが御無事で」
「探索部隊出動!」
俺達は村の皆と祈る聖女様に送られ村を後にした。
元々魔物の住処だった洞窟や木々が密集する地域へ案内し聖騎士達と共に調査を行う。
少々の休憩を挟みながら日中それを繰り返し行った。
「はぁ、はぁ……此処も外れか……」
魔物の尻尾すら掴む事が出来ず時間だけが過ぎていった。
緑の風に揺られ囁く木々、視界の奥を横切る小動物。普段と変わらない風景が何処までも続く。
だがその中に未知の怪物が潜伏してるという恐怖が心身に重く伸し掛かり体力をゴリゴリと削っていった。
更に後ろを行く聖騎士達の放つ気迫が想像以上の圧迫感を生み身体を硬直させる。
(くぅ、前のめりに倒れそうだ……)
周りを見れば仲間達も明らかな疲れの色が滲み出ていた。
そして辺りが赤く染まり始めた頃、イサムがクルトに提案を出した。
クルトは「どうした?」と耳を傾ける。
「聖騎士団長殿じき日没となります。そうなれば捜索は困難を極めます」
「近くに我々が懇意にしてる村があります。そこで周知も兼ねて休憩を取ってはいかがでしょうか?」
クルトは周りを見回し少し考える仕草をする。
「……そうだなよしその村へ行く案内してくれるか?」
「はい!」
イサムの先導で部隊はニニ村へ向かった。
今日は彼らを先導し魔物の潜んでいそうな場所を回る。
(昨日もそうだったか……)
結成された探索部隊は異様な緊張感に包まれていた。
特に聖騎士達は皆表情を強張れせ、己の指名を果たさんと静かな炎を瞳に宿してる。
その時「注目!」と一人の聖騎士が声を上げた。
他の聖騎士達は一斉に身体を向け敬礼をする。
「私の名はクルト」
「第六位聖女護衛聖騎士団長を務める」
「フレイヤ様より本作戦の探索部隊長を拝命した」
ズワ!
クルトと名乗った聖騎士の掛け声だけで場の空気が更に引き締まる。
(あの方が護衛聖騎士団の団長……なんて迫力だ!それにあの鎧と背中の大剣……他の聖騎士よりも明らかに上質な装備だ……)
(だけど何だあの手提げ袋は?あんなの持って背中の大剣を振るえるのか?)
(団長が持ってるって事はよほど大事な物なのか?)
中身を知りたいのは山々だが今は話かける雰囲気ではなかった。
「我ら探索部隊は周辺の探索及び近隣村への周知を行う」
「これより探索任務を開始する探索部隊前へ!」
選ばれた者達はクルトに続きざっと入り口に立つ。
「フレイヤ様どうか我らに加護を」
フレイヤは両手を合わせ言葉を紡ぐ。
「皆様どうが御無事で」
「探索部隊出動!」
俺達は村の皆と祈る聖女様に送られ村を後にした。
元々魔物の住処だった洞窟や木々が密集する地域へ案内し聖騎士達と共に調査を行う。
少々の休憩を挟みながら日中それを繰り返し行った。
「はぁ、はぁ……此処も外れか……」
魔物の尻尾すら掴む事が出来ず時間だけが過ぎていった。
緑の風に揺られ囁く木々、視界の奥を横切る小動物。普段と変わらない風景が何処までも続く。
だがその中に未知の怪物が潜伏してるという恐怖が心身に重く伸し掛かり体力をゴリゴリと削っていった。
更に後ろを行く聖騎士達の放つ気迫が想像以上の圧迫感を生み身体を硬直させる。
(くぅ、前のめりに倒れそうだ……)
周りを見れば仲間達も明らかな疲れの色が滲み出ていた。
そして辺りが赤く染まり始めた頃、イサムがクルトに提案を出した。
クルトは「どうした?」と耳を傾ける。
「聖騎士団長殿じき日没となります。そうなれば捜索は困難を極めます」
「近くに我々が懇意にしてる村があります。そこで周知も兼ねて休憩を取ってはいかがでしょうか?」
クルトは周りを見回し少し考える仕草をする。
「……そうだなよしその村へ行く案内してくれるか?」
「はい!」
イサムの先導で部隊はニニ村へ向かった。
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