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第3章 俺、戦うしかない?
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三章
「チッ、つまらん。もう少し追い込んでも良かったのではないか?」
「所長は相変わらず仁様に甘いですなぁ」
「お前ら二人が厳しすぎるんだよ」
「もう少し追い込まれてたら死んでましたけど?」
所長の言葉に応じて、二人が近くに寄ってきた。
「ウザったい」
鞘火が腕を振るうと周囲を覆っていた瘴気が消える。
「これくらいなら問題ありませんな・・・・・・・『水鏡掌』」
水緒が仁の額に手を当てる。途端に仁の体から黒い霧が猛烈な勢いで飛び出てきた。
「これで、体内に取り込んだ瘴気はとりのぞきました。普通に動けるはずですぞ?」
仁は、水緒の言葉をうけて拳を何度も握り込み、足に力が入ることを確認しようと屈伸運動をした
「本当だ。ありがとうございます、水緒さん」
「まったく、あれしきでだらしないな、少年は。迂闊すぎるぞ」
鞘火が仁の頭に再度拳骨を落とした。
「痛い!だから殴らないでくださいよ。迂闊だったのは確かですけど・・・・・」
「まぁ、そういうな鞘火よ。義弟はこれでも頑張っていたぞ?」
「頑張っても結果がでなければ無意味だ。努力が褒められるのは学生までで浪人生には適用されん。ましてバイトの身ならなおさらだ」
「・・・・・・・・・・」
鞘火の強烈な言葉に仁は首をすくめて黙ってしまった。そんな仁の肩に所長が手を置いて元気づけるように言う。
「そんなに落ち込むな義弟よ。俺はお前の努力を認めているぞ?」
「所長・・・・・・イヤ、兄貴・・・・・」
「明日は模試なのだろう?早く片付けて我らが事務所に戻るぞ」
「ハイ!頑張ります」
「前回の模試では判定が悪くて鍔木が怒っていたしな。今回も判定が悪ければ更に睡眠時間を削って勉強させると言っていたぞ?」
「一秒でも早く帰りましょう!そして、明日の模試に備えます!!」
仁のやる気が最高潮に達した。ちなみに、現在の睡眠時間は3時間である。
「ホッホッホ。やる気が出たようでなによりですな」
瞳に炎を燃やしてやる気漲る仁に、水緒が話しかけた。
「先程まで観察していたのですが、どうもあの木霊鬼は一種の催眠状態な気がしますな。あれだけの戦闘行為が出来る割に言動が不確かなのが気になります」
「どういう事ですか?水緒さん」
「おそらくなのですが、神木に宿る霊力を核に飄鬼が小細工をしたのではないかと思われます。人間に対して恨みを植えつけられたのはないでしょうか?」
「先ほど祓った時に感じたのだが、瘴気の質が飄鬼と同じように感じた。水緒の言う事はあながち間違いではないかもしれんな」
水緒の仮説を聞いて、鞘火が言った。
「最初から人間への恨みはあったのでしょう。それを利用されて鬼へと化したのかと」
「なるほど・・・・・・」
「飄鬼から分け与えられた瘴気を除けば木霊鬼も本来の姿を取り戻すかもしれません」
「私の浄炎で燃やし尽くす方が早くないか?」
「でも、瘴気を除いても元に戻る保証はない、と」
「どれだけの瘴気を溜め込んでいるかは分かりませぬからな。賭けになります」
仁と水緒は、鞘火の言葉を無視して頷きあった。
「出来る事なら本来の姿に戻してあげたいですね」
「おい、私を無視するなよ」
「仁様にお任せ致します」
「おーい、そろそろあちらさんも痺れを切らしそうだぞ?」
仁と水緒が話をしている間(鞘火は無視)、所長は木霊鬼の動向を警戒していた。瘴気を打ち消されたことと人数が増えたことで仁達の様子を伺っていた木霊鬼だったが、いよいよこちらに襲いかかってきそうだ。体から瘴気を漂わせて力を漲らせているのを感じる。
「さて、これからが本番だな」
「このまま皆さんが戦ってくれた方が早く片付きそうですけどね・・・・・・・」
仁は手に持ったままの小太刀を腰の後に装着した。仁のベルトには小太刀を固定できるホルダーが付いている。普段は左の腰横に下げているだが、戦闘時には動きの邪魔にならないようにホルダーを後ろに回して横向きに固定する。
「抜かないのか?」
ボルダーの位置を微調整をしている仁に所長が話しかけた。
「切るわけにはいきませんから。それに、この状態でも問題はないでしょう?」
「我が義弟は物好きだな。鞘火の言うような調伏でも問題はないのだぞ?」
「問題はなくても、自分には無理ですね。助けられるものなら助けたいです・・・・・・これでよしっと」
小太刀の位置を固定して、木霊鬼へ目を向ける仁。その視線は力強かった。先程までの気弱な雰囲気は微塵もない。
「スピードメインの敵なら、飄鬼対策がそのまま通じるかもしれません。想定通りの術を一通り試してみようかと思います」
左半身を後ろに引き半身の構えを取る仁、右手を顔の前に置き、視線は木霊鬼から逸らさずに三人に語りかける。
「三人共降ろします、よろしいですか?」
「仁様ならやれますよ」
「義弟は強い子だからな、問題ないぞ」
水緒と所長は一言ずつ残してその場から煙のように消えた。
「やっとで肝を据えたか。あまりわたし達をやきもきさせるなよ・・・・・・・・頑張るんだぞ、ご主人様」
そう言って仁の頬に軽く口づけをする鞘火。口を離し、笑顔を浮かべた鞘火は他の二人のように姿を消した。
「これ、やめて下さいっていつも言ってるのに」
口づけをされた頬をさすりながら苦笑を浮かべる仁。気合を入れ直して木霊鬼へ向き合った。
「チッ、つまらん。もう少し追い込んでも良かったのではないか?」
「所長は相変わらず仁様に甘いですなぁ」
「お前ら二人が厳しすぎるんだよ」
「もう少し追い込まれてたら死んでましたけど?」
所長の言葉に応じて、二人が近くに寄ってきた。
「ウザったい」
鞘火が腕を振るうと周囲を覆っていた瘴気が消える。
「これくらいなら問題ありませんな・・・・・・・『水鏡掌』」
水緒が仁の額に手を当てる。途端に仁の体から黒い霧が猛烈な勢いで飛び出てきた。
「これで、体内に取り込んだ瘴気はとりのぞきました。普通に動けるはずですぞ?」
仁は、水緒の言葉をうけて拳を何度も握り込み、足に力が入ることを確認しようと屈伸運動をした
「本当だ。ありがとうございます、水緒さん」
「まったく、あれしきでだらしないな、少年は。迂闊すぎるぞ」
鞘火が仁の頭に再度拳骨を落とした。
「痛い!だから殴らないでくださいよ。迂闊だったのは確かですけど・・・・・」
「まぁ、そういうな鞘火よ。義弟はこれでも頑張っていたぞ?」
「頑張っても結果がでなければ無意味だ。努力が褒められるのは学生までで浪人生には適用されん。ましてバイトの身ならなおさらだ」
「・・・・・・・・・・」
鞘火の強烈な言葉に仁は首をすくめて黙ってしまった。そんな仁の肩に所長が手を置いて元気づけるように言う。
「そんなに落ち込むな義弟よ。俺はお前の努力を認めているぞ?」
「所長・・・・・・イヤ、兄貴・・・・・」
「明日は模試なのだろう?早く片付けて我らが事務所に戻るぞ」
「ハイ!頑張ります」
「前回の模試では判定が悪くて鍔木が怒っていたしな。今回も判定が悪ければ更に睡眠時間を削って勉強させると言っていたぞ?」
「一秒でも早く帰りましょう!そして、明日の模試に備えます!!」
仁のやる気が最高潮に達した。ちなみに、現在の睡眠時間は3時間である。
「ホッホッホ。やる気が出たようでなによりですな」
瞳に炎を燃やしてやる気漲る仁に、水緒が話しかけた。
「先程まで観察していたのですが、どうもあの木霊鬼は一種の催眠状態な気がしますな。あれだけの戦闘行為が出来る割に言動が不確かなのが気になります」
「どういう事ですか?水緒さん」
「おそらくなのですが、神木に宿る霊力を核に飄鬼が小細工をしたのではないかと思われます。人間に対して恨みを植えつけられたのはないでしょうか?」
「先ほど祓った時に感じたのだが、瘴気の質が飄鬼と同じように感じた。水緒の言う事はあながち間違いではないかもしれんな」
水緒の仮説を聞いて、鞘火が言った。
「最初から人間への恨みはあったのでしょう。それを利用されて鬼へと化したのかと」
「なるほど・・・・・・」
「飄鬼から分け与えられた瘴気を除けば木霊鬼も本来の姿を取り戻すかもしれません」
「私の浄炎で燃やし尽くす方が早くないか?」
「でも、瘴気を除いても元に戻る保証はない、と」
「どれだけの瘴気を溜め込んでいるかは分かりませぬからな。賭けになります」
仁と水緒は、鞘火の言葉を無視して頷きあった。
「出来る事なら本来の姿に戻してあげたいですね」
「おい、私を無視するなよ」
「仁様にお任せ致します」
「おーい、そろそろあちらさんも痺れを切らしそうだぞ?」
仁と水緒が話をしている間(鞘火は無視)、所長は木霊鬼の動向を警戒していた。瘴気を打ち消されたことと人数が増えたことで仁達の様子を伺っていた木霊鬼だったが、いよいよこちらに襲いかかってきそうだ。体から瘴気を漂わせて力を漲らせているのを感じる。
「さて、これからが本番だな」
「このまま皆さんが戦ってくれた方が早く片付きそうですけどね・・・・・・・」
仁は手に持ったままの小太刀を腰の後に装着した。仁のベルトには小太刀を固定できるホルダーが付いている。普段は左の腰横に下げているだが、戦闘時には動きの邪魔にならないようにホルダーを後ろに回して横向きに固定する。
「抜かないのか?」
ボルダーの位置を微調整をしている仁に所長が話しかけた。
「切るわけにはいきませんから。それに、この状態でも問題はないでしょう?」
「我が義弟は物好きだな。鞘火の言うような調伏でも問題はないのだぞ?」
「問題はなくても、自分には無理ですね。助けられるものなら助けたいです・・・・・・これでよしっと」
小太刀の位置を固定して、木霊鬼へ目を向ける仁。その視線は力強かった。先程までの気弱な雰囲気は微塵もない。
「スピードメインの敵なら、飄鬼対策がそのまま通じるかもしれません。想定通りの術を一通り試してみようかと思います」
左半身を後ろに引き半身の構えを取る仁、右手を顔の前に置き、視線は木霊鬼から逸らさずに三人に語りかける。
「三人共降ろします、よろしいですか?」
「仁様ならやれますよ」
「義弟は強い子だからな、問題ないぞ」
水緒と所長は一言ずつ残してその場から煙のように消えた。
「やっとで肝を据えたか。あまりわたし達をやきもきさせるなよ・・・・・・・・頑張るんだぞ、ご主人様」
そう言って仁の頬に軽く口づけをする鞘火。口を離し、笑顔を浮かべた鞘火は他の二人のように姿を消した。
「これ、やめて下さいっていつも言ってるのに」
口づけをされた頬をさすりながら苦笑を浮かべる仁。気合を入れ直して木霊鬼へ向き合った。
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