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里帰り②

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「とりあえず、話してみな。」と亜子は私の手に手を重ねた。

 手が触れた時、その温かさで涙がこぼれ落ちた。
 止めようとしても次々に溢れ、止まらなくなってしまった。
「くっ…うっ…」
 嗚咽が漏れる。
 少し気持ちを落ち着かせてから、これまでの事を話した。


 …ドンッ…


 亜子がビールジョッキをテーブルに叩きつけた。
「信じらんない!!!」
 と声を荒げる。

「ほんとだよね。私もなんかずるずるしちゃってさ。 付き合うの久々だったし、なんか1人になるのも嫌で。 情けないんだけどね。」
と答えた。


「そんなさ、自分の価値観でしか話せない男器小さすぎでしょ!何その職業差別。信じらんない!浮気疑惑もさ、核心じゃないにしろ怪しすぎるでしょ!最悪なんだけど!」
 と声をますます荒げながら、ビールをあおる。
 
 グラスがすぐに空になっていく。

「そうだよね。ほんとその通り。」
 私もビールをあおる。

「ってかさ、どうすんの?このまま付き合うの?それでいいの?」
 亜子は心配そうに私の顔を見る。

「今はまだ考え中。やっぱりおかしいって思う所はあるんだけど、優しい部分もあるからさ。話合っていけば、お互いに歩み寄れる部分もあると思うし。もう少し様子みるつもり。」
 
そう答えて、チラッと亜子をみると、
 不満そうな膨れっ面をしながら、
「まぁさ、あんたが決める事だからこれ以上は言わないけどさ、よく考えなよ。」と言った。

「うん。」と答えた時

 プルプル…プルプル…と電話が鳴った。
 着信画面を見ると、彼の名前だった。

 亜子が出な、と手で合図する。

 ペコっと頭を下げ、席を立ち居酒屋の外にでた。

「もし、もし」電話に出る

「飲んでるとこ、ごめんね。今着いたからさ。大丈夫?」
 
飲んでいる事はメールで伝えていたので、
「大丈夫だよ。無事着いたならよかった。」と答えた。

「うん。疲れたよ。まだ早いんだけど、疲れすぎたから風呂入ってもう寝ようと思ってる。また明日連絡するね。飲みすぎちゃだめだよー!」と少し眠そうな声で話す。

「わかった。じゃまた明日!」

「とりあえず、さわも帰る時と、家に帰ったらメール入れといて。」

「わかった。じゃ」と言って電話を切った。

 それから居酒屋に戻り亜子とまた飲み直す。
 2時間程たちそろそろお開きになる時にメールをしようと画面を開いた。

 …プルプル…
 発信音が鳴った。
 
…あっ間違えた。メールしようとしたら発信してしまったのだ。電話を切ろうとした瞬間

 …プープー…
 電話を切られた。

 あれ?…へんな胸騒ぎがした。
 もう一度電話をかける。

 …通話中…

 とりあえず、席を立ち店を後にした。
 そして、亜子と別れた後もう一度電話をかけた。

 …通話中…

 さっき電話してから30分以上経っていた。
 …誰かと話してる?…胸騒ぎがしながらも家に向かって歩いた。


 それから30分後
 プルプル…着信音が鳴った。
「もしもし。」
 電話に出る。
「ごめん。寝てた。どうしたの?」と彼が言う。

「えっ寝てたの?何度かかけたら話中だったけど、、、」

「えっ、、、寝てたよ?もしかしたら寝ぼけてへんなボタン押しちゃったかもしれない。ごめん。もう帰るとこ?」

「もう帰るとこだけど、、、」と話を続けようとしたが、遮るように、

「そっか。もう遅いけど、周り暗くない?へんな人とか居ない?気をつけて帰ってよ。家着くまで電話してる?」と続けて言われた。

 電車に乗るところだったので、「大丈夫。起こしてごめんね。」と言って電話を切った。

 電車に乗っても、何通も『ついた?』『大丈夫?』とメールが来ていた。

 何通かやりとりをしている間に家に着いた。

『ついたよ。』とメールをすると
『こんなに遅くなったら、心配するよ。今度からはもう少し早く帰ってね。』とメールが返ってきた。
『ごめんね。』とメールを返した。
『心配させないで。おやすみ。』
『おやすみ』
 そんなやりとりをしてその日は寝床に入った。
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