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第四章
三十一話 決着
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「ひぃ!いやぁ、来るな!来るな!」
奴は怒れる私の形相を鬼か悪魔に見えたのか。
錯乱しながら私を払いのけるように放たれた苦し紛れの衝撃波。
「くぅ!」
だがビギナーズラックだと言うのか。
衝撃波で狙いが反らされ、キン!と刃先がネックレスの宝石をかすめる。
奴は悲鳴を上げながら腰を抜かし、ドンと尻もちを着くとジリジリ擦りながら後退した。
「まだだ、これで!」
私は追撃と刃を天に掲げ、縦一文字の斬撃を放とうとした。
(セ……ラサ、ン、ニ、ゲテ!)
ギラリ!?心の頂が煌めき、感知スキルが危機を囁いた。
私は咄嗟に型を変え、剣を盾にしながら後ろに飛び跳ねた。
そして反対の手から放たれた衝撃波が私に覆いかぶさった。
「ぐああぁぁ!!」
体を歪ませる程に不快を極めた衝撃が私に襲い掛かった。
私は着地することもままならず、転がりながら地面に倒れこんだ。
「はぁ、はぁ、ネックレスへ一直線に……まるでこれの事を知ってるような……」
「そうか!ラミの奴、余計な入れ知恵をしたな!」
奴は肩で息をしながら魔女に悪態をつくと、すぐさま私から距離を取る。
「くそ!くそ!許さん!絶対に許さんぞ!」
「セイラ!貴様に絶望をくれてやる!」
絶叫した奴は手に魔力を込め狙いを定める。
「は!?しまった。や、やめろおぉ!!!」
私は後ろに飛んだ!背中から絶死が舞う。
衝撃波が横たわるリフル様に襲い掛かる。
すかさず体制を整え、私はリフル様の壁になると波動を切り払った。
「ふん、凌いだか。ならこれでどうだ!?」
奴は手をかざすと先ほどの報復とばかりに、リフル様めがけ追撃をかける。
私はそれらを残された力で払い続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ほれ、どうしたどうした!さっきの威勢は?体が震えているぞ!」
形勢逆転した奴の口から蔑みで濁った歓喜が吐き出る。
対する私は四肢の感覚が消えかかり、意識と共に今にも剣を振り落としてしまいそうだった。
(このままじゃじり貧だ。また私は……失敗するのか)
(誓いを果たす事も、約束を……大切な人達を護る事が出来す……永遠に失うのか……)
(く、暗い、途切れる……何も、考えられない……カ、カウル……私、もう、だめ……)
「…………」
「セ………さ……」
「あき……セイ……ん」
(聞こえる……幻聴?……貴方の声が……)
「諦めないで……セイラさん!」
(確かに聞こえた!?カウルさんの声が!)
私は……闇に包まれた瞼を開き、天を仰いだ。
いつの間にか奴の攻撃が止んでいた。
「貴様!出しゃばって……うぐぅ!?がぁ、体が……動かない!」
「何故だ!?肉体の主導権は我のはず……なのに……」
奴の体はまるで歯車のかみ合いがズレたようにガクガクと震え、そしてスキル覚醒の光に包まれてた。
「え、『選ばれし乗り手』!?何だこのスキルは!?くそ、これのせいで!……」
「許さないぞ!僕に乗って良いのは……ご主人とセイラさんだけだ!」
焦燥感に包まれてる奴の精神に向け言い放つように口が動く。
それは確かに私が護るべき主君の声であった。
「セイラさん迷わなで!この人を止めて!」
「ただの道具が逆らうな!」
「うぅ、いやぁ……セイラさん……助けて!!」
絶対救う!
闇に染まりかけた意識の中、私は貴方の声に応える為一歩、また一歩と、着実に踏み進めたられた。
「動け……動けぇ!くぅ、やめ、来る……来るなぁ!!」
「はあぁぁ!!!」
再び前に立った私は力を振り絞り、剣先を天高く掲げた。
「や……めろ、やだ、やめてぇ!」
「カウルさんを……返せぇ!!」
そしてネックレスの宝石目掛け剣を突き立てた。
次回 「貴方を抱きしめて」
奴は怒れる私の形相を鬼か悪魔に見えたのか。
錯乱しながら私を払いのけるように放たれた苦し紛れの衝撃波。
「くぅ!」
だがビギナーズラックだと言うのか。
衝撃波で狙いが反らされ、キン!と刃先がネックレスの宝石をかすめる。
奴は悲鳴を上げながら腰を抜かし、ドンと尻もちを着くとジリジリ擦りながら後退した。
「まだだ、これで!」
私は追撃と刃を天に掲げ、縦一文字の斬撃を放とうとした。
(セ……ラサ、ン、ニ、ゲテ!)
ギラリ!?心の頂が煌めき、感知スキルが危機を囁いた。
私は咄嗟に型を変え、剣を盾にしながら後ろに飛び跳ねた。
そして反対の手から放たれた衝撃波が私に覆いかぶさった。
「ぐああぁぁ!!」
体を歪ませる程に不快を極めた衝撃が私に襲い掛かった。
私は着地することもままならず、転がりながら地面に倒れこんだ。
「はぁ、はぁ、ネックレスへ一直線に……まるでこれの事を知ってるような……」
「そうか!ラミの奴、余計な入れ知恵をしたな!」
奴は肩で息をしながら魔女に悪態をつくと、すぐさま私から距離を取る。
「くそ!くそ!許さん!絶対に許さんぞ!」
「セイラ!貴様に絶望をくれてやる!」
絶叫した奴は手に魔力を込め狙いを定める。
「は!?しまった。や、やめろおぉ!!!」
私は後ろに飛んだ!背中から絶死が舞う。
衝撃波が横たわるリフル様に襲い掛かる。
すかさず体制を整え、私はリフル様の壁になると波動を切り払った。
「ふん、凌いだか。ならこれでどうだ!?」
奴は手をかざすと先ほどの報復とばかりに、リフル様めがけ追撃をかける。
私はそれらを残された力で払い続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ほれ、どうしたどうした!さっきの威勢は?体が震えているぞ!」
形勢逆転した奴の口から蔑みで濁った歓喜が吐き出る。
対する私は四肢の感覚が消えかかり、意識と共に今にも剣を振り落としてしまいそうだった。
(このままじゃじり貧だ。また私は……失敗するのか)
(誓いを果たす事も、約束を……大切な人達を護る事が出来す……永遠に失うのか……)
(く、暗い、途切れる……何も、考えられない……カ、カウル……私、もう、だめ……)
「…………」
「セ………さ……」
「あき……セイ……ん」
(聞こえる……幻聴?……貴方の声が……)
「諦めないで……セイラさん!」
(確かに聞こえた!?カウルさんの声が!)
私は……闇に包まれた瞼を開き、天を仰いだ。
いつの間にか奴の攻撃が止んでいた。
「貴様!出しゃばって……うぐぅ!?がぁ、体が……動かない!」
「何故だ!?肉体の主導権は我のはず……なのに……」
奴の体はまるで歯車のかみ合いがズレたようにガクガクと震え、そしてスキル覚醒の光に包まれてた。
「え、『選ばれし乗り手』!?何だこのスキルは!?くそ、これのせいで!……」
「許さないぞ!僕に乗って良いのは……ご主人とセイラさんだけだ!」
焦燥感に包まれてる奴の精神に向け言い放つように口が動く。
それは確かに私が護るべき主君の声であった。
「セイラさん迷わなで!この人を止めて!」
「ただの道具が逆らうな!」
「うぅ、いやぁ……セイラさん……助けて!!」
絶対救う!
闇に染まりかけた意識の中、私は貴方の声に応える為一歩、また一歩と、着実に踏み進めたられた。
「動け……動けぇ!くぅ、やめ、来る……来るなぁ!!」
「はあぁぁ!!!」
再び前に立った私は力を振り絞り、剣先を天高く掲げた。
「や……めろ、やだ、やめてぇ!」
「カウルさんを……返せぇ!!」
そしてネックレスの宝石目掛け剣を突き立てた。
次回 「貴方を抱きしめて」
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