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少しずつ変わりゆく日常
11話
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「あー…お久しぶりです」
「…………」
青年ーークレラ・ミフェラーーは、城で唯一僕に優しくしてくれた人間だ。
だけど、兄が好意を寄せていた女性とクレラは付き合っており、兄の怒りを買った。
僕に優しくしていたのも、気に食わなかった様だったし。
クレラは使用人をクビになり、国外追放と言う重い処罰を食らった。
名目は『王城の物を盗んだ』、だ。
「元気にしてるか?」
「はい、元気です…。貴方はどうですか?」
重たい空気を感じながら、ぎこちなく笑う。
「…あの後、昔付き合ってた彼女の家に暫く泊めて貰った。
で、昔付き合ってた彼女にこの国の仕事紹介して貰って……。
そして昔付き合ってた彼女の従兄弟の家で従者探してたから雇って貰って、今はとある貴族の従者をしてる。」
「…そうですか…」
お元気そうで良かったです、とは言えなかった。
「その…兄貴は元気か?上手くいったか?」
何がいったか何て言われなくても分かるのが、とても辛い。
「いえ…あの後兄の興味が失せてフェラガモさんは解放されました。
無傷で手も出されていないです。」
「そうか…。
フェラガモの乳首は、まだピンクか?」
…………
「僕には分かりません…」
「そうか…。なら、パン屋のリフェーラちゃんの処女は、まだ無事か?」
………
「僕が国を出る前に御結婚されていましたので…恐らく無事では…」
「そうか…。なら、レイナール祭の時にエロい格好してくれた酒屋のサルビィーちゃんは、まだGカップか?」
………そろそろ殴った方が良いのかな?
「サルビィーちゃん、って誰ですか?」
「昔の彼女」
だからサイズを知ってたのか。
「クレラ、知人?ボク、みせーねん」
少年がクレラの裾を引っ張る。
だが、クレラは少し困った顔をした。
「シル坊。もう少しゆっくり喋らないと読み取れねーよ」
クレラがそう言うと少年は少し悲しそうな顔をした。
「ち、じ、ん?み、せー、ね、ん、ボ、ク」
「あぁ、そうだ。俺の友達だ。
あと、シル坊も保健そろそろ習うだろ?多分。
なら大丈夫だろ!…多分」
『多分』多いな。
でも、城勤務の時からこんな感じだった。少し美化されていたな…。記憶とは恐ろしい。
「クレラ、声が聞こえないのか?兄に何かされたのか?」
少しゆっくりに喋る。もしかしたら無理をさせていたかも知れない。
「??俺は正常だぞ?半径十メートル内なら些細な音でも逃さないしな。」
それを正常と言うなら、僕は正常ではないのだが…。
クレラは人族なのに、耳がとてつもなく良い。
また、護衛術に長けてる。
以前暗殺者複数を1人で殺してた。
「なら、この子の声が聞こえないのか?」
「……シル坊が、見えるのか?」
「………は?」
「…………」
青年ーークレラ・ミフェラーーは、城で唯一僕に優しくしてくれた人間だ。
だけど、兄が好意を寄せていた女性とクレラは付き合っており、兄の怒りを買った。
僕に優しくしていたのも、気に食わなかった様だったし。
クレラは使用人をクビになり、国外追放と言う重い処罰を食らった。
名目は『王城の物を盗んだ』、だ。
「元気にしてるか?」
「はい、元気です…。貴方はどうですか?」
重たい空気を感じながら、ぎこちなく笑う。
「…あの後、昔付き合ってた彼女の家に暫く泊めて貰った。
で、昔付き合ってた彼女にこの国の仕事紹介して貰って……。
そして昔付き合ってた彼女の従兄弟の家で従者探してたから雇って貰って、今はとある貴族の従者をしてる。」
「…そうですか…」
お元気そうで良かったです、とは言えなかった。
「その…兄貴は元気か?上手くいったか?」
何がいったか何て言われなくても分かるのが、とても辛い。
「いえ…あの後兄の興味が失せてフェラガモさんは解放されました。
無傷で手も出されていないです。」
「そうか…。
フェラガモの乳首は、まだピンクか?」
…………
「僕には分かりません…」
「そうか…。なら、パン屋のリフェーラちゃんの処女は、まだ無事か?」
………
「僕が国を出る前に御結婚されていましたので…恐らく無事では…」
「そうか…。なら、レイナール祭の時にエロい格好してくれた酒屋のサルビィーちゃんは、まだGカップか?」
………そろそろ殴った方が良いのかな?
「サルビィーちゃん、って誰ですか?」
「昔の彼女」
だからサイズを知ってたのか。
「クレラ、知人?ボク、みせーねん」
少年がクレラの裾を引っ張る。
だが、クレラは少し困った顔をした。
「シル坊。もう少しゆっくり喋らないと読み取れねーよ」
クレラがそう言うと少年は少し悲しそうな顔をした。
「ち、じ、ん?み、せー、ね、ん、ボ、ク」
「あぁ、そうだ。俺の友達だ。
あと、シル坊も保健そろそろ習うだろ?多分。
なら大丈夫だろ!…多分」
『多分』多いな。
でも、城勤務の時からこんな感じだった。少し美化されていたな…。記憶とは恐ろしい。
「クレラ、声が聞こえないのか?兄に何かされたのか?」
少しゆっくりに喋る。もしかしたら無理をさせていたかも知れない。
「??俺は正常だぞ?半径十メートル内なら些細な音でも逃さないしな。」
それを正常と言うなら、僕は正常ではないのだが…。
クレラは人族なのに、耳がとてつもなく良い。
また、護衛術に長けてる。
以前暗殺者複数を1人で殺してた。
「なら、この子の声が聞こえないのか?」
「……シル坊が、見えるのか?」
「………は?」
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