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第5章 抗争
第百四十三話
しおりを挟む「それはなんというか………ご愁傷様」
後日、アリシアの家に遊びに行った僕はキングタイガーとの戦いの一部始終を話し終えると、アリシアは苦笑まじりにそう言った。
『ファイヤー!アイスストーム!ダイアキュート!』
アリシアの連鎖が炸裂した。
くっ…!
ちなみに今回の対戦ゲームは【ぷ○ぷよ通】(スーフ○ミ版)
焦るな…!
こんな時こそ落ち着いて対処するんだ。
2Pの僕の画面がアリシアの連鎖で埋まり始めた。
諦めるな、まだリカバリーできるはず。
考えろ健一…!
「落ち着け…ピンチはチャンスだ」
ここをこうして…次の赤青を反転…と、ブツブツ呟きながら対処していく僕。
「遅い!これで終わりよ!」
僕が対処する前にアリシアが再び連鎖を繰り出した。
「ウソッ!?」
『えいっ!ファイヤー!アイスストーム!ダイアキュート!ブレインダムド!ジュゲム!ばよえーん!…』
鬼のような連鎖が僕の画面を埋め尽くしていく。
「クソッ…負けた…!」
「あたしの勝ち~♪」
イラってくるドヤ顔で勝ち誇るアリシア。
「【魔法連鎖の女王】と呼ばれた私に勝とうなんて10年早いわよw」
「くっ…次は勝つ…!」
その後、何回か対戦したけどアリシアには一度も勝てなかった…:-c
「今日はここまでね♪」
「………(ああああああ!!悔しい!!!)」
僕はポーカーフェイスを保ったまま無言でコントローラーを置いた。
「ス○IIは貴方のほうが強いけどぷ○ぷよは私のほうが上ね」
ホントにイラッとくるドヤ顔の上から目線で言うねアリシアは…
美少女じゃなかったらリアルファイト仕掛けてるよ?
「そんな弱い貴方にこれを差し上げましょう。…ってあれ?どこに置いたかしら……」
アイテムストレージを開いたアリシアは、そこに手を入れてなにやら漁っている。
終いには身を乗り出し顔もアイテムストレージの穴に入れてなにかを探し出した。
あ、あの、お尻をこちらに向けないでくれませんか?///
「ああ、あったあった。はい、これあげる」
と言って僕に手渡してきたのは一冊の本だった。
「…なにこれ?」
「なにって、ぷよ○よの攻略本よ」
「いらないよ!」
僕は力の限り全力で突き返した。
クソッ!ちょっと全勝したからって調子にのりやがってぇ:-<
「まあまあ、ちゃんと読めば【フャイヤー】とかぷ○ぷよに似た魔法が使えるようになるから貰っておいて損はないわよ?」
「は?」
「正確には魔○物語によく似た魔法を覚えられるんだけど」
「魔導○語?」
「ぷよ○よのルーツだよ、知らないの?」
「いや、そんなカップ麺のCMっぽく言われても…(苦笑)」
「とりあえず騙されたと思って読んでみなさい。その間私は救助活動してるから」
そう言ってアリシアはスーフ○ミの電源を切ると今度はセガ○ターンのバー○ングレンジャーを起動させた。
「ていうか、逃げ遅れた研究員助けるより先に街の復興に手を貸したら?」
キングタイガーとの戦いで王都の南の区画がほぼ壊滅状態になっている。
街の人達がほぼ総出で復興作業に従事していた。
それに伴い冒険者組合の依頼にも街の復興に関する依頼が増えた。
城壁の修理の警備は森からくる魔物の退治で何気に効率のいいレベル上げになってるし、建物の建築や改修依頼を受けると【大工】や【錬金術師】などの職業が得られたり、治療院で怪我人の世話をする依頼を受ければ中級から上級の回復系魔法を習得できるみたいだ。
僕もこの後っていうか、僕のギルドはしばらくこの街の復興作業の依頼を受ける予定だ。
「ムリムリ、私にそんな過酷な重労働耐えられるわけないでしょ」
こちらを見向きもせずにマルコンで操作しながら言うアリシア。
………………:-()
僕が言うのもなんだけど、ダメだこの人…:-/
プレイに集中したアリシアの傍で、仕方なく僕はぷよ○よの攻略本を読み始めた。
『ファントムは【ファイアー】の魔法を習得しました!』
『ファントムは【アイスストーム】の魔法を習得しました!』
『ファントムは【ダイアキュート】の魔法を習得しました!』
『ファントムは【ブレインダムド】の魔法を習得しました!』
『ファントムは【ジュゲム】の魔法を習得しました!』
『ファントムは【ばよえーん】の魔法を習得しました!』
『ファントムは【連鎖使い】のスキルを習得しました!』
『ファントムは【黒魔導士】の職業を習得しました!』
◇
帰り道。
僕はながらスマホならぬながらメニューをしながら帰途についていた。
「せっかく魔法覚えたしなあ、SPをMNDに振り分けたほうがいいかな?いやでも…(ブツブツ)」
思った以上に使えそうな魔法を覚えた……かな?
ていうか新しく覚えた魔法はどれも消費MPが多いな。
【ジュゲム】にいたっては消費MP多すぎて今の僕じゃ使えないよ。
「SPをMPに全振りするか…?いやいや、それはそれでもったいない気が…」
前回のイベント戦闘で得たEXPで各職業のレベルが30を超えた。
槍スキルも新しいスキルも習得したし【司令官】スキルも3まで上がった。
ていうか、なんか消化不良だ…
勝手に逃げていったって感じだし、まともに指示を出していないのにスキルレベルが上がった感じがして自分的に納得できていない。
ぷよ○よも惨敗したしね…w
もやもやしながら、ながらメニューをして歩いていたら肩になにかがぶつかった。
「痛えな!」
「あ、すみません…」
どうやら前から来ていた人にぶつかったみたいだ。
僕は慌てて頭を下げて謝る。
そしてそのまま通り過ぎようとしたら肩を掴まれた。
「おい待てよ。お前…ファントムだろ?」
「え…」
誰?
振り向いて相手の顔を窺うと知らない剣士風のPCだった。
HPゲージの上に表示されるネームは非表示されていて名前もわからないけど、少なくとも僕はこの人のことは全く知らない。
「やっぱそうだ。お前賞金首のファントムだな」
PCがそう言うとそのまま僕の肩を掴んだまま殴りかかってきた。
「!?」
頰に強い衝撃。
と同時にブレる視界にシステムメッセージが流れた。
『【賞金稼ぎ】クエストを受けているプレイヤーに発見されました!』
『賞金首の特殊イベント戦闘に移行します』
『あなたの首を狙うプレイヤーの撃破、又は逃走が勝利条件です』
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