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第四章
二十八話 闇
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(頭が……ぼーとする……僕……どうしちゃったの?)
何も……見えない。
何も……聞こえない。
まるで魂が闇に取り残されたようだった。
「目覚めたか。仮初の魂よ」
耳に息がかかると思う近さで声が聞こえた。
やすりで喉を削ったような痛々しい程に掠れた人の声だった。
「お前の役目は終わりだ。その体明け渡してもらうぞ」
(ひいぃ!?)
ミチュリ、グチュリ。不快な滑りのある生々しいモノが四肢に絡みつき、声にならない悲鳴が僕の内側で反響した。
(いやぁ!やだ!離して!)
体を捩り逃げようと足掻けば足掻く程より強く、中身を絞り出す勢いでぎしぎしと締め付ける。
(く、苦しい……助けて、ご主人……セイラさん……)
僕は愛する者と騎士の名を奇跡を願う思いで絞り出した。
しかし彼らの希望の反響は聞こえず、それは僕を貪りつくすように覆った。
視界に記憶にない光景が映し出される。
最初に見えたのは祝福の笑顔。
それが恐怖と憎悪の坩堝へ変貌する。
続いて焼けるような痛みが全身を覆う。
視界に飛び込んでくる無数の石。
やがて足元に無数の肉片が浮かぶ赤黒い血の海が広がる。
辺りは生命が腐った吐き気を催す匂いが包む。
そこで頭をかち割られ、脳みそに邪悪な言霊を流し込まれた。
……ひたひた。ひたひた。ひたひた。
刺される程に凍え、体の端々が崩れ落ちながら、先の見えない荒野を裸足でひたすらに歩く。
ただただ悲しく苦痛で、愛や信頼、温かみのような輝かしいものとは無縁の地獄。
(あが、あぁ、だ、だめ……こんなの嫌だ!やめて、やめてよ!いやああぁぁぁ!!!)
堕ちていく。
どんどん小さく、点より、小さく、なって……底に……沈……む。
次回 『騎士相対』
何も……見えない。
何も……聞こえない。
まるで魂が闇に取り残されたようだった。
「目覚めたか。仮初の魂よ」
耳に息がかかると思う近さで声が聞こえた。
やすりで喉を削ったような痛々しい程に掠れた人の声だった。
「お前の役目は終わりだ。その体明け渡してもらうぞ」
(ひいぃ!?)
ミチュリ、グチュリ。不快な滑りのある生々しいモノが四肢に絡みつき、声にならない悲鳴が僕の内側で反響した。
(いやぁ!やだ!離して!)
体を捩り逃げようと足掻けば足掻く程より強く、中身を絞り出す勢いでぎしぎしと締め付ける。
(く、苦しい……助けて、ご主人……セイラさん……)
僕は愛する者と騎士の名を奇跡を願う思いで絞り出した。
しかし彼らの希望の反響は聞こえず、それは僕を貪りつくすように覆った。
視界に記憶にない光景が映し出される。
最初に見えたのは祝福の笑顔。
それが恐怖と憎悪の坩堝へ変貌する。
続いて焼けるような痛みが全身を覆う。
視界に飛び込んでくる無数の石。
やがて足元に無数の肉片が浮かぶ赤黒い血の海が広がる。
辺りは生命が腐った吐き気を催す匂いが包む。
そこで頭をかち割られ、脳みそに邪悪な言霊を流し込まれた。
……ひたひた。ひたひた。ひたひた。
刺される程に凍え、体の端々が崩れ落ちながら、先の見えない荒野を裸足でひたすらに歩く。
ただただ悲しく苦痛で、愛や信頼、温かみのような輝かしいものとは無縁の地獄。
(あが、あぁ、だ、だめ……こんなの嫌だ!やめて、やめてよ!いやああぁぁぁ!!!)
堕ちていく。
どんどん小さく、点より、小さく、なって……底に……沈……む。
次回 『騎士相対』
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