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口元を隠すフードを被った男は冒険者ギルドの受付へ向かって行く。
「ご、ご用件は何でしょうか?」
男のただ者ではない雰囲気に受付のラビットは固唾を飲み、震えた声でそう言った。
「冒険者登録をしに来た。」
ただ、そう言った男はフードから覗く冷徹な茶色の瞳でラビットに『早く準備しないと殺すぞ』と訴えた。
「は、はぃぃぃぃ!で、では身分証をご提示お願いまするぅぅ!!」
ラビットは手続きの書類を男に差し出し、身分証を求めた。
その際言葉が可笑しくなってしまうのは仕方ない。
「………」
「………(ギルド長今までありがとうございました!)」
ラビットは男が固まった事で怒りを買ったのだと目を固く瞑る。
「………」
「………(あぁ…せめて童貞を卒業したかった!)」
「………」
「………?(お、遅いな…?)」
「………」
「………???」
ラビットは目をソッと開け男を見る。
男はそれにハッした様に少し動いた。
「み、身分証だな。今、出す。」
慌てながらも男は身分証を出した。
「あ、はい。えっと、『シェルティナ』様ですね。」
「あぁ」
男はそう返事をしながらもスラスラと書類を書いていた。
(注意事項もきちんと読んでるし、やっぱり貴族様かなぁ?)
登録に来る冒険者は大抵注意事項を読まない。だから受付が毎回1から簡単に説明するのだ。
「では、属性検査を「必要ない」あ、分かりました。」
(やっぱり貴族様だ。珍しいなぁ冒険者に成るなんて)
貴族は自分の属性を五歳の頃に調べる。そしてその時の属性は変化もしないし増えないので再び調べる必要がない。
ーー後から属性が増える事も極稀に有るがそれは本当に稀だ。
男はまたもや視線でラビットを急かすように見る。
どうやらこの後用事でも在るようだ。
「では一応ギルドの説明「必要ない」あ、はい」
ラビットを射るように見る男。
震えるラビット。
「ご、ご健闘を「では、失礼する」え、あ、はい。」
ラビットはフワフワの白い耳をプルプルさせながら思った。
(最後まで聞いてくださぃぃぃ!)、と。
「ご、ご用件は何でしょうか?」
男のただ者ではない雰囲気に受付のラビットは固唾を飲み、震えた声でそう言った。
「冒険者登録をしに来た。」
ただ、そう言った男はフードから覗く冷徹な茶色の瞳でラビットに『早く準備しないと殺すぞ』と訴えた。
「は、はぃぃぃぃ!で、では身分証をご提示お願いまするぅぅ!!」
ラビットは手続きの書類を男に差し出し、身分証を求めた。
その際言葉が可笑しくなってしまうのは仕方ない。
「………」
「………(ギルド長今までありがとうございました!)」
ラビットは男が固まった事で怒りを買ったのだと目を固く瞑る。
「………」
「………(あぁ…せめて童貞を卒業したかった!)」
「………」
「………?(お、遅いな…?)」
「………」
「………???」
ラビットは目をソッと開け男を見る。
男はそれにハッした様に少し動いた。
「み、身分証だな。今、出す。」
慌てながらも男は身分証を出した。
「あ、はい。えっと、『シェルティナ』様ですね。」
「あぁ」
男はそう返事をしながらもスラスラと書類を書いていた。
(注意事項もきちんと読んでるし、やっぱり貴族様かなぁ?)
登録に来る冒険者は大抵注意事項を読まない。だから受付が毎回1から簡単に説明するのだ。
「では、属性検査を「必要ない」あ、分かりました。」
(やっぱり貴族様だ。珍しいなぁ冒険者に成るなんて)
貴族は自分の属性を五歳の頃に調べる。そしてその時の属性は変化もしないし増えないので再び調べる必要がない。
ーー後から属性が増える事も極稀に有るがそれは本当に稀だ。
男はまたもや視線でラビットを急かすように見る。
どうやらこの後用事でも在るようだ。
「では一応ギルドの説明「必要ない」あ、はい」
ラビットを射るように見る男。
震えるラビット。
「ご、ご健闘を「では、失礼する」え、あ、はい。」
ラビットはフワフワの白い耳をプルプルさせながら思った。
(最後まで聞いてくださぃぃぃ!)、と。
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