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我慢

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…ピコン…
私の携帯が鳴った。

彼の手が伸びる。
「亜子ちゃんからメール』
彼が言う。
携帯を私に差し出す。

私の携帯は彼がいる時には彼が管理していた。
連絡が来ると、先に彼が見る。

出かける時にも彼の許可が必要だった。

亜子からのメールを読む
『最近連絡ないけど、平気なの?!心配だから連絡して!!!』

彼をチラッと見る。

『返したら?』
彼が自分の携帯をいじりながら答える。

『全然連絡出来なくてごめんね。引越しでドタバタしてて。』
久しぶりにメールを打った。

すぐに返信が来る。
『よかった!生きてた!引越したの?ほんと心配したんだからね!!!
あんた、明日時間ある?』

彼が私の携帯を覗く。
「行ったら?」
彼が呟いた。

「えっ?いいの?」

「いいよ。久々に会って気晴らししてきなよ。」

「ありがとう!」

すぐにメールを打つ。

『明日大丈夫!会おう!』

久々の亜子と会えるのが楽しみで久々に気分が晴れた気がした。





次の日

久々に鏡の前に立った。
目の下はくまができ、少し頬もこけていた。

急いでメイクをする。
すぐに着替える。

彼をみると、彼は自分の携帯をいじっていた。

「いってきます!」
久々に言った気がする。

「気をつけてね。ちゃんと連絡してね。」

「わかった。」



 …ガチャ…
 ドアを開けた。

………眩しい。
足早にその場を後にする。


久々の外出は空気が気持ちよかった。



「こっち!こっち!」亜子の声がする。
急いで駆け寄る。

「ごめん!待った?」

「大丈夫だけど、、、あんた痩せた?」

「うん。ダイエットした。」笑ってごまかした。

「ならいいけど、、、とりあえずご飯食べようか?」
カフェに入る。

テーブルにつくと、
亜子がふっーとため息をつく。

「どうしたの?」と訪ねると

「あんたさ、何年一緒にいると思ってんの?ウソついてんのバレバレ。」
と肘を突きながら不機嫌そうに言う。

核心をつかれ、少したじろぐ。
「ごめんね。じつはあんまり上手く行ってない。」
下を向く。

「やっぱりね。あんた、大丈夫なの?だいぶ痩せたし、顔色も良くないよ。」

「なんか体調があんま良くなくて。頭がボーとするんだよね。」

「ストレスとかじゃないの?彼と上手くいってる?」

「……うん。」

言葉が出てこない。

「前も言ったけどさ、この人は私が居なきゃだめなんだとかへんな正義感で、なかなか別れられなかった事前もあったよね?そういうのは恋愛じゃないよ。
ただの依存だよ?恋愛ってどっちかが我慢する事じゃなくてお互いが歩み寄らなかったら上手くなんていかないよ。私からみると、あんたすごい我慢してみえる。」

我慢……
確かにそうだ。私我慢してた。

そう思うとすっと力が抜けた。

涙が溢れた。
「私、我慢してた。私が我慢すれば上手く行くって。我慢してた、、、。」

せきをきったように涙が溢れる。

亜子が優しく背中をさすってくれる。




「別れたほうがいいと思うよ。」
亜子が呟いた。



「うん。そうするべきだと思う!」




わかっていたのに、考えないようにしていた。どうするべきか答えは出ていた。


私はその時、別れる事を決意した。



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