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第6章 迷宮攻略
第百七十六話
しおりを挟む「毎度ありがとうございましたー!」
パンケーキさんの声を背に受けて、僕はその場を後にした。
「ご主人様もおひとついかがですか?」
「あ、うん。僕はいいよ」
隣を歩くさくらから差し出されたクレープを断ると、さくらは手にしたクレープを美味しそうに頬張りはじめた。
ていうか、アホみたいに高かった……。
あまりに高くて払えなかったけど、かわりにさくらが払ってくれて助かった。
「ていうか、なんでそんなにさくらはお金持ってるの?」
「先日ゼル様から生活費を頂きましたので」
「生活費?」
「はい。ご主人様に不便をかけないようにと100万Gほど頂いております( ^ω^ )」
「100万!?」
ていうか生活費にしては高すぎるんですけど!?
「ちなみにギルドの運営費としてゼル様はじめ幹部の方々から1億G銀行に振り込まれております」
「いちおく!?」
あまりの金額に開いた口が塞がらない……。
なにそれ?うちはそんなに儲けてるの!?
「どこからそんなお金が……?」
「さあご主人様。買い出しに向かいましょう♪(´ε` )」
僕の問いに答えずヒューヒューと口笛を吹く真似をしながら、さくらは足早に先へ進んでいった。
「え?ちょっと待って!僕の質問に答えてよ」
僕は慌ててさくらを追いかけた。
「はあ……疲れた……」
結局お金の出所は教えてもらえずに僕とさくらは買い出しを終えて帰ってきた。
その後帰ってきたカイ達と食事をし、僕はホームにある自室に戻った。
「さて、ゼルが帰ってくるまで暇だな」
迷宮に行く準備は整った。
あとはゼル達が戻ってくるのを待つだけだ。
強いて言うなら新人達のレベル上げをしたほうがいいかもだけど、それはカイが張り切っているからカイに丸投げでいいか。
一緒にレベル上げしても今の僕じゃ自分自身のレベルもスキルも上がりにくいし。
ていうか、今の僕が自分のレベル上げするならソロのほうが上がりやすい。
僕はベッド(何故か某国のお姫様が使うような天蓋付きの高級ベッド(僕はお姫様か!?)に横なると、メニューを開いて自分のステータスを確認した。
『ファントム(賞金額1500000000G)
人間種。
JOD
【戦士Lv:60】
【剣術士Lv:58】
【魔法剣士Lv:60】
【鍛治師Lv:26】
【僧侶Lv:42】
【黒魔導士Lv:13】
【白魔導士Lv:11】
【脱獄囚Lv:60】
【盗賊Lv:8】
【遊び人Lv:3】
称号
【プレイヤーキラー】
【憤怒に覚醒せし者】
【賞金首】
【ギルドマスター】
etc……』
「う~ん……いい加減レベルよりスキルや魔法覚えないといけないか」
新人のみんなとの訓練で新しく得た【黒魔導士】と【白魔導士】と【盗賊】
カジノに行ってたらいつの間にか習得していた【遊び人】のレベルが低い。
これらの職業レベルは低いけど習得できる魔法やスキルを覚えていないのが地味に痛いというか、もったいない気がする。
まあそれを言ったら【鍛治師】や【僧侶】もレベルの割に使える魔法やスキルが少ない。
基本このゲームはレベルで習得する魔法やスキルよりクエストやイベントで得る魔法やスキルの方がはるかに多い。
「ゼルが帰ってくるまで魔導書でも借りて魔法を覚えたほうがいいかな?それとも鍛治スキルでも上げて作れるアイテム増やしたほうがいいか?」
魔導書は買わなくても魔法職のメンバーは持ってるからそれを借りて読めば使えるようになる。
鍛治はホームに工房があるから素材があって根気よく続けていけばいい。
でもなあ、ぶっちゃけ読むのメンドクサイし、鍛治もルーネがいるから僕が上げなくてもいいんじゃないかって思っちゃう。
なんか今はこう、身体を思いっきり動かしたいな。
「丸投げしといてなんだけど、やっぱりカイと一緒に新人のレベル上げでも手伝おうかな?」
もういい加減戦闘には慣れたとはいえ集団戦の指揮に関してはまだまだだし。
でもぶっちゃけ僕に指揮は向いてないと思う。
前線で身体を張って戦うほうが性に合ってる。
元々前線で身体を張る盾役のタンクだし、人の指示聞くだけのほうが気が楽だ。
そもそも僕なんかよりゼルのほうが指揮官に向いてると思う。
「うん?クエスト欄からお知らせメール」
僕はステータス画面を閉じて今きたメッセージを読むためにメールを開いた。
ご丁寧にクエストに期限があるとこうやってメッセージが届く。
アトランティスは結構な量のクエストがあるし複数のクエストを同時並行してやれるから、こういう連絡は非常に助かっている。
「ていうか期限付きのクエなんてやってたっけ?」
一応受けたクエストはほとんどクリアしてるんだけど……
『特殊クエスト【魔界への入り口】の進行が止まっています。7日以内にクエストの更新がない場合、この特殊クエストは自動的に消去されます』
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