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第3章 ソロプレイヤー

第九十九話

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「ヴァイス!ヴァイス大丈夫?起きてよねえ!」

 僕は倒れて気を失ったヴァイスを揺すり必死に呼びかけた。
 だけど、いくら呼んでも揺らしてもヴァイスが眼を覚ます気配がない…

「ファントムさん、いまは動かさないほうがいいです」
「でもルーネさん…」
「落ち着いてください、命に別状はありませんから。いまは休ませてあげましょう」
「………」
「ゼルさんもあんな感じですし…少しここで休憩しましょう」

 ゼルのほうに目を向けるとまだ状態異常にかかっていてあーあー叫びながら暴れていた。

「………ていうか、アレ治さないの?」
「う~ん、僕の手持ちの薬じゃ暗闇と鈍足は治せますけど、バーサクを治す薬はないんですよ…バーサクがおさまるまでほうっておいたほうがいいと思います」

 たしかに言われてみるとそうしたほうがいいかもしれない。
 仮に治せる暗闇と鈍足を治したら凶暴化したゼルが襲ってくる可能性は大いにある。
 まあ、助けたNANAさんの仲間を見る限り近づかなければ実害はなさそうだけどね(笑)
 気持ちが落ち着いてきた僕は軽いため息をついた。
 
「そうだね…そのほうがよさそうだ。とりあえずルーネさん、周囲を警戒しつつヴァイスの介抱とゼルの様子を見守ろうか?」
「はいです!」

 
 というわけでラフレシアとの戦闘を終えた僕達はその場に少し留まることにした。
 ヴァイスはいぜん死んだように眠っている。
 僕はヴァイスのそばに寄り添い、メニューからヴァイスのステータスを確認してみた。
 ステータスに異常はない。
 正確には状態異常にはかかっていないけど、召喚魔法の一覧にロックがかかっていた。
 うん?なにこれ?
 そういえば戦闘終了時に浮かんだシステムメッセージに召喚魔法が封印されたとかINTがダウンしたとか流れた記憶があるけど…ざっと流し読みしてたからよく覚えていないや。
 なんだったけ…?
 えーっと………たしか犠牲サクリファイスとか代替使用とかINTダウンとか書いてあった気がする。
 なんか不吉な単語だな…特に犠牲。

 とりあえずネットに繋いで攻略サイトや掲示板などで調べたり訊ねたりしてみたけど、どういうものか記載されていなかった。
 こういうとき案外使えないよね(苦笑)
 
 どうでもいいけどアトランティスに限らず僕はプレイしているゲームの攻略サイトや掲示板を利用するけど、いつまでたっても検証中とか書かれてたり間違って記載されてると、ここのサイトの管理人はやる気あるのかと言いたくなる(笑)
 あと攻略サイトの掲示板とかで「○○ってなんですか?」とか「○○ってどこで取れますか?」などのスレの返信に「ググれw」とか「自分できちんと調べてからたずねてください」とか心ない返事を返してくる人がいるけど、今回の場合は「犠牲?そんなスキルあるの?」とか知らない人が多数で、中には「発生条件からしてNPCが使った召喚魔法のせいかもしれません恐らく…(省略)」どうたらこうたら持論を展開する人しかいなかった。
 うーん…やっぱりアーデさんを召喚したのが原因なのかな?
 奥の手って言ってたし、普通の召喚じゃなかったのかもしれない………

「あの…」

 不意に声をかけられた僕は思考を断ち切ると、声の主に目を向けた。
 どうやらNANAさんが僕に声をかけてきたみたいだ。
 状態異常が解けた仲間達も一緒にいた。

「あの、助けてありがとうございました」

 と言って頭を下げるNANAさん。
 礼儀正しいコだなぁ。と感心する僕。

「ニイちゃんありがとな!」

 もう一人のPC、satoruさんが軽く手を挙げてお礼を言った。

「こらサトル!ちゃんとお礼言いなさい!」

 ごつん!とNANAさんがsatoruさんの頭にゲンコツを落とした。
 うわ、痛そう…ていうか今のゲンコツでsatoruさんのHPがちょっと減ったよ。

「姉ちゃん…なにも殴ることねーだろ…」
「ちゃんとお礼を言えないサトルが悪いんでしょ!えっと…ファントムさん、礼儀知らずな弟でごめんなさい」
「い、いえいえ…大丈夫です」

 ていうかもしかしてこの二人は姉弟きょうだいなのか?
 魔法使いのお姉ちゃんと着物だから浪人っぽい弟か…なんかよくできた姉にいつも叱られるチャラい弟みたいな感じに見えるw
 あとの二人、戦士風のNPCが一歩前に出た。

「君は命の恩人だ。ありがとう」
「悪いな、助かったぜ」
「い、いえいえ…」

 なんかいかにも武人って感じのNPCひと達だな。
 ジェイクさんは白銀の兜、鎧(真紅のマント付き)盾を身に纏ってて、もう一人のレイモンドさんは漆黒の兜、鎧(こちらはマント無し)盾を身に纏っていた。
 どちらも得物は腰に差した長剣っぽい。
 二人とも面頬付き兜、いわゆるクローズドヘルムを被っているから顔は見えないけど、絶対イケメンだろうな。声からして宮野○守と鳥海○輔みたいなイケメンボイスだし(笑)

「あ!ゼルさんのバーサクが解けました!」
「え、ホント!?」
「ファントムさん、僕ちょっとゼルさんを治してきますね」
「あ、うん、お願い」
「お任せくださいです!」

 ルーネさんは凶暴化が解けたゼルの下へ駆けていった。

「うおっ!なにも見えねえ!?身体も重い!?なんじゃこりゃあああ!?」
「はわわっ!ゼルさん!ちょっと落ち着いてください!」
「その声はルーネか!頼む早く治してくれ!俺がこんなんじゃ兄貴を守れねえ!」
「ちょっと待っててくださいね…(ゴソゴソ)あれ?どこにいったんでしょう?あれれ?」
「おいルーネ早くしろ!早くしないと兄貴がラフレシアの毒牙にかかっちまう!」
「あ、ありました!はいゼルさん【目薬】ですよー。じっとしててください」
「え、なに?ちょっルーネ!?」
「痛くありませんからねー、そのままじっとしててください(ぽとっ)」
「ぎゃああああああ!!?目が!目がぁぁぁ!?」
「次は鈍足を治しますねー。ちょっとゼルさんいつまで目をおさえているんですか?腕を出してください。ちょっとチクっとしますけど我慢してくださいねー(チクッ)」
「痛ってえええぇぇぇ!!!」

 うん…あっちは大丈夫そうかな(苦笑)
 大袈裟なリアクションをしているゼルを微笑ましく見守る僕。

「あれ?なあなあニイちゃん」

 satoruさんがちょんちょんと肩をつつきながら僕に話しかけてきた。

「あ、はい、なんですか?」
「つうか俺14だけどニイちゃん歳いくつ?」
「え?ああ…17?ですけど」

 いきなり年齢を聞かれた僕は戸惑いながらも素直に答えた。
 普通年齢聞かないよね?
 もしかしてこういうゲームというかネトゲはあまりやったことないのかな?
 ていうか十四歳、中学生なのか…アトランティスってR15推奨だった気が………
 まあ、推奨だからいいのか?
 ていうか年齢制限なんて守ってるPCプレイヤーなんていないようなものだしね。
 今の世の中、中学生がR18のエロゲやったり、15歳以上対象の狩りゲーやMMORPGプレイしてる小学生もいることだし、今さら年齢制限でとやかくいうのは野暮というものだろう。

「17!?高校生じゃん!なら中坊の俺に敬語なんて使わないでよ」
「あ、うん…了解…」

 ていうか君は目上の者に対して敬語使わないの?ってツッコミは言わないでおこう。
 僕はそういうの別に気にしないし。

「コラサトル!」

 NANAさんのゲンコツがsatoruさん、いやsatoruくん(呼び捨てする仲じゃないので君付けにしとこう)の脳天にゴツンと振り下ろされた。
 
「なんすんだよ姉ちゃん!クリティカル入ったぞ!」
「歳上の人には敬語!」
「えーでも…」

 ゴツン!と再びゲンコツ。
 あ、今のもクリティカル入った?
 satoruくんのHPゲージが地味に減ってってる。

「け、い、ご、わかった?」
「わ、わかったよ(涙目)」

 あーうん、NANAさんは怒らせないほうがよさそうだな…ていうかできればあまり関わりたくないなぁ………

「兄貴…申し訳ありません…ヘタうちました…」

 どよーんとヘコんでいるゼルがこちらへやってきた。
 ゼルのHPゲージを確認。うん、状態異常は治ってるね、良かった。

「ううん、気にしないで。お疲れ様ゼル」
「いえ…兄貴もお疲れ様です。…で、ルーネから聞きましたけどヴァイスの容態は?」
「まだ目が覚めないよ…」
「無茶しやがって…ったく」

 しゃがみこんだゼルは眠っているヴァイスを抱き上げた。

「え!?ちょっとゼル!?」
「いつまでもここにいるわけにはいきません。俺が担ぐんで先に進みましょう」
「キャー!ワイルドなイケメンがクールなイケメンを姫だっこしたー!」
「ちょい、姉ちゃん落ち着けって」

 はぁ………外野がうるさいのは無視して、たしかにいつまでもここにいるわけにはいかないか。

「じゃあ僕がヴァイスを連れてくよ」
「いや、兄貴にそんなことはさせません。ここは俺に任せてください」
「いやいや、ゼルはこのPTのアタッカーで要だから。すぐに動ける状態にしときたい」

 その点僕はあまり役に立たないから、僕がヴァイスを担いだほうがいい。
 そう思った僕は両手を差し出した。

「しかしですね…」
僕に任せて。ねっ?」
「……わかりました」

 強めの口調で言うとゼルは渋々了解してくれた。
 ゼルの手から僕の手に渡るヴァイス。
 俗に言うお姫様だっこでヴァイスを抱き上げてみたけど、思ったより軽い。
 現実リアルじゃ重くて絶対できそうにないけど、ここならステータス補正で人一人抱えられるSTRは持ってると思うしね。これなら先に進めるかな?

「キャー!今度はミステリアスなイケメンが姫だっこしたわ!こんないい画はなかなかお目にかかれないわ…スクショしないと」
「ちょい、姉ちゃん、それ盗撮…」

 ミステリアスなイケメン…ミステリアスなイケメン…///

 NANAさんの言葉が僕の脳内で繰り返されていた。
 くぅぅ!そんなこと言われたのは生まれて初めてだよ!(号泣)
 銀髪赤目青目オッドアイの端正な顔立ちのクールな美少年顔にした甲斐があった…ていうか、僕はミステリアスなイケメンに見えるのか!?
 僕は表情をもっとミステリアスな感じに見えるようにキリッとさせて、背筋も伸ばしてみた。
 ………うん?なにかが間違っている気がする?
 ていうかミステリアスなイケメンってなに?
 イケメンとか言われてつい舞い上がっちゃたけど、そもそもミステリアスとはなんぞや………?
 現実リアルじゃイケメンなんて言われたことないからなぁ…と思う僕の脳裏に、とある記憶が蘇った。

 回想開始。

 妹「前髪ウザっ、うっとしいから切れば?」
 父「そうか?ギャルゲの主人公みたいじゃないか」
 母「そうよナオちゃん、健ちゃんは見た目ギャルゲの主人公そのものじゃない」
 妹「はあ?どう見てもモブでしょ」
 父「はぁ…(盛大なため息)やれやれ…わかってないなナオは」
 母「そうよナオちゃん。メガネとると実は美少女ってよく漫画であるじゃない」
 妹「古っ!つうか、わかりやすく切れつってんのあたしは!」
 母「あらあら(意味深な笑み)」
 父「ほう、そういうことか(ニヤニヤした笑み)」
 妹「な、なによ…二人ともなんか勘違いしてない?別にそういう意味で切れつってるわけじゃないんだからね!」

 回想2

 クラスメイトの女子A「あ、ああのさ、うちのクラスに佐藤っているじゃん?アレどう思う?」
 クラスメイトの女子B「え?佐藤ってどの佐藤?」
 クラスメイトの女子 C「バスケ部の佐藤?それとも野球部?サッカー部?キモオタのほうの佐藤?」
 クラスメイトの女子A「キモオタはひどくない?」
 クラスメイトの女子B「えっ!?アイツに気があるの?」
 クラスメイトの女子C「いつもぼっちで休み時間スマホでゲームしてるキモオタのジミメンじゃん。やめときなよ」
 クラスメイトの女子B「そうそう、それにアイツ野球部の佐藤たちにいじめられてるし、やめといたほうがよくない?」
 クラスメイトの女子A「なっ!?そ、そんなわけないじゃん!あんなおどおどしたキモオタタイプじゃないって!」

 回想終了。
 あれ?なんか思い出したら泣けてきた…:-(
 たしかにああいうゲームの主人公とモブって見た目似てるよねw
 中にはちゃんと顔というか目元描かれているのもあるけどさ。
 ていうかどうでもいいけどうちのクラスって佐藤って名字の人多かったな…(苦笑)
 日本で一、二を争うくらい多い名字とはいえひとクラスに何人もいるって紛らわしいわ!
 どうせ僕はモブですよ…キモオタのジミメンですよ…あんなに否定しなくてもいいじゃん…(T . T)

 胸の内の涙を流しながら、僕はヴァイスを抱いて(この言い方だとなんか誤解を受けそうだ)先へ進むことにした。

「それじゃ、僕達はこれで…」
「あ、あの…ちょっといいですか?」

 ぺこりと頭を下げて先へ進もうとしたその時、おずおずとNANAさんが呼び止めてきた。

「はい?」
「あの、どちらへ行くんですか?」
「え、えっと、エルフの街です…」
「そこってもしかしてアルフヘイムですか!?」
「え、はあ、まあ…」
「本当ですか!?私たちもそこへ向かってる途中だったんですよ!私たちもご一緒してもよろしいですか?」
「えええ~…!?」

 まさかの同行願いに、思わず僕はイヤな顔をしてしまった。







 


 
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