流浪の魔導師

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4章 ドワーフの兵器編 第1部 欺瞞の魔女

228. 斯くして魔女は邪悪に笑う 13

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 カツカツカツカツ……

「ふざけるにも程がある!」

 カツカツカツカツ……

「死にたいのなら勝手に死ねば良い!」

 カツカツカツカツ……

「確かに我らの力不足だが……だからと言ってあれはない!」

 早足で廊下を歩くベニバス。せわしなく鳴る靴音と共に止まらない愚痴ぐちあとをついて歩くレイシィは少しばかり呆れながら「らしくないですよ主任、少し落ち着きましょうよ」と声を掛けたが、しかしそれがまずかった。ベニバスはビタリと立ち止まるとクルリと振り返る。その顔は明らかな怒りに満ちていた。

(ヤバ……マズッたなぁ、これ……)

 と、レイシィがそう思った直後、ベニバスは「大体何故なぜ隊長と話した事を黙っていた!」と怒鳴った。至近距離での大声に顔をしかめるレイシィ。

(う~……キレイなやぶへびカマしてしまった……)

「そんな大事な事、報告して当然だろ!?」

「え~と、何と言いますか…………聞かれなかったから……?」



「子供か!!!!」



 なかばツッコミの様に怒鳴るベニバス。キ~ンとなった耳を押さえるレイシィに「言い訳下手か! どうせ言うならもっと上手い言い訳をしろ!!」と更に声を荒らげた。

「全く、分かっているのか!? 君は特務隊の……」

「あの、主任」

「何だ!」

「急いだ方が良いのでは?」

「…………分かっている!!」

 そう怒鳴るとベニバスは再びカツカツと早足で歩き出した。そしてレイシィは苦笑いしながらそのあとを追う。


 ◇◇◇


 しばし城内を歩き、二人が辿り着いたのは両脇を近衛兵が警備する立派な扉の前だった。レイシィは若干緊張した様子で「あの、主任……」とおずおずとベニバスに話し掛ける。

「何だ?」

「私、こういう場での作法的な事……まるで分からないのですが……」

「心配するな。礼式などにはご寛容かんような御方だ。余程の非礼をしない限り問題はない。それよりも……」

 言いよどむベニバス。「何ですか?」とレイシィが問い掛けるとベニバスはスッとレイシィに身を寄せ、近衛兵に聞かれないよう小声で答えた。

(嫌だと思う命令は拒否して良い、何でも受け入れる必要はない)

 レイシィにとってそれは予想だにしない言葉だった。驚いて「な……!」と声を上げたレイシィだったが、すぐにハッと気付き声を抑えた。

(何言ってるんですか!? そんな訳にはいかないでしょ、研究部門とは言え私達は軍人ですよ?)

(良いんだ、責任は私が持つ。そもそも君が尻拭いする筋合いなどない話だ)

(そりゃそうですが……)

 困惑するレイシィを余所よそにスッと離れたベニバスは、近衛兵に目配せしながら小さくうなずく。そして「さて、行くぞ」と呟いた。「え!? もうですか!? いやあの、まだ心の準備が……」などと慌てるレイシィだったが、その間にも近衛兵は扉の前まで移動し「失礼致します」と大きな声を上げる。

「陛下、ベニバス殿がお戻りになられました」

 そしてその言葉と共にゆっくりと扉は開かれた。同時にレイシィの身体にはグッと力が入る。

 レイシィはベニバスに連れられリドーの執務室を訪れていた。ディルの上申じょうしんを聞いたリドーは一旦ディルを下がらせ、話にのぼった新型魔法の発案者に意見を聞きたいとべた。そして上役うわやくであるベニバスに連れてくるよう命じたのだ。

「お待たせ致しました、陛下」

 そう言いながら入室するベニバスに続き「失礼致します!」と敬礼をするレイシィ。そしてリドーの座る執務机の前まで進むと再び敬礼する。

「魔法研究開発局第二班所属、レイシィでありますっ!」

「うむ、待っておった。しかし……」

 迎え入れたリドーはレイシィの顔をまじまじと見ると「若いな……いくつか?」と問い掛ける。

「はっ! 二十歳になりましてございますっ!」

「そうか……まだ二十歳か……」

 そう呟くとリドーは机に両肘を付き、下を向き何やら考え込む仕草を見せる。しかしすぐに視線をレイシィに戻し「現状どの様な事になっておるか、把握しておるか?」と尋ねる。

「はっ! 主任より伺いましてございますっ!」

「そうか、では前置きは良いな。レイシィよ、特務隊隊長とした話の内容、嘘偽りなく全て聞かせよ」

「はっ! かしこまりましてございますっ! 一昨日……」

「……あぁ、ちょい待て。リザルー! おるか?」

 話し始めたレイシィを制止しリドーは部屋の後方、隣室に繋がる扉に向け侍従長じじゅうちょうリザルーの名を呼んだ。するとすぐにその扉が開き「はい、控えております」との声と共にリザルーが顔を出した。

「済まんが茶をれてくれ、四人分だ」

 リザルーに茶を頼むとリドーはおもむろに立ち上がり「そっちで茶でも飲みながら話そうぞ」と隣室の扉を指差す。そして「王太子に、ベニバスも同席せよ」と付け加え隣室へ向かい歩き出す。
 王の執務室から直接出入り出来る隣室には、ソファーや大きなテーブルなどが置かれており休憩や打ち合わせが出来る部屋となっていた。リドーはガッチガチに固くなり何なら言葉遣いもおかしくなっていたレイシィを、少しでもリラックスさせてやろうと気遣ったのだ。

「さ、適当に座るが良い」

 リドーに促され三人はテーブルを囲む様にソファーへ腰を下ろす。程なくしてリザルーが手際良く四人分のお茶を用意し、くして準備は整った。

「ふぅ……」

 レイシィは出された紅茶を一口。思わずほっと息が漏れた。国王への謁見えっけんなど前にいた国でも経験はなく、こんなにも緊張し固くなるものなのかとレイシィ自身驚いていた。そしてこの部屋へ通されお茶まで用意してもらえたのは、ひとえに目の前に座る王の自分への優しさであると理解し素直にこう思った。

(ここは本当に良い国だな……)

 先程よりも随分と落ち着いた様子のレイシィを見て、頃合いだろうとリドーは改めて尋ねる。

「ではレイシィよ。特務隊のディルと何を話したのか、聞かせてくれぬか?」

「は。一昨日の事です。私は洗濯の当番でしたので各部屋を回って――」


 ◇◇◇


 特務隊隊員とのパンツを巡る攻防(洗濯するかしないか)の末、ディルはレイシィに大事な話があると告げた。そしてレイシィを連れて訪れたのは倉庫として使われている部屋だった。ここはディルがベニバスと密談をするのに使っていた部屋だ。しかしそんな事情を知らないレイシィは思った。

(人気のない倉庫に男と女……渋いナイスミドルに天才超絶美女魔導師……隊長はパンツより大事な話があると言っていたが……)

 そこまで考えるとレイシィはピンときた。

(パンツなど…………いらないと…………!? 私達の間にはパンツなど必要ない……パンツなど…………脱ぎ捨てよと!? もしや隊長は先を悲観し末期まつごなぐさみとばかりに私の事を…………いや、ナイスミドル……逆にアリっちゃあアリか…………?)

 などと考えていると、ディルは落ち着いた様子で口を開く。

「……今、君が考えている様な事にはならないから安心してくれ。私は既婚者だ」

「あ…………ソウデスカ…………」

 肩透かしを食らった様な心地のレイシィ。しかしそんな素振りはおくびにも出さず、澄まし顔で考察する。

(……なるほど。さすが隊長ともなると人の心が読めるのか……)

 否。当然ディルにそんな特殊能力はない。レイシィがこれ以上ないくらい分かりやすく勘違いした表情をしていたからである。

「こほん。で、私の身体が目的でないのなら、一体何の話です?」

 そう話しながらレイシィは壁際に置かれている木箱に腰を下ろすと、その上であぐらをかくように座る。

「どこからそんな自信が来るのかは分からんが……まぁ良いさ」

 ディルも話しながらその横の木箱に座る。そして「私が聞きたいのは、君達二班が研究していた新型魔法の事だ」と話を続けた。

「あぁ、その事でしたか」

「何でも凄い魔法だと小耳に挟んだのだが?」

「広域攻撃魔法と名付けました。その名の通り広範囲に効果を及ぼす魔法です」

「具体的にはどれくらいの範囲か?」

「術者の熟練度にもよりますが、そうですね……魔導兵達には軍基地の訓練場くらいの範囲は吹き飛ばせるようになってもらいたいと考えます」

「簡単に言うがそれでも結構な範囲だ……」

 呟くようにそう話すとディルはどこか一点を見つめて何やら考え込む。そしてレイシィに視線を戻すと「では君ならどうか?」と問い掛けた。

「私……ですか?」

「優秀な魔導師だと聞いている。君だったらどれくらいの範囲でその魔法を放てる?」

 ディルの問いに今度はレイシィが腕を組み考え込む。

「う~ん……フルパワーで試した事がないので……訓練場の倍? いや、三……四倍イケるかな……?」

 考えながらそう答えたレイシィだったが、しかしすぐに両肩と両手を上げ「とは言えですよ、これ実戦で使うには判断が難しいんですよね」と肩をすくめた。

「それは、味方をも巻き込む可能性があるからだな?」

「そうです。そこに敵しかいないという状況でなければ中々……まぁ抑止力としては充分な効果はあるかと思います」



「……やはりうってつけか」



 聞こえるか聞こえないか。そのくらいの小さな声でディルは呟いた。そして下を向き再び考え込む仕草を見せる。その姿にレイシィは強烈な違和感を覚えた。

 目が変わった。

 ディルの目が先程までとは違うのだ。その目は暗く、しかし奥底では鈍い光を放っている。それはある種の後ろ暗い決意に満ちた様な、そんな目だった。ただならぬ不穏ふおんな雰囲気を感じ取ったレイシィは「隊長……?」と問い掛ける。しかしディルはレイシィに視線を向ける事なく、暗い目をしたままこう答えた。

「その新型魔法……実戦で試したくはないか?」

 思わぬ返答だった。レイシィは戸惑い、そして少し笑いながら「実戦って……何言ってるんですか?」と聞き返した。しかしディルは表情を変える事なく「これはまだ私の頭の中にのみあるプランだが、賛同を得られればすぐにでも……」などと話すが「待って下さいって!」とレイシィはその言葉を遮った。

「今話しましたよね私? 実戦で使うには判断が難しいって」

 するとディルはようやくレイシィに視線を向ける。しかし相変わらずその目は暗いままだ。そして静かに口を開く。

「レイシィ。私が何を考えているか……当ててみろ」

 レイシィは少しばかり辟易へきえきとしながら「はぁ? 何ですか一体……」と面倒臭そうに答えるが、ディルはお構いなしに「いくつかヒントを出そう」と話を続ける。

「一つ、我ら特務隊には時間がない。二つ、特務隊はその内国にとって扱いの難しい存在となる」

「ちょっと待って下さいよ……」

「三つ、西のマーデイが侵攻を受けている。四つ、ドワーフは死に方にこだわる」

「待って……」

「五つ、私は意味のある死を……」



「待って!!」



 叫ぶ様に声を上げるレイシィ。そして突き刺す様な鋭い視線をディルにぶつけた。「何でそんな……」と呟くレイシィを見て、ディルはかすかに笑う。

「さすがに分かったようだな。君の考え、恐らく今度は当たりだ。はっきりと言おう、マーデイの地で我ら特務隊を敵諸共もろともほうむり去ってもらいたい。私が欲しいのは君の身体ではなく、君の魔法だ」

「冗談は止めて下さい……」

 吐き捨てる様にそう話すとレイシィは木箱から飛び降りる様に立ち上がり、部屋を出ようと扉へ向かう。が、ディルはレイシィの腕を掴み引き留めた。

「冗談でこんな話をするとでも?」

「冗談じゃなかったら何だって言うんです!? バカげてる……」

「君の怒りはもっともだ。その手を汚せと提案している訳だから……」

「そんな話じゃない……」

「では何だと?」

「ナメ過ぎだって言ってんですよ……」

「何を……」

「開発局をナメてるって言ってんです!! 皆優秀な研究者なんです! レゾナブルの治療法だって絶対に見つかります!!」

 必死の形相で怒鳴る様に訴えるレイシィ。相反あいはんしてディルは実に冷静に、そして実に静かに話す。

「私もそう思う、治療法は見つかる。いずれはな。だが現実問題として毎日途切れる事なく部下が地下に送られている。そしてとうとう死者が出た……死は待ってはくれないんだ。私達には時間がない、今動かなければ……」

 ディルの話を最後まで聞く事なくレイシィは掴まれている腕を振り払う。しかし部屋を出る事はなかった。理解出来る。ディルの気持ちが痛い程に良く分かるからだ。下を向いたままその場で立ち尽くすレイシィに、ディルはとどめとも取れる問い掛けをする。

「……仮に、君が私達の立場だったらどうする?」

「…………!!」

 反射的にレイシィはディルを見た。しかしすぐに視線を下へ外す。瞬間、ディルの暗い目に吸い込まれそうな錯覚におちいったからだ。

「何も出来ない。やりようがない。ただ待つしかないんだ。その間にも症状は進み仲間は次々と変貌へんぼうしてゆく。叫び、暴れ、面影おもかげなど微塵みじんもなくなる。元はこんな奴ではなかったのにとあわれれみにも似た同情心が生まれるが、しかしそれは決して他人事ではない。次は自分の番ではないのかと、口には出さずとも皆怯えているのが良く分かる。君はドワーフではないのだろう?」

「…………」

「ドワーフは何より死にきわを重んじる。如何いかに死ぬかが重要なんだ。ましてや私は軍人だ、余計に名誉ある死を望んでしまう。なのに……自分が自分でなくなり、訳の分からないまま死ぬなどと……受け入れられるはずがないだろう……」

「…………」

 レイシィは無言だった。下を向いたまま何も答えられなかった。仮に自分が彼らと同じ立場だったならどうするか。決まっている。して死を待つなんてあり得ない。きっと最期の時まで何かしら足掻あがき続けるだろう。ディルと同じだ、そう思った。だから何も答えられなかったのだ。

「これから部下達全員と話をするつもりだ。無論、強制などしない。ここに残ると決断をした者は置いてゆく」

「そんな事軍が……国が容認すると思ってるんですか……?」

「分からん。分からんがまぁ、突っぱねられる事はないだろうな。皆ドワーフだ、我らの気持ちは分かるはず。容認されなければ…………勝手に動くさ」

 軽く笑みを浮かべながらそう話すディルは、どこかすっきりとした顔をしていた。しかしすぐに表情を戻すと「それよりも……」と話を続ける。

「私としては国の判断より君の判断の方が重要だ。そもそも君が首を縦に振ってくれなければこのたくらみは破綻はたんする」

 そう話すとディルはじっとレイシィを見る。しばし下を向いたままのレイシィだったが、やがて「私は……」と重そうに口を開いた。

「私は軍人ですから……命令がない限り隊長の望む行動は出来ません……」

 やるともやらないとも言えなかった。ずるい答え方をしてしまったと、自分で話していながらレイシィはそう思った。だがこれがレイシィに出来る精一杯の返答だった。しかしディルにとってはこの返答で充分だった。

「……充分、充分だ。ならば私は部下達と上を説き伏せる事に専念すれば良い……済まないなレイシィ、恩に着る」

 そう話すとディルは扉へ向かう。目の前を通り過ぎたその一瞬、レイシィはちらりとディルの顔を見た。すでにその目には暗さはなく、どこか輝きに満ちている様な生き生きとした目に見えた。きっと暗闇に一筋の光が射し込んだ様な心地なのだろう。だがそれは死へと向かう道を照らす光だ。死ぬ為の方策ほうさくに希望を見出みいだし、結果目に光が戻るなど何という皮肉だろうか。バタンと閉められた扉を見つめながら、レイシィは思わず呟いた。

「そんな結末しかないのかな……」
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