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第10ピース

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 カチャッ。

「ふぅ~! やっぱりお茶は美味しい!」

 手に持っていたカップをテーブルに置き、一息つく。
 そして、恵まれた環境に感謝する。
 え? なんで恵まれてるって思ってるかって?
 説明しよう!

 私が生まれたこの地、クルサンタ王国は、王国暦1953年で、大陸一番の大きさを誇る大国!
 貿易を盛んに行うことができる大陸の真ん中にあって、常に輸入品と輸出品が飛び交ってるんだよ!
 商業国である隣のディーキャン商業国よりも品揃えが多いとまで言われてる!
 ふふん! 凄いでしょ! 私の国!

 だからこそ、誰もが良いイメージを持つわけではないみたいなんだよね~。
 それこそ、ディーキャン商業国とか、自国の誇りを汚されているようなものだし、妬む人も多いんだよー……。

 それに、国全体としては栄えていても、飢饉や犯罪は絶えないし、どうしても貧しい人はいる。
 ……そんな貧しい人たちに比べれば、王女なんて立場、喉から手が出るほど羨ましいよね~。
 前世が日本人だったっていう理由もあるかもだけど、私は、貴族だから、平民だからで差別されるのは極力避けたい!
 出来る事なら、なんだってして────

 ダダダダダダダダっ!!!!

「な、なに!?」
 
 急に聞こえてきた音に驚いて、カップを落としかける。

「ちょ~っと!! な~に美味しそうなの食べてんだよ!!」

 テーナさんは、猛ダッシュで来て、ムッとした顔をする。

「すみません! ティータイムにする前に行ってしまったので!」
「理由は、どうでもいい!! いい匂いがすると思って来てみれば……。勿論、あたしの分もあるんだよな? テーブルにはもう無いみたいだが?」

 匂い? 大分離れてたと思うけど……?
 鼻、利きすぎじゃない!?

「もちろん、テーナさんの分も別に残してありますよ。皆さん、テーナさんのことを忘れてしまったかのように、夢中になって食べてましたね~」
「ほぉぉ~? あたしを忘れて? 夢中になって食べてた? ……説明してもらおうか、ライアス?」
「いっ! いや! 違うんだ、テーナ!」

 ライアスさんが、焦ったように弁明しようとする。

「いいや? 何が違うんだ? 実際、ここには、もうお菓子は無いよな?」
「ちょっ! フェリア~!!」

 テーナさんは、怒りの矛先を光の王様ライトキングのメンバーに向ける。
 まぁ、そうなるように仕向けたんだけどね!
 食べ物の恨みは恐ろしいからね!
 ……ライアスさんに呼ばれたけど、聞こえないふりをしておこう!

「まぁまぁテーナさん、座って下さいな。スイーツ、要らないんですか?」

 フェリアは、リリアに目配せしてテーナさんに話しかける。
 フェリアの意図を汲み取ったリリアが、テーナに椅子を引いて座らせる。

「ふぉおおお! スウィ~~~ツっっっ! 絶対、残さず食べるからな!」

 ───10分後。

「ふぅ~! 美味しかったぞ!」

 テーナさんが、満足そうな笑顔になる。

「それは良かったです!」

 フェリア達は、リリア含むメイド達に片付けを頼み、各々ゆっくりする。

 暇だったので、他のみんなのしていることを観察する。
 ライアスさんは、剣の素振りをしている。
 剣の鍛錬を怠らない……。これぞ、剣士の鑑!!

 テーナさんも、槍の素振りをしている。
 全く……。今さっきまで最新型マシンと戦ってたんじゃないの? この、体力オバケが!!!

 マルシュアさんは、弓の手入れ。
 うんうん!! こういうのよ!
 自分の武器の手入れをする! 大事だよね!!

 サティアさんは、魔導書を読んでいる。
 うん、魔法が好きなんだね! というか、すごく似合ってる! 

 ラルグさんは、目をつぶって大の字に寝転がっている。
 ……何してるんだろ?
 日向ぼっこ? それとも寝てる?
 うーん。なんとも掴めない人だ。
 お? なんか言ってる?

「……も……と……がん……よ。……みて……ね………。み……な……。」

 途切れ途切れで全然わからないな~。
 よし! 後で聞いてみよう。

 ◇ ◇ ◇

 私達は休憩を終え、次の模擬戦となった。
 「次、誰がする?」とライアスさんがみんなに聞くと、一人が手を挙げた。

「俺、が……する……」

 そう言ったのはラルグさんだった。
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