巨大生物現出災害事案

113RC

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戦闘と被害

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爆発による火薬の臭いが辺りに充満し、ミサイルの破片が洋上に漂流していた。波は荒れ、まるで人類を敵にまわしているようだった。その海を巨大生物は進んでいた。ワニのような背面部を海上に出し、悠々と泳いでいる。化け物だ。その光景を見、RF4偵察機のパイロットは恐怖した。ハープーン二十発近くの雨を受けながらも、生物は何事もないような素振りを見せていた。


「『いずも』コントロール。ディスイズスパイ01。攻撃から7分が経過したが、目標は依然進行中。オーバー。」


攻撃を受けないであろう高度を維持しつつ、パイロットは酸素マスク越しに報告を入れた。


(スパイ01。ディスイズ『いずも』コントロール。ラジャー。間もなく第二派攻撃が実施される。スパイ01は直ちに現空域より離脱せよ。オーバー。)


無心で生物を見つめている中、無線でノイズ交じりの指示が飛んできた。第二派の攻撃。その内容にパイロットは一瞬、無駄だという一言が脳裏に浮かんだ。間近で見なければ伝わらない攻撃の威力、あれを見てからでは、どのような攻撃を加えようとも無駄であると思わざるを得なかった。しかし、ここで自分が意見具申しても、それこそ無駄でありパイロットは乾いた返事をし、操縦桿を右に倒した。






(艦長より達する。これより本艦は目標に対し第2派攻撃を敢行する。各員奮闘せよ。)


艦内オールにて、その声が護衛艦『たかなみ』内に響く。その内容に、全員が息を呑んだ。ハープーンによる攻撃では歯が立たなかったのか。その結果に自分達は一体何と戦っているのか分からなくなっていた。特に、CICに席がある隊員らは冷や汗をかいていた。


「作戦指揮所より入電。第2派攻撃は、航空攻撃と連携して0700に実施するとのこと。」


『いずも』との通信を任されている一等海曹が、おもむろに室内で声をあげた。その瞬間、全員の鼓動が早くなる。


「第二派攻撃0700了解。」


攻撃開始まで6分。緊張が走る中、艦長は短く返答をし続けるようにして、

「対潜戦闘!指揮所指示の目標!アスロック攻撃始め!」


CICの緊張した空気を薙ぎ払うように、艦長は怒鳴った。砲雷戦を担当する第一分隊が先程と同様に忙しく動き始める。


「発射5分前!VLA用意!」


砲雷長は一分隊の動きを振り返り見、指示を下す。各所で復唱が繰り返される。


「砲雷長VLA発射用意良し!」


その指示から2分。各所での準備が終わり、担当要員が最終報告を飛ばしてきた。


「了解。艦長VLA用意終わりました!」


全体的な報告を受け、砲雷長は隣に腰を降ろしている艦長に口を開いた。艦長は小さく頷く。


(VLA発射一分前。)

「VLA用意!」


発射に携わる要員が復唱する。そして、


「時間!」

「VLA攻撃始め!って!」


統制された時計を見、一人の士長が叫ぶ。それを聞き砲雷長はその言葉を絞らせた刹那、『たかなみ』の前部甲板に設置してある正方形型の垂直発射機から、縦に長い火柱が上がる。それと同時にアスロックと呼ばれる対潜兵装が発射された。その光景は『たかなみ』だけではなく、周囲に展開していた護衛艦各艦からも同じ動きが見られた。


「アスロック発射確認!正常飛行!」


白煙をあげ飛翔する弾頭を見、『たかなみ』艦橋の見張り員は叫ぶように報告を入れた。


「了解!艦橋よりCIC!アスロック正常飛行。目標に向け飛翔中。」


その内容を受け、航海長は険しい表情を浮かべながら無線にその言葉を放つ。そして、飛翔していく弾頭を自らも双眼鏡で見つめた。







 日が昇り始め、海面に太陽光が反射する。その光景にF2編隊の飛行隊長は思わずヘルメットのバイザーを降ろした。直後、


(飛行隊各機、こちら『いずも』。現在護衛艦隊よりアスロックが発射された。よって各機は高度に留意しつつ攻撃を行え。)


通信員の業務的な口調が、耳をざわつかせてきた。高度に留意。その言葉に飛行隊長は反射的に高度計へと目をおくった。一万フィート。表示された数字を見、正面に視線を戻す。そして、


「各機、こちらコマンドリーダー。アスロックが洋上に着面した時点で高度を下げる。『いずも』からの無線を聞き逃すな。」


酸素マスク越しに注意を促した。彼は、三十機という大編隊を率いてこの空域に来ていた。全機が対艦ミサイルをその翼下に抱えている。自分自身も例外ではなく、足元には対艦ミサイルを二発装備していた。まさか自分が飛ぶことになるとは。飛行隊長はオレンジに染まる空を見つめ、一人ごちた。彼は航空学生として入隊し、築城三沢とF2を乗りこなしてきた。


今では横田基地の運用幹部として勤務し、戦闘機を降りて半年が経過していた。しかし、横田基地の廊下で司令部幕僚と会ったが運の尽き。トントン拍子で話が進み、彼は今この空を飛ばざる負えない状況となった。廊下で会わなければ。そう思い、酸素マスク内で軽い溜息をつく。それから数秒、


(アスロック全弾、着水を確認!飛行隊、アタックポジション!)


若い男性の声。飛行隊長は即座に反応し操縦桿を倒した。


「全機!アタック!」


下降に伴う激しいGが彼を襲う。自分の体重の数倍にもなる重力の気持ち悪さに堪えつつ、全機に指示を送った。直後、彼の機体後方を飛行していたF2編隊は個々に降下を始めた。青い機体群は太陽光を浴び、強い反射光を周囲に見せ、空に溶けていく。


「指定座標をレーダーにて確認!安全装置解除!FOX2!」


海面すれすれの高度をとりつつ、アフターバーナーを吹かす。そして指定座標を射程内に収めた事を確認した飛行隊長は荒々しい声で言い放ち、操縦桿にある発射ボタンに指を掛けた。直後、翼下から対艦ミサイルが離脱し、生物へ向けて飛行を始めた。しかし、


(観測班より各機、目標への命中。これを認めず!再攻撃の要あり!)


発射して2分。その報告が飛行隊長の耳をざわつかせた。思わず顔を顰める。だが、予想の反中だった。通常であれば、ミサイルは目標の熱や電波を探知し飛翔する。しかし今回目標は背面部のみを海面に出した状態で進行しており、熱を捉えるのは困難だった。


かといって電波となると、生物がそのような機械的なものを出している筈もない。そのため今回は、観測機の指示した座標に撃ち込むという、爆撃に似た手法をとった。が、爆撃はある程度目標に接近した上で行われるもので、対水上戦闘で今回のような形式のアウトレンジ攻撃を行うのはこれが初だった。


「了解!各機、こちらコマンドリーダー。目標への二次攻撃に移る!」


考えても仕方がない。飛行隊長は軽く首を振った。何故ならば空の世界では、考えている間に相当の距離を無駄に飛行してしまうからだ。我に返り、指示を出す。そして、


「全機!ブレイク!」


一度、フォーメーションを組み直さなければいけない。飛行隊長は反射的に感じ、短く怒鳴った。それと同時に操縦桿を倒す。またも激しいGが彼を襲った。鈍い声をあげつつ堪える。そしてGが収まり、編隊飛行に入ろうとした瞬間、再び彼の耳を無線がざわつかせた。









 「観測機より緊急!目標、進路を護衛艦隊に向けました!距離を詰めつつあります!」


アスロックが命中、航空攻撃も終わり、作戦を第三段階に移行しようとしている中、2曹の階級章を付けた隊員が徐に声をあげた。その内容に作戦幕僚が振り返る。


「目標の到達予想時刻は?」


作戦幕僚は険しい表情を見せ、問い掛ける。その額には汗が流れていた。


「0720。」


指揮所の一角に配置されている観測班の一人が短く報告を出した。0720。後6分。短すぎる。湯元は下唇を噛みしめた。


「目標との距離を維持しつつ・・・」

「目標潜航!」


指示を出そうと口を開いた瞬間、その続報が入り、湯元は今まで落ち着いていた表情を曇らせ、


「目標の位置、確認しているか。」


緊迫を隠せない声で問い掛けた。担当部署が忙しく情報の集約に入る。


「見失ったのであれば、海域の離脱を進言します。」


湯元の隣に腰を降ろしている作戦幕僚は、答えを聞く前に耳打ちしてきた。しかし、湯元は頷くことなく、口を閉ざしている。


「駄目です。目標の位置、確認出来ません。急速に深海へ潜った模様。」


それから2分弱。担当部署は苦戦しながら少しでも情報を得ようと動き回っていた。しかし、それに見合う結果は得られず、渋った表情で一等海尉の階級章を付けた隊員が報告をしてきた。湯元は舌打ちをする。しかし、すぐに気を戻し、


「目標の探知、最優先だ。何としてでも見つけ出せ。艦隊は各艦距離をとらせろ。」


険しい表情を崩さず、湯元は指示を出した。担当部署が忙しく動き出す。


「硫黄基地のP1にスクランブル掛けろ!」


その中、作戦幕僚が声をあげた。しかし、


「P1、エンジントラブルにより離陸出来ません!P3C2機が5分で離陸します!」


予想だにしない突然のトラブル。だが現場は冷静だった。直ちに代替案を提示し、動き出していた。作戦幕僚は一瞬顔が曇ったが、P3Cが飛べることを知り、口を噤む。


「甲板待機は?」


作戦幕僚の指示を聞き、『いずも』の艦長は甲板業務に従事している一尉に声を掛け、問うた。


「スポットに3機、発艦待機しています。3分あれば上がれるかと。」


ヘリの燃料補給について、艦の航空管制員と電話で打ち合わせをしていた一尉は、艦長の声に受話器を置き、答える。艦長はその報告に間髪入れず、


「全機あげろ。艦隊の直掩を除き全部だ。」


叫ぶように指示を出した。一尉は頷き、燃料補給の件を後に回し、航空管制員と打ち合わせに入った。その姿を見、艦長はスクリーンに視線を戻す。全員が緊迫した表情で動いていたが、その気持ちにはどこか、見つかるだろうという安易な考えがあるように思えた。

しかし、湯元1人だけは違い、額に汗を流しつつ、


「見つけないと、死ぬぞ。」


小さく呟き、静かに息を吐いた。






 「目標急速潜航!」


潜水艦『そうりゅう』の発令所内で通信員が報告をあげた。その声に艦長を務める浅野は反射的に振り返った。


「目標の位置は?」


浅野は潜望鏡近くに立ち指示を出していたが、その報告に足を通信員の元に進める。


「目標の位置。確認出来ません。艦隊は混乱状態になっています。」


目の前にある機器を操作しつつ、通信員は続けるように報告をあげた。それを聞き、浅野は舌打ちする。


「前に出ますか?」


浅野艦長の指示を待ち、発令所内に沈黙が広がる中、副長が問い掛けた。全員の視線が浅野に注がれる。


「馬鹿言え!お前も見たろ、シャイアンがどうなったか。」


浅野はうつむき、険しい顔を崩さず吐き捨てた。数日前に見た光景、あれは死ぬ直前まで悪夢として出てくるであろうものだった。巨大な生物の爪によって引き裂かれる米原潜の末路、潜望鏡を通して一部始終を見た浅野にとっては恐怖そのものだった。


それに加え米軍監視任務の後、原潜の破壊音を聞いたソナー員は帰路の途中、そのショックから発狂し、横須賀に緊急搬送された。その経緯からして全員が生物を恐れていた。


「では、どうするんです。奴を見つけないと、艦隊も米軍の二の舞になりますよ!」


全員が意見を出し渋っている中、人一倍正義感が強い副長は怒鳴るような口調で口を開いた。

それは避けなければならない。そう感じた数人の海曹海士らが声を漏らした。しかし、


「お前、コイツが動いたからといって、艦隊が助かると思ってるのか!潜水艦はヒーローじゃねぇんだよ!思いあがるな!」


今まで傍観していた水雷長が話に割り込み、そう叱咤した。副長はその内容に絶句する。発令所内は地獄だった。艦の生死を決める幹部らが真っ向から割れていた。しかし、いくら意見が割れようが、その行く末を決めるのは艦長の浅野であり、彼は決断を迫られていた。


「艦長。指示を。」


再び沈黙が起こる中、副長は一歩前に足を進め浅野に指示を求めた。しかし、


「ソーナー目標探知!」


ヘッドホンを強く耳にあて、ソナー員が短く報告を飛ばしてきた。虚を突かれた形となった発令所の動きはワンテンポ遅れてしまった。まさか近くにいたとは。全員の頭に、生物の餌食となったシャイアンの姿がフラッシュバックする。浅野も例外ではなく冷や汗を掻いていた。


「目標の位置!」


艦長が問い掛ける前に、副長が口を開く。


「本艦の・・・真下です・・・!」


どっと忙しくなる発令所内。だが、ソナー員の続報に全員の動きが止まった。副長は思わず言葉を失う。


「メインタンクブロー!」


直後、浅野がそう言い放った。操舵主が操作に入る。それと同時に艦体が傾き始めた。


「『いずも』に救援要請!総員、離艦用意!」


ここで隊員の人生を終わらせる訳にはいかない。その思いから命令を下した。国を守る自衛官としては失格だった。しかし、この状況下において、浅野は自衛官より人としての決断を選んだ。


「間もなく浮上!」


担当部署からの報告を聞き、浅野は大きく頷く。離艦の命令を受けて、浮上をするに関係のない隊員らは既にハッチ周辺に集合していた。その報告を内線にて受けた副長は直ちに現地の統制に向かう。浅野はその後姿を見送り、発令所にいる隊員らにも離艦を促した。だが、


「浮上やめてください!」


海面まであと数十メートルという所で、ソナー員の言葉が再び全員の動きを止めた。操舵主は驚きの余り、反射的に浮上をやめた。


「どうした!」


浅野は押し潰されそうな恐怖感から怒鳴ってしまった。しかしソナー員は構うことなく、


「目標、急速浮上の後、本艦の周りを遊泳してます・・・!今動くのは不味いかと・・・」


ゆっくりと振り返り、ソナー員はそう続けた。全員が絶句する。


「あと少しの所を・・・!」


水雷長が苦虫を噛み潰したような表情で吐き捨てる。


「大丈夫だ。この艦は核を積んでない。襲われない・・・!」


海曹長の階級章を付けた古参隊員が、周囲をなだめるようにささやいた。


「そうだといいな・・・!距離は?」


浅野は、その声にそう返しつつ、静かな声で問い掛けた。


「もう間近です。距離なんていう距離じゃありません・・・。心臓の音が聞こえます・・」


冷静を装い応えるソナー員だったが、その顔は硬直していた。今一番に恐怖を感じているのはこの艦の誰でもない。このソナー員だった。生物の位置を断続的に伝えなければいけない自分だけは席を立つ訳に行かず、一番死が近い人物だった。しかし、全員の命を守れるのは他におらず、そのソナー員は腰の位置を変えることなく音を聞き続けていた。


「艦長。攻撃を、艦の正面に来た時を狙い攻撃。それと同時に浮上し離艦しましょう。」


全く状況が変化しない現状に、業を煮やした水雷長が進言してきた。発令所内の人間は思わず息を呑む。浅野も突然の進言に、すぐ返事が出来なかった。


「しかし、ここは焦る所では・・・」


確かに状況を打破できる名案だった。しかしそれは同時に生死を分ける博打でもあった。その考えから思わず声が漏れた。


「ソナー、出来そうか?」


浅野が渋っている中、水雷長はソナー員に成功可否を問うた。


「可能だとは思います。今のところ一定のスピードで本艦の周りを回っています。しかし、リスクは大きすぎます。」


声のトーンを抑え、ソナー員はそう意見した。


「こうなった以上、リスクは承知の上だ。艦長、指示を。」


下手なことはしたくない。海曹海士らがそう思うのとは裏腹に、水雷長は攻撃の可否を浅野に迫った。


その直後、


「艦長、副長が状況の説明を求めています。」


内線を受けた隊員が、話に割り込む形で口を開いた。ハッチ近くにて隊員らをまとめるために向かった副長だったが、いつまで経っても海上に出ない事を不審に思い、内線で確認を求めてきたのだった。


「先任に統率を任せ、副長を発令所に。」


攻撃の可否について悩みながら、浅野はそう口を開いた。内線を受けた隊員はその旨を伝える。


「艦長、『いずも』より緊急。本艦から少し離れた距離に爆雷を投下し、生物を離す。その間に避難しろ。とのことです。」


今にも腰が椅子から離れそうな通信員が、泣きそうな表情で報告を飛ばしてきた。それを聞き、発令所内は安堵の空気に包まれた。浅野は深い溜息を吐き、


「深度そのまま。ソナー、爆雷音が聞こえ、生物が離脱したならば速やかに報告。」


軽く肩を回し、各所に指示を与えた。命は助かった。その思いから、発令所の扉付近に居座っていた海曹海士らは自分の席に戻って行く。その流れにのり、副長も発令所に戻ってきた。


「助かった。艦隊の指揮に従えばいい。」


内線をとった隊員から概要を伝えられた副長はただならぬ顔だったが、浅野は落ち着いた表情で艦隊からの指示を伝えた。副長はその内容に安堵する。


「P3C。間もなく爆雷投下。」


その中、通信員が振り返りそう告げてきた。全員が身構える。


「離れてくれよ・・・!」


水雷長が思わず声に出す。


「爆雷投下。」

「ソーナー。爆雷の破裂音探知。」


それから数秒、通信員とソナー員がほぼ同時に声をあげた。周囲から声が漏れる。


「生物は!」


浅野はソナー員に問い質した。それに対しソナー員は右手で待ってくれと数秒制し、


「目標!離れて行きます!」


ソナー員は振り返り歓喜の声をあげた。


「浮上!」


その報告を聞き、浅野は即座に指示を出した。全員が待ちわびた瞬間。

数人の海曹は自分の椅子になだれた。


だが、


「右舷浸水!」


激しい振動と共に機関士が悲鳴のような声をあげた。浅野はその報告を聞き終わる前に、床に叩きつけられ、状況の理解が追いつけていなかった。


「舵!効きません!」


操舵主がハンドルを力一杯操作しながら叫び声をあげる。


「浸水抑えろ!」


浅野と同じく、床に叩きつけられた副長も、状況の理解に追いついていなかった。しかし浸水に対する対処は、反射的に体が覚えており即座に指示を出した。


「深度!深くなる!このままでは圧壊します!」


震度計を見つつ、機関長が報告をあげてきた。発令所内はまさに地獄絵図だった。


「一体・・・何が・・・!」


生物は去った筈だ。水雷長は目の前の現実を呑み込めていなかった。こめかみから出る血を掌で抑えつつ呟く。


「生物の尻尾です・・・!」


全員が焦り、事態に対処している中、水雷長の声にソナー員は振り返りそう答えた。


「尻尾で撃沈か。」


水雷長は絶句し、壊れた笑みを浮かべながらそう口を開いた。全員が死ぬまいと懸命に奮闘していた。しかし、浸水のスピードは予想より早く、潜水艦『そうりゅう』は水圧で押し潰される音をたてながら、太平洋の海底に姿を消した。








(『そうりゅう』の識別信号途絶!繰り返す!『そうりゅう』を確認出来ない!)


(海面に多数の漂流物を確認!救助を要請する!)


(ソナーにて状況確認。『そうりゅう』圧壊。繰り返す『そうりゅう』圧壊。乗員の生存は絶望的。遺品回収を要請する。)


『そうりゅう』から救援要請を受けて十五分、現場上空を飛行中のP3C哨戒機から、焦りを隠せない声で、指揮所に無線越しで報告が飛んできた。遅かったか。その思いがこみ上げると共に全員が悔し涙を呑んだ。


「救難艦を!」


幕僚ら、高級幹部が言葉を失っている中、古参の曹長が自分の席を立ち口を開いた。しかし、


「生物の動向は不明だ。今動かすのはリスクが大きすぎる。」


艦隊の運用に関わる三佐が、渋った表情で答える。湯元も返答が出来なかった。


「今行かんと!せめて遺品を回収せんと!ご家族に顔向け出来んばい!」


九州出身の曹長は、腰を引いている幹部らに対して一喝する。だが、生物による二次被害を防ぎたい幕僚らにとっては、到底容認出来ることではなかった。確かに、『そうりゅう』に乗艦していた隊員家族のことを思うと、今、回収艦を出すしかなかった。それに加え、奇跡が起きれば生存者を救助出来る可能性も見出せる状況であった。しかし、幹部自衛官として多くの隊員の命を預かっている身としては感情論に走ることは危険極まりないことであり、すぐに曹長の訴えに対し返答することは出来なかった。


「すまねぇ・・・。すまねぇ・・・。」


ただ下を向き、感情を堪える幹部自衛官らを目の前に、遺品回収を進言した曹長は涙を流し、膝から崩れ落ちた。それを見、通信業務についていた海曹海士らは思わず口を噤む。作戦中生命線となる通信が、この時、一分に渡り動きが停止した。各艦の要員から通信が殺到し、ヘッドホンから声が指揮所内に漏れる。


その中、湯元は静かに椅子から立ち上がった。そして、


「洋上に漂流している隊員を救助する。戦闘救難態勢に入れ。」


遺品は物ではない。隊員だ。その思いから指示を下した。


「了解。『ちとせ』を現場海域に向かわせます。」


湯元の力強い言葉。艦隊司令はすぐに反応し、潜水艦救難艦を向かわせるよう指示を下した。


「目標の現在位置は。」


艦隊運用を担当する部署が忙しく動き出す中、作戦幕僚が問い掛けた。


「現在P3Cが追尾中、本土への進路をとっています。現在位置は中之島の南東50キロ!」


本艦隊からは離れたか。その報告から司令室に安堵の空気が流れる。しかし、


「本土に行かせる訳にはいかん。」


湯元は独りでに呟いた。その声を聞き、隣に腰を降ろしている作戦幕僚が顔を向ける。

そして、


「本土上陸を阻止するならば、アウトレンジ攻撃から有視界戦闘に変える必要性があると考えます。」


作戦幕僚は苦し紛れに意見具申してきた。だが、その内容は作戦も何もなかった。目標に対し攻撃を集中し、圧倒的な火力を以て進行の意志を挫く。そういうことであった。


 犠牲が増える―


そのプランを聞いた司令室の面々は、直感的にそう感じた。湯元も即答が出来なかった。他の高級幹部も意見が出せず口を噤む。全ての決断は湯元に託されていた。


(目標の進路速度変わらず。上陸予想地点は関東圏の可能性大。)


司令室が再び沈黙に包まれる中、機械的な口調での定時報告が全員の耳をざわつかせた。先ほどの安堵感から一変、焦燥感に駆られる。国民を守れる場にいるのは自分達だけだ。その思いが全員の心に突き刺さる。


「やるしかありません。」


艦隊司令は思いを言葉に出した。心を決めた面々はそれを聞き頷く。


「司令官。指示を。」


表情一つ変えずモニターを見ている湯元に対し、艦隊司令が指示を仰いできた。幕僚らの後ろで業務にあたっている海曹海士は、その声に湯元を見る。視線を感じ、湯元は奥歯を噛み締めた。決断するしかない。今から『そうりゅう』のような結末を何度も見ないといけない事になることは目に見えていた。それだけ危険な任務。そう易々と指示を出す訳にはいかなかった。しかし、いずれは指揮官として覚悟を決めなければいけないこと。湯元はすっと目を閉じ、数秒念じると、


「『そうりゅう』の救難任務は続行!尚、護衛艦隊はこれより、有視界における生物掃討を開始しろ!」


重たくなった口を開き、湯元は指示を下した。その指示を聞いた司令室の面々は、一瞬動きが止まった。だが、すぐに我に返り通信要員らは各艦に指示を伝達し始めた。一時討論で作戦が止まっていたが、再び動き出す。その様子を見、湯元は小さく溜息をついた。













 警察車両のサイレンやヘリのローター音が、永田町に響き渡る。生物が関東圏に上陸するという一報を受けてから、東京都内はまるで戦時下のような様相を見せていた。都民の避難は順調に進んでおり、人口一千万を超す大都市は今や、その活気を失いつつあった。


その反面、現在は警察や自衛隊が各所に展開し、逃げ遅れた住民の避難補助や、治安面から必要になる警戒警備を行っている。全てを決定付ける首相官邸近辺では、テロを警戒して陸自の高射特科部隊が、近SAM(近距離地対空誘導弾)を待機させていた。その他にも、目出し帽を被ったSATの隊員らがフル装備で官邸の正面玄関に立ち、サブマシンガンを片手に周囲に目を光らせていた。絵に書いたような厳戒態勢。その中、岡山らは腰を動かすことなく、官邸地下の危機管理センター内で逐次指示を出し続けていた。


「川元くん。海自の作戦は上手くいっとるのかね?」


近隣の自治体に、避難民の受け入れ態勢について調整の議論を行っている中、柿沼経産大臣が思い出したように口を開いた。作戦を開始したという一報があってから二時間近くが経過し、それから報告が上がってこない事に対し、不審に思っていたからだった。


「はい。それが、市ヶ谷から報告が上がってこないのが現状で、現在確認のため連絡員を派遣した所でありました。」


避難への対応、そして相模湾沿岸部における陣地展開の行動要領について統幕の人間と調整を行っている中、柿沼から問い掛けがあり、川元は虚をつかれた形になったが、落ち着いた声でそう返した。川元の返答を聞いた閣僚らは思わず声を漏らす。


「隊員の生命に関わる重大事項だぞ。何故君が把握をしていない?」


センター内がざわつく中、岡山は表情を険しくし、厳しめな口調で口を開いた。


「申し訳ありません。四五分前に、航空攻撃及び対潜水艦兵装にて攻撃を行う旨の報告を受けていましたが、それ以降情報があがってきていないのが現状でありまして。」


岡山の厳しい指摘に川元は一瞬俯き、渋った表情で返答した。直後、閣僚らから非難の雨が降り注ぐ。


「直ちに、確実な現状を教えてくれ。彼らも日本国民で、我々には彼らを守らなければならない義務がある。」


スコールのように非難の雨が川元を襲う中、岡山は閣僚らを仕草で制し、念を押した。川元は頷き、大山を引き連れてセンターから退室していった。









 「川元統幕長より、至急現状を報告せよとのことです。」


防衛省地下にある統合作戦本部。その一室に設けられている会議室にて、各自衛隊の高級幕僚らがリアルタイムで作戦の調整を行っている中、二佐の階級章を付けた海自幹部が、書類を片手に報告をあげてきた。それを聞き、高級幕僚らは唸った。


「これで五度目の催促です。」


一佐の階級章を付けた陸自幹部が、焦燥感を隠せない表情で口を開いた。


「しかし、『そうりゅう』の件を出す訳にはいかんだろう。政治的判断で艦隊を撤退させたならば、我が実施可能な作戦に制限が発生する。」


海将補の階級章を付けた制服姿の海自幹部は、渋った表情で応えた。各所で溜息が漏れる。


(『いずも』作戦司令室より報告。我、これより有視界戦闘に突入す。繰り返します。我、有視界戦闘に突入す。)


官邸にどう報告するか。その内容で唸っている中、スピーカー越しにその声が聞こえ一同は耳を疑った。第七艦隊の二の舞になる。脳裏にその言葉が浮かび、高級幕僚らは焦った。直ちに数人の佐官が椅子から立ち上がり、『いずも』に現状を問い質すべく、足早に会議室を後にする。


「湯元め。何をとち狂ったか!アウトレンジ攻撃はどうした!」


湯元の二期先輩にあたる海幕長は一人でにそう叱咤した。


「有視界戦闘は止めなければ、大惨事になります。」


一佐の階級章を付けた海自幹部が身を乗り出す形で口を開く。


「分かっている!急いで止めさせろ!」


その場を統括していた統幕副長は、今まで口を閉ざしていたが、一佐の言葉に反応し、そう言い放った。統幕副長に一瞬視線が集中する。


「了解!」


その中で、先程情報把握に向かった佐官に加え、行動を止めるため新たな数人の佐官が部屋を後にした。統幕副長は彼らの姿を見送り、


「官邸には、現在戦闘を継続中。しかし生物の進路速度は変わらず。伝えろ!」


官邸担当の佐官に言い放った。担当の佐官は急ぎメモを取る。


「自衛隊を潰す気か・・・!」


官邸に連絡をとるため、部屋を後にする佐官を見届けながら、統幕副長はそう吐き捨てた。













「全艦、合戦準備完了!生物を有効射程内に捕捉!」


湯元が指示を下してから十分弱、『いずも』の司令室で三曹の階級章を付けた隊員が報告の声をあげた。艦隊司令が振り向く。


「艦隊の配置に問題はないか。」


額に汗を流しつつ問い掛けた。作戦運用に関わる部署が確認作業に入る。


「艦隊の配置、問題ありません。」


艦隊司令の問い掛けから一分弱、担当部署の尉官が応えた。艦隊司令はそれを聞き軽く頷いて見せる。

直後、

「市ヶ谷より緊急。有視界における戦闘行為は避けよとのこと。」


湯元が指示を下せば砲が火を吹く場面で、突然の行動阻止を促す内容に全員が息を呑んだ。


「ここにきてか!どうします。」


その中、作戦幕僚が湯元に指示を仰いできた。幹部要員らの視線が湯元に集中する。

さっきから決断をしてばかりだな。湯元は幾度にも注がれる視線を感じ、そう思っていた。また、もし作戦が上手く行き、陸に上がれたとしたら間違いなく懲戒免職だ。そうも思っており、すっと肩を落とした。その姿を見、作戦幕僚は眉をひそめる。


「しれ・・・」

「安全な地下にいて現場の何が分かるか。作戦は続行だ。市ヶ谷からの連絡は無視しろ。」


ここまで来ればやけだった。助かる保証もない中で、ここで無駄に被害を気にしていても仕方がなかった。国を守る立場として、私は間違いを犯していない。湯元は自分にそう言い聞かせ、その言葉を絞らせた。

「了解しました。合戦開始を十分後とします。」


指揮官としての覚悟。それを真摯に受け止めた作戦幕僚は鋭い眼差しで返した。その発言を聞き、隊員らが忙しく動き出す。


「あと、今飛ばせるヘリはあるか?」


各所で最終調整が始まる中、湯元は振り返り唐突に問い掛けた。


「SHが一機給油中。再び哨戒に充てる予定にありますが。」


多用途に使える回転翼機は、今作戦においては有能で、『いずも』の甲板からは休む間もなく離発着が繰り返されていた。その中においての問い掛けに、担当の幹部要員は首をかしげつつ返答する。

湯元はそれを聞き、


「よし。空自の要員を搭乗させてくれ。」


司令室内にいる空自隊員らを一瞥し、口を開いた。


「何故です!」


湯元の内容を聞き、隣に座っていた空自の連絡官は、立ち上がり反論の声をあげた。


「ここから先は、海自のみで実施する。空自には支援を貰い、助かった。だが、ここからは大丈夫だ。それに、市ヶ谷からの連絡を無視しているんだ。空自さんに迷惑を掛ける訳にはいかないよ。」


連絡官の肩を掴み、湯元はそう返した。その言葉に連絡官は口を噤む。


「では、頼む。硫黄島まで送ってくれ。」


俯く彼を見、湯元は周囲にそう指示を出した。

それを聞き、海曹海士らは空自隊員を甲板に誘導し始める。


「SHの発艦後、『いずも』も前に出してくれ。」


空自隊員らが司令室から退室した後、湯元は艦隊司令に指示を出す。


「了解しました。艦長、艦を前へ。」


艦隊司令は湯元の指示を受け、『いずも』の艦長に命令を振る。艦隊司令の隣に腰を降ろしていた艦長はその指示を聞き、卓上にあった内線を手に取った。


「艦長より艦橋。スポットのSH発艦後、前線に針路を取れ、最大戦速だ。」


野太い声で受話器に対し命令を出した。

それから数分、急なスピードアップから司令室内に揺れが生じる。


「司令、間もなく時間です。」


書類が卓上から落ち、海士らが拾い上げている中、作戦幕僚が口を開いた。ついにきたか。湯元はそれを聞き、大きく息を吐き出した。







 「目標を肉眼で確認!距離12000!」


陽が昇り海面を白く照り付ける中、『あきづき』の見張り員が双眼鏡を覗き込みながら報告の声をあげた。それを聞いた航海長は艦橋から身を乗り出し、自身も双眼鏡を片手に確認に入った。


「艦橋よりCIC。目標捕捉。」


ぼんやりと映る生物の背びれ。息を呑みながらも航海長は無線に報告を入れた。直後、艦内に緊張が走る。それは『あきづき』に限った事ではなく、周囲に展開する艦艇も同様であった。

今、『あきづき』を含む六隻の艦隊は中之島の近海を航行していた。艦隊は単縦陣を成しており、その先頭を『あきづき』は担っていた。


(CICより艦橋。取り舵90。艦隊はこれより有視界戦闘に突入する。)


「了解。取り舵90!」


今まではアウトレンジ攻撃で、VLAから撃ち出されるミサイルを見送るだけで良かった。しかし、今からは違った。直接眼で見える距離での戦闘に、全員の息は荒くなっていた。

これまで感じた事のない緊張に『あきづき』の艦橋内が包まれる中、その指示が無線越しに聞こえ、航海長は我に返り指示を復唱した。それを聞き、操舵手は命令を実行に移す。円盤のようなハンドルを回し、復唱する。同時に艦体は大きく傾いた。見張り員らは衝撃から近くの固定物に身を委ねる。直後、


(対水上戦闘!CIC指示の目標!主砲撃ちぃ方始め!)


生物に対して艦体が真横になったと同時にその声が無線から響いた。それから数秒、艦体正面に腰を据えている5インチ砲が、生物に向けて旋回を始めた。


始まる―


航海長は覚悟を決めた。


「CIC指示の目標!主砲撃ちぃ方始めー!」


鋭い眼差しで生物を睨みつつ、航海長は怒鳴った。各所で復唱が繰り返される。そして、


「合戦開始。時間!」


作戦を行うにあたり、統制された時間を見、航海科の二曹が怒鳴るように声をあげた。直後、


(主砲!ってー!)


訓練で効き慣れた砲術長の、叫びに近い声が艦内オールの無線で響き渡った。それと同時に主砲が火を吹き始めた。爆音と黒い発射炎、そしてきな臭い臭いが辺りを包む。一発砲弾を撃つ度に、艦橋の窓ガラスが小刻みに揺れる。その光景は『あきづき』だけではなく、それに続く後続艦からも放たれた。単縦陣で射撃をする姿はまるで日本海海戦の再来であった。


「見張り員!効果を確認!」


断続的な爆音が艦橋に響く中、航海長は見張り員の肩を叩き直接指示を出した。一士の階級章を付けた童顔の隊員は元気よく返事をし、食い入るように双眼鏡に目を押し付ける。


「目標への命中を確認!効果確認出来ません!」


「了解!艦橋よりCIC!主砲攻撃効果無し!」


甲高い声で報告をあげる一士を見、航海長は直ぐに無線に怒鳴る。自身も双眼鏡で生物を凝視すると、その光景に目を疑った。背びれに多数の命中弾を受けながらも、悠々と泳ぎ続ける生物の姿がそこにはあり、思わず絶句した。その直後、


(ハープーン攻撃始め!発射弾数四発!連続発射!)


砲雷長の緊張を隠せない声。それが無線から聞こえ、航海長は見張り員に伏せるよう促した。


(一番!撃てっ!)


少ししてその声が聞こえ、それと同時に艦橋の後方から、発射炎に包まれたハープーンミサイルが姿を現した。黒煙が見張り台にまで到達し、隊員らは顔を顰める。


「いいぞ。火力を集中しろ!」


黒煙が収まり、顔をあげた三曹は目を凝らし独り言ちた。


「そう上手く行けばいいがな。」


三曹の言葉に、古参の一曹は双眼鏡を覗きつつ応える。そして、


「ハープーン正常飛行!尚、主砲弾は引き続き目標に命中。しかし効果は認めず!」


一体奴は何者なんだ。最初は恐怖を感じていたが、ここまで攻撃が効かないのを見、一曹は苛立ちを感じつつあった。


「目標への更なる多重攻撃の要ありと考えます。」


主砲攻撃が止まない中、その一曹は無線に報告を入れた後、意見具申をした。航海長はそれを聞き、


「分かっている!精一杯やってるんだ。抑えてくれ!」


羅針盤の前に立ち、CICから逐次送られてくる戦術航行の命令。それを具体的にするべく奔走していたが、一曹の言葉に、落ち着くよう促した。それを聞き、一曹は舌打ちをする。しかし航海長とてこの状況を傍観している訳にはいかなかった。どうにか打破しなければならない。そう考え、


「艦橋よりCIC!艦長。更なる攻撃の要ありと考えます!」


CICで指揮を執っている艦長に直接指示を仰いだ。


(こちらでも現状は理解している。間もなく増援が当海域に到着する。それまで耐えてくれ。)


スピーカー越しから普段温和な艦長の声が聞こえてきた。しかし、今の艦長の声はどこか震えていた。今まで艦長の震えた声を聞いたことがなかった航海長は声を漏らす。


「すみません。了解しました。現状を維持します。」


モニター越しでも怖いんだな。航海長はそう感じつつ、再び艦橋の統率に入った。



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