4 / 23
1 異世界からの侵略
シーン3 三重県 うめの木市 県立うめの木学園1年B 組教室内
しおりを挟む「ねえ?お昼、どうする?」
今日は期末テスト前で半日登校日・・・
部活も当然休みとなって生徒達にとって貴重な日であった。
高校に入って初めての期末テストを迎え、いい点数を取りたいなぁ~…と漠然と考えていた優子はクラスメートの広美に声をかけた。
友人である、というだけでなく、今のところ学年上位と言われている彼女に勉強を教われば、少なくとも赤点を取るようなヘマはしないと思っているからである。
「ん?お昼?そうねぇ・・・あかりんトコお邪魔して3人でランチしない?」
あかりん…安藤明の家はここら辺では数少ない喫茶店を営んでいる。
仲良し3人組となった彼女達はよくここを利用しているのだった。
「あかりんトコのお母さんはタダでご馳走してくれるし…貧乏学生のうちらからしてみればありがたい話だよね~」
「ビンボーって…人聞きの悪い。ただ、バイトもしてないから所持金が心もとないってだけで・・・」
「おんなじことやん。今日日バイト禁止のガッコーなんてウチくらいのもんやん??」
そう言うと、広美は優子の手をつかんでそのまま自分の席でスマホを見ている明の側へ駆け寄った。
「あ~かりん☆この後あんたんちで勉強し…」
「…ごめん!ちょっ…静かにして!なんかへんな番組がスマホジャックしてるんよ」
「変な、番組?」
「すまほじゃっく??」
言われるがまま二人が彼女のスマホを覗き込むと、そこには今まで見たこともない美形な男性が映し出されていたのだった。
「この世界の全住人たちに告げる。
我の名はサダラーン。異界の王である。
…繰り返す。この世界の全住人たちに告げる・・・」
白髪、淡いコバルトブルーのような青い瞳、透き通るような白い肌…。
そんな男がこれまた渋いが澄んだ声でスマホからこちらに呼びかけていたのだった。
「うわぁ~…何、この美形!超かっこいいんですけどっ?!」
普段はあまり芸能人のことは気にかけない・・・と、いうよりは二次元のカッコいい男性キャラにお熱気味なオタク気質の明と広美の目がスマホ画面に釘付けになっていた。
「え~?私はあんま趣味じゃないなぁ…」
アニメは好きだ、という理由から仲良くなった3人だったが、優子は二次元キャラに恋をするほどハマっている訳ではなく・・・他の二人よりは冷静に物事を見ているのである。
そんな優子は妙な違和感を感じて画面の中の男を注意深く観察した。
・・・いや、そんなに注意深く見なくても頭の両サイドに、普通では見られないようなものが生えていることには気がつくのだが…元々二次元寄り嗜好の彼女達二人にはさしたる問題ではないらしい。
「ちょっ、黙って」
「・・・我々はこれよりこの世界を支配下に置くために侵略を開始する。
各国の主要人物、統治機関に属する者たちよ。私の言葉を理解したならば速やかにこの事態を受け入れ、対応せよ。
・・・我からの要求は3つ。
ひとつ。
全ての武装を放棄せよ。
ふたつ。
降伏し、従う意志があるならば統治機関の建物のどこかに白旗を上げて意思を示せ。
みっつ。
我が部下がそれぞれの政治的機関を運営する事になる。
その指示に従う事。
・・・以上だ。
猶予期間は一日与えよう。
我々としても出来れば平和的に望みたいが、この要求が受け入れられない場合…実力行使に出るのでそのつもりで事にあたって欲しい…」
「きゃ~♡!きた、きたぁ!お約束な事実上の世界征服宣言っ!!」
「こんな美形に支配されるんなら、世界征服されても良いなぁ…私♡」
「え~?!世界征服されちゃうんだよ?自由が無くなっちゃうかもしんないんだよ?
そんなの、嫌だなぁ…私・・・」
「・・・チャンネル登録とかってどうやるんだろ?私、サダラーン様のファンになっちゃうっ☆」
・・・こんな感じなのは何もこの高校生三人だけではなかった。
この後、この異様とも言える電波ジャックは世界中ですぐさま話題となった。
たちまちSNS上ではサダラーンがトレンド入りし、芸能事務所は・・・大なり小なりどころか海外の某有名映画会社までが彼の居場所を探し出すことに翻弄し、なんとか自分達の所属タレントにしようと躍起になった。
そんな一方、各国の政治機関では質が悪い電波ジャックであると判断を下し、それぞれの諜報機関が動き出して捜査が始まるのだが…
当然というか、信憑性にかけるトチ狂っているアホな宣言などする輩を本気で探し出すつもりは、各政治機関には全く無く、わずか1日でこの電波の出処を突き止めることなど出来なかった。
当然というか…各国の首脳達は誰もこれが本当に世界を脅かす事態である、とは全く考え無かったのである。
・・・そして、この相手を無視するかのような状況が一変する事件が、翌日の同時間帯に一斉に起きるのであるが…
現時点では何も起こらないまま、この放送終了後も世界はいつも通り…。
いつもの決まった場所では民族紛争や小競り合いはいつもどおりに行われ、大国は大国同士で睨み合いを続け、領土侵犯しただの資源がどうだの…自分の国の事中心で他の国の迷惑など顧みない国もいつも通りの嫌がらせを行い、それに対する遺憾表明を忘れないよう政治が動く。
…そんな変わりの無い茶番劇が世界ではいつもと同じように当然のように行われ・・・。
このように現時点では、世界はまだまだ普通に平和なのだった・・・。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる