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第2章 獄中生活
第五十五話
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これなら勝てる!
そう思ってた時がありました…:-″
倒れた僕の目にはカイ、アルフレッド、ヴァイスが同様に倒れているのが見える。
ただ一人残ったゼルが四体のゴーレムナイトに囲まれていた。
必死で剣を振るうゼル。
でも、囲まれてしまったらもう時間の問題だろう。
戦闘不能状態になった僕の身体はピクリとも動かない。
(あ~あ……負けちゃった…)
結局勢いに乗って倒せたのは一体のみ。
その時点で僕のHPは二割をきり、【堅牢】で強化しても四体のゴーレムナイトの攻撃に持ちこたえられずに倒されてしまった。
僕が倒れるとあとは連鎖的にカイとアルフレッドが倒れ、ヴァイスも倒されてしまった。
盗賊らしい身軽さでゴーレムナイトの猛攻をかわしていたゼルも倒れた僕から剣を取り抵抗していたけど、最後は囲まれて倒されてしまった。
剣はあのあと一振りだけでそれ以降はぶんどれなかったし、運も悪かったのかな?
『ファントム達は全滅しました…』
『パーティーメンバーそれぞれにEXPを100獲得しました』
『ファントムのLVが10から11に上がりました!』
『【剣術士】のLVが1から3に上がりました!』
『【斬撃】のLVが1から2に上がりました!』
『【堅牢】のLVが2から3に上がりました!』
『【咆哮】のLVが1から2に上がりました!』
『【指揮官】のLVが1から5に上がりました!』
『SPを11獲得しました!』
僕のレベルがあがったというシステムメッセージが流れたあとカイ、アルフレッド、ヴァイス、ゼルのレベルとスキルが上がったというメッセージが流れていく。
あれ?みんなもレベルが上がったけどスキルはゼルが【剣術士】を新しく覚えただけか。
なんで僕だけ戦闘中に習得したんだろう………?
そんなことを疑問に思っていると僕の身体が淡い光に包まれた。
「!?」
何事!?
倒れたみんなもなんか光ってる!?
HPゲージがみるみるうちに回復していき、あっという間に全快した。
なにこれ?回復魔法?
若干混乱しながらも立ち上がる僕。
カイ達ものろのろと立ち上がった。
あっそうか。戦闘が終わると回復するんだった。
前のPTもこんな感じで回復してたの忘れてたよ…(苦笑)
「ふむ。よく頑張ったなお前達」
先生がこちらに歩きながらそう言った。
「特にファントム、お前さんは筋がいい。お前さんには特別に俺のタチバナ流を教えてやるよ」
タチバナ流?
首を傾げる僕に先生は不敵な笑みを浮かべた。
「時間が許す限り教えてやるから覚悟しろよ?」
この後、僕は先生にめっちゃしごかれた…。
ほ、本当に死ぬかと思ったよ………。
特にイベントがなければ更に課金して出院準備まで進めようと思っていたけど、後期に入った途端にイベントが目白押しになった。
先生から【タチバナ流】を教わるイベントが起きてしまったのを皮切りに、鍛治も新たに追加された素材で熟練度が上がりやすくなったし、新しい武器を作れるようになっていた。
すっかり忘れていたけど、教会に改宗するイベントももう始まっていて、僕はいつの間にか改宗して洗礼を受けていた。
大体週一の休みの日にミサに参加したり講和を受けたりしたけど、【修道士】を習得した以外は特に得るものがなかった。
何故か聖書を読むと【白魔法】を覚えることができるらしいけど、僕のレベルが足りないせいか全然習得できない…。
ちなみにこのゲームの魔法習得は色々あってレベルが上がれば勝手に覚える魔法もあれば、職業に応じた書物を読むと習得したり、とある人物、NPCに教わるなどの方法がある。
それらも一定のレベルに達していないと習得できないし発生しないから面倒だ。
多分【修道士】のレベルが足りてないからヒール以外覚えられないんだと思うけど、来てくれる【司教】様も説法だけでなにも教えてくれなかった。
マリアさんにも会えないし、このイベントは失敗したかなと思った。
同室のヴァイスが【白魔導士】を目指すようで僕と一緒に改宗して【修道士】になってからはやたらと熱心に聖書を読んだりしてる。
同時に剣術の授業や軍隊みたいな運動にも呆れるほど意欲で真面目に取り組んでいるから脳筋のヒーラーになりそうな感じがする…:{
カイとアルフレッドは何回かPT戦を繰り返したあと【剣術士】を習得した。
二人はそのまま剣の道に進むようだ。
ゼルは僕の希望で盗賊職を極めてもらうことにした。
ダンジョン探索には必須のスキルが揃ってるし、シャバに出たらカイ達と一緒にPTを組む予定だから盗賊のゼルは貴重な人材だ。
ひとつ気がかりなのはアーノルドさんからの連絡が一向に来ないこと。
あのあと何回かメールを送ったけどなんの返事もこなかった…。
なにかあったのかと心配で不安だ…。
ドンペリキング達に連絡したくないし、比較的に親しいと思っているちーずプリンさんにメールでも送ってみようかどうしようかとウジウジ悩んだまま送れずにいた。
どうメールしていいかわからないし変な気恥ずかしさが先立ってしまう自分に嫌気がさす。
結局あれこれ悩んだ末、カイ達のギルド加入はシャバに出てからでいいやと先送りにした。
すぐ逃げにまわってしまう自分自身に軽く死にたい気持ちになってしまうけどこればっかりはどうしようもない。
僕はその件は後回しにして、今できることに集中した。
あまりやり込みすぎると半年くらいはずっとやることになりそうだったから、新しいスキルや武器作成ができるようになったらやめて、あとはシャバに出てから鍛えることにした。
出院準備に入ると鍛治の作業や剣術の授業はなくなって、軽い運動と農作業だけのイベントしかないようだから、せめて今僕が作っている武器が完成するまでは後期でいようと思っていた。
剣術の先生が教えてくれるタチバナ流は武芸百般の武術らしくて、僕に新しいスキルを色々と教えてくれた。
さすがに百ものスキルを覚えるのは大変だから、僕が主に扱う槍スキルと刀剣スキルを中心に教えてくれた。
先生は僕にデュエルでスキルを教えてくれたけど、先生は鬼のように強かった…。
先生が繰り出す技は、ワンパンの即死攻撃にちかい火力で僕に打ち込まれた。
教えてくれるスキルを何度も何度も喰らい、文字通り身体を張って覚えた僕は新しい攻撃スキルを習得した。
これで鋭意作成中の武器の作成に成功すれば俺tueee!を地でいけるかもしれない。
まあ、ぶっちゃけそこまで強くはなれないだろうけど、僕の興味を十二分に惹かれる面白武器なのは間違いない。
確実に特殊武器にあたるだろう。
普通に武器屋には置いてないだろうし、掲示板にもこの武器を持ってるPCはいないみたいだし。
先生から【タチバナ流】を教えてもらってから鍛治の作成欄にこれが載っていた。
これの他にもうひとつ特殊な武器の作成もあってそれの作成にも力を入れている。
僕の鍛治レベルは中級くらいなら余裕で作れるレベルだ。
それを考えるとそんなにレアリティは高くない武器みたいだけど、特殊なのは間違いない。
結局、ふたつの特殊武器を作成するのに二週間かかった…。
でもこれでここでこなせそうなイベントと、習得できそうな職業やスキルはないだろう。
ざっと色々やってみたけど、まだなにかありそうな感じはする。
でも、そろそろお外に出たいです…冒険に出たい!(笑)
トータルすると四ヶ月近く塀にいたからレベル的にもスキル的にも他のPCと大きく離されていると思うけど、この武器とみんながいればすぐに追いつきそうな気がする。
僕は落ちたその夜、課金して残りの刑期を短縮することにした。
そう思ってた時がありました…:-″
倒れた僕の目にはカイ、アルフレッド、ヴァイスが同様に倒れているのが見える。
ただ一人残ったゼルが四体のゴーレムナイトに囲まれていた。
必死で剣を振るうゼル。
でも、囲まれてしまったらもう時間の問題だろう。
戦闘不能状態になった僕の身体はピクリとも動かない。
(あ~あ……負けちゃった…)
結局勢いに乗って倒せたのは一体のみ。
その時点で僕のHPは二割をきり、【堅牢】で強化しても四体のゴーレムナイトの攻撃に持ちこたえられずに倒されてしまった。
僕が倒れるとあとは連鎖的にカイとアルフレッドが倒れ、ヴァイスも倒されてしまった。
盗賊らしい身軽さでゴーレムナイトの猛攻をかわしていたゼルも倒れた僕から剣を取り抵抗していたけど、最後は囲まれて倒されてしまった。
剣はあのあと一振りだけでそれ以降はぶんどれなかったし、運も悪かったのかな?
『ファントム達は全滅しました…』
『パーティーメンバーそれぞれにEXPを100獲得しました』
『ファントムのLVが10から11に上がりました!』
『【剣術士】のLVが1から3に上がりました!』
『【斬撃】のLVが1から2に上がりました!』
『【堅牢】のLVが2から3に上がりました!』
『【咆哮】のLVが1から2に上がりました!』
『【指揮官】のLVが1から5に上がりました!』
『SPを11獲得しました!』
僕のレベルがあがったというシステムメッセージが流れたあとカイ、アルフレッド、ヴァイス、ゼルのレベルとスキルが上がったというメッセージが流れていく。
あれ?みんなもレベルが上がったけどスキルはゼルが【剣術士】を新しく覚えただけか。
なんで僕だけ戦闘中に習得したんだろう………?
そんなことを疑問に思っていると僕の身体が淡い光に包まれた。
「!?」
何事!?
倒れたみんなもなんか光ってる!?
HPゲージがみるみるうちに回復していき、あっという間に全快した。
なにこれ?回復魔法?
若干混乱しながらも立ち上がる僕。
カイ達ものろのろと立ち上がった。
あっそうか。戦闘が終わると回復するんだった。
前のPTもこんな感じで回復してたの忘れてたよ…(苦笑)
「ふむ。よく頑張ったなお前達」
先生がこちらに歩きながらそう言った。
「特にファントム、お前さんは筋がいい。お前さんには特別に俺のタチバナ流を教えてやるよ」
タチバナ流?
首を傾げる僕に先生は不敵な笑みを浮かべた。
「時間が許す限り教えてやるから覚悟しろよ?」
この後、僕は先生にめっちゃしごかれた…。
ほ、本当に死ぬかと思ったよ………。
特にイベントがなければ更に課金して出院準備まで進めようと思っていたけど、後期に入った途端にイベントが目白押しになった。
先生から【タチバナ流】を教わるイベントが起きてしまったのを皮切りに、鍛治も新たに追加された素材で熟練度が上がりやすくなったし、新しい武器を作れるようになっていた。
すっかり忘れていたけど、教会に改宗するイベントももう始まっていて、僕はいつの間にか改宗して洗礼を受けていた。
大体週一の休みの日にミサに参加したり講和を受けたりしたけど、【修道士】を習得した以外は特に得るものがなかった。
何故か聖書を読むと【白魔法】を覚えることができるらしいけど、僕のレベルが足りないせいか全然習得できない…。
ちなみにこのゲームの魔法習得は色々あってレベルが上がれば勝手に覚える魔法もあれば、職業に応じた書物を読むと習得したり、とある人物、NPCに教わるなどの方法がある。
それらも一定のレベルに達していないと習得できないし発生しないから面倒だ。
多分【修道士】のレベルが足りてないからヒール以外覚えられないんだと思うけど、来てくれる【司教】様も説法だけでなにも教えてくれなかった。
マリアさんにも会えないし、このイベントは失敗したかなと思った。
同室のヴァイスが【白魔導士】を目指すようで僕と一緒に改宗して【修道士】になってからはやたらと熱心に聖書を読んだりしてる。
同時に剣術の授業や軍隊みたいな運動にも呆れるほど意欲で真面目に取り組んでいるから脳筋のヒーラーになりそうな感じがする…:{
カイとアルフレッドは何回かPT戦を繰り返したあと【剣術士】を習得した。
二人はそのまま剣の道に進むようだ。
ゼルは僕の希望で盗賊職を極めてもらうことにした。
ダンジョン探索には必須のスキルが揃ってるし、シャバに出たらカイ達と一緒にPTを組む予定だから盗賊のゼルは貴重な人材だ。
ひとつ気がかりなのはアーノルドさんからの連絡が一向に来ないこと。
あのあと何回かメールを送ったけどなんの返事もこなかった…。
なにかあったのかと心配で不安だ…。
ドンペリキング達に連絡したくないし、比較的に親しいと思っているちーずプリンさんにメールでも送ってみようかどうしようかとウジウジ悩んだまま送れずにいた。
どうメールしていいかわからないし変な気恥ずかしさが先立ってしまう自分に嫌気がさす。
結局あれこれ悩んだ末、カイ達のギルド加入はシャバに出てからでいいやと先送りにした。
すぐ逃げにまわってしまう自分自身に軽く死にたい気持ちになってしまうけどこればっかりはどうしようもない。
僕はその件は後回しにして、今できることに集中した。
あまりやり込みすぎると半年くらいはずっとやることになりそうだったから、新しいスキルや武器作成ができるようになったらやめて、あとはシャバに出てから鍛えることにした。
出院準備に入ると鍛治の作業や剣術の授業はなくなって、軽い運動と農作業だけのイベントしかないようだから、せめて今僕が作っている武器が完成するまでは後期でいようと思っていた。
剣術の先生が教えてくれるタチバナ流は武芸百般の武術らしくて、僕に新しいスキルを色々と教えてくれた。
さすがに百ものスキルを覚えるのは大変だから、僕が主に扱う槍スキルと刀剣スキルを中心に教えてくれた。
先生は僕にデュエルでスキルを教えてくれたけど、先生は鬼のように強かった…。
先生が繰り出す技は、ワンパンの即死攻撃にちかい火力で僕に打ち込まれた。
教えてくれるスキルを何度も何度も喰らい、文字通り身体を張って覚えた僕は新しい攻撃スキルを習得した。
これで鋭意作成中の武器の作成に成功すれば俺tueee!を地でいけるかもしれない。
まあ、ぶっちゃけそこまで強くはなれないだろうけど、僕の興味を十二分に惹かれる面白武器なのは間違いない。
確実に特殊武器にあたるだろう。
普通に武器屋には置いてないだろうし、掲示板にもこの武器を持ってるPCはいないみたいだし。
先生から【タチバナ流】を教えてもらってから鍛治の作成欄にこれが載っていた。
これの他にもうひとつ特殊な武器の作成もあってそれの作成にも力を入れている。
僕の鍛治レベルは中級くらいなら余裕で作れるレベルだ。
それを考えるとそんなにレアリティは高くない武器みたいだけど、特殊なのは間違いない。
結局、ふたつの特殊武器を作成するのに二週間かかった…。
でもこれでここでこなせそうなイベントと、習得できそうな職業やスキルはないだろう。
ざっと色々やってみたけど、まだなにかありそうな感じはする。
でも、そろそろお外に出たいです…冒険に出たい!(笑)
トータルすると四ヶ月近く塀にいたからレベル的にもスキル的にも他のPCと大きく離されていると思うけど、この武器とみんながいればすぐに追いつきそうな気がする。
僕は落ちたその夜、課金して残りの刑期を短縮することにした。
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