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第1章 ギルド入会
第四十三話
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長い森を抜けると広大な平野が広がっていた。
山脈はまだ遠く見えるけど、その中間くらいに街らしきモノが見えた。
街というより町?いや、村かな?
まだ大分遠く感じるけど僕はその村らしき場所を目指して歩を早めた。
【アイゼン村】
【龍住まう山脈】の地下に広がるドワーフの王国から外に流れたドワーフ達の村。
数十人いる村人のNPCはみんな当然ドワーフで、村を歩きながらキョロキョロと周りを見回してみても僕のようなPCや人間種のNPCはいなかった。
(もしかして僕が一番のり?)
小さい村だけどとりあえず使えそうな施設は宿屋と雑貨屋そして転移門があった。
転移門さえあればいつでも落ちれるし、行き先を言えばアトラスの街に戻れることができるらしい。
アトラスの街しか知らないから他の街から街へ転移できるのかは実際に試してみないとわからない。
「まあそれは後にして、もう夜遅いしこれで一旦落ちるか…」
朝から歩き通しで日が落ちた夜にようやくこの村に到着した。
そろそろ夕食だと妹に呼び出されそうだしこのまま落ちよう。
僕はメニューを開いてログアウトをしようとした時、アーノルドさんからメールがきた。
落ちる前にメールを確認してみた。
『ギルメン全員に報告』
『ギルドクエスト【ゴブリン砦の攻略】が解禁されました。今日深夜0時にクエストを行いますので、参加できるメンバーは協力をお願いします。なお総勢12人、3パーティーで行うハーフレイドなので参加できるメンバーは至急私の方へ折り返しメールを下さい』
「レイド戦か…」
僕は即決で参加する旨をアーノルドさんに返信した。
うちのギルド今何人くらいいるのかわからないけど、アーノルドさんのPTに入れると嬉しいし色々気が楽だな。
食事を済ませたら少し仮眠するか…。
そんなことを思いながら僕は一旦落ちた。
◇
時刻は0時。
僕達【幻想大陸探検隊】はアトラスの街の東門に集合していた。
ギルドクエストに参加するメンバーが思い思いに散らばっていた。
ギルドクエストとは文字通りギルドに所属しているPCしか参加することができないクエスト。
このクエストをクリアすればギルドのクエストランクが上がるようだ。
僕らのギルドは最低ランクのFだからクリアすればEに上がれる。
僕はギルマスであるアーノルドさんの側でメニューを開いて自分の装備とスキルの最終チェックをしていた。
ちなみに今回初めてのギルドクエストに参加するメンバーは
僕、アーノルドさん、ちーずプリンさん、vincentことヴィンスさん、ドンペリキング、masato、いちご大福、愛の戦士、殺し屋A、ごはんはおかず、miya、サイタマの12人。
うちのギルドは現在20人くらいいるみたいだけど、公平を期すためにアーノルドさんが先着順で参加メンバーを決めたようだ。
ていうか………
「はあ!?スキル構成考えたら、ファントムっちはC班っしょ!」
「…いえいえ。ファントムさんは俺と同じA班で行きます。C班のタンクはヴィンスさんで十分でしょう?」
メンバー分けでアーノルドさんとドンペリキングが揉めていた。
主に僕のことで………。
今から行うギルドクエスト、略してギルクエは【ゴブリン砦の攻略】
文字通りゴブリンの砦を攻略するクエだ。
まんまだけど、正面、裏口、地下からの三方向から攻め込んでボスのゴブリンロードを倒せばクリアというわけだ。
PTは基本アタッカー、タンク、ヒーラーで構成するけど、その構成で今現在向かう前から揉めている。
「ヴィンスよりファントムっちの方がいいって絶対!」
「ファントムさんはうちの主力ですよ。正面から攻めるA班に必要です」
「だからこそファントムっちはC班でしょ!?バランス考えましょうよ」
「オレハC班デモ構ワナイガ…」
「いやいやヴィンスのほうが硬いっしょ?A班の方が絶対いいって」
まあ確かにアイアン系の全身鎧に身を固めたヴィンスさんの方がVITは高いと思うけど。
でもギルクエの話を聞いて再びインした後にほぼ全財産はたいて購入したミスリルの盾持ってて盾スキルや挑発スキル持ってる僕の方がいいと思うんだよね。
ていうかアーノルドさんとちーずプリンさんのいるA班がいい。
それ以外の班でやっていける自信がない…。
「アーノルドさん。ギルマスだからってワガママ言うのやめましょうよ。PTバランス考えたらファントムっちがC班確定っしょ?」
「バランスは良くてもここは連携を重視したほうがいいでしょ?いきなり知らないメンバーとPT組んでもうまく行きませんよ?」
「それはファントムっちが悪くね?他のメンバーとクエこなさねーし、誘っても断るし。この機会に他の面子と協力してほしいんだわ。今後のためにさ」
「だからってこの大事なクエでしなくてもよくないですか?」
…このままじゃ平行線だな。
いつまで経っても行けない。
夜明けまでにクリアしなきゃいけないし、アーノルドさん明日も仕事でしょ?
今日は平日で無理して来てるみたいだし………
「いいですよ。僕C班で…」
「ファントムさん!?」
「さすがファントムっち!」
これ以上迷惑かけたくない僕はC班に行くことを了承した。
それを聞いて驚くアーノルドさんと喜ぶドンペリキング。
「ようやく決まったか」
「アイツが自分でとっとと決断すれば話が早かったのにね」
どこかの誰かが聞こえよがしに言っているけど僕は無視した。
コイツらはB班だし必要以上に関わることはない。
ようやくPT編成が決まった。
A班。
アーノルドさん(剣士LV15、大剣)
ドンペリキング(剣士LV19、長剣)
ヴィンスさん(戦士LV13、片手剣、盾)
ちーずプリンさん(黒魔導士LV8、杖)
アタッカー2。タンク1。ヒーラー?1の構成。
バランスはいいと思う。
ちーずプリンさんは本来サポート寄りのアタッカーだけど一応回復魔法も使えるからヒーラーとしては合格だと思う。
B班。
masato(剣士LV17、片手剣、盾)
いちご大福(白魔道士LV14、杖)
miya(射手LV12、弓)
愛の戦士(重戦士LV5片手剣、大楯)
アタッカーは2。タンク1。ヒーラー1の構成。
ていうか重戦士ってもう転職したPCがいることに驚いた。
まだ下位クエストの段階で僕の目指していた中級職の重戦士のPCがそこにいた。
レベルは低いけどステータス的には僕よりはるかに上だろうな。
C班。
僕(ファントム)(戦士LV10、槍、盾)
殺し屋A(剣士LV9、大剣)
ごはんはおかず(黒魔導士LV7、杖)
サイタマ(白魔道士LV7、杖)
アタッカー2。タンク1。ヒーラー1の構成。
知らない面子。
加入したばかりのメンバーで初心者で構成されている。
魔導士は必要EXPが多いからレベルが低いのは仕方ない。
…まあ、相手は雑魚モブのゴブリンだし、ボスのロードはA班が相手するだろうから露払いとしては問題ないだろう。
編成を決めた僕らのギルド【幻想大陸探検隊】は目的地に向かった。
ようやく初のギルドクエストが始まる。
場所は東の森にあるゴブリンの砦。
12人で行うハーフレイド。
僕は若干の不安と不満、そしてそれを上回る緊張を胸に、みんなの中に混じって歩を進めていった。
山脈はまだ遠く見えるけど、その中間くらいに街らしきモノが見えた。
街というより町?いや、村かな?
まだ大分遠く感じるけど僕はその村らしき場所を目指して歩を早めた。
【アイゼン村】
【龍住まう山脈】の地下に広がるドワーフの王国から外に流れたドワーフ達の村。
数十人いる村人のNPCはみんな当然ドワーフで、村を歩きながらキョロキョロと周りを見回してみても僕のようなPCや人間種のNPCはいなかった。
(もしかして僕が一番のり?)
小さい村だけどとりあえず使えそうな施設は宿屋と雑貨屋そして転移門があった。
転移門さえあればいつでも落ちれるし、行き先を言えばアトラスの街に戻れることができるらしい。
アトラスの街しか知らないから他の街から街へ転移できるのかは実際に試してみないとわからない。
「まあそれは後にして、もう夜遅いしこれで一旦落ちるか…」
朝から歩き通しで日が落ちた夜にようやくこの村に到着した。
そろそろ夕食だと妹に呼び出されそうだしこのまま落ちよう。
僕はメニューを開いてログアウトをしようとした時、アーノルドさんからメールがきた。
落ちる前にメールを確認してみた。
『ギルメン全員に報告』
『ギルドクエスト【ゴブリン砦の攻略】が解禁されました。今日深夜0時にクエストを行いますので、参加できるメンバーは協力をお願いします。なお総勢12人、3パーティーで行うハーフレイドなので参加できるメンバーは至急私の方へ折り返しメールを下さい』
「レイド戦か…」
僕は即決で参加する旨をアーノルドさんに返信した。
うちのギルド今何人くらいいるのかわからないけど、アーノルドさんのPTに入れると嬉しいし色々気が楽だな。
食事を済ませたら少し仮眠するか…。
そんなことを思いながら僕は一旦落ちた。
◇
時刻は0時。
僕達【幻想大陸探検隊】はアトラスの街の東門に集合していた。
ギルドクエストに参加するメンバーが思い思いに散らばっていた。
ギルドクエストとは文字通りギルドに所属しているPCしか参加することができないクエスト。
このクエストをクリアすればギルドのクエストランクが上がるようだ。
僕らのギルドは最低ランクのFだからクリアすればEに上がれる。
僕はギルマスであるアーノルドさんの側でメニューを開いて自分の装備とスキルの最終チェックをしていた。
ちなみに今回初めてのギルドクエストに参加するメンバーは
僕、アーノルドさん、ちーずプリンさん、vincentことヴィンスさん、ドンペリキング、masato、いちご大福、愛の戦士、殺し屋A、ごはんはおかず、miya、サイタマの12人。
うちのギルドは現在20人くらいいるみたいだけど、公平を期すためにアーノルドさんが先着順で参加メンバーを決めたようだ。
ていうか………
「はあ!?スキル構成考えたら、ファントムっちはC班っしょ!」
「…いえいえ。ファントムさんは俺と同じA班で行きます。C班のタンクはヴィンスさんで十分でしょう?」
メンバー分けでアーノルドさんとドンペリキングが揉めていた。
主に僕のことで………。
今から行うギルドクエスト、略してギルクエは【ゴブリン砦の攻略】
文字通りゴブリンの砦を攻略するクエだ。
まんまだけど、正面、裏口、地下からの三方向から攻め込んでボスのゴブリンロードを倒せばクリアというわけだ。
PTは基本アタッカー、タンク、ヒーラーで構成するけど、その構成で今現在向かう前から揉めている。
「ヴィンスよりファントムっちの方がいいって絶対!」
「ファントムさんはうちの主力ですよ。正面から攻めるA班に必要です」
「だからこそファントムっちはC班でしょ!?バランス考えましょうよ」
「オレハC班デモ構ワナイガ…」
「いやいやヴィンスのほうが硬いっしょ?A班の方が絶対いいって」
まあ確かにアイアン系の全身鎧に身を固めたヴィンスさんの方がVITは高いと思うけど。
でもギルクエの話を聞いて再びインした後にほぼ全財産はたいて購入したミスリルの盾持ってて盾スキルや挑発スキル持ってる僕の方がいいと思うんだよね。
ていうかアーノルドさんとちーずプリンさんのいるA班がいい。
それ以外の班でやっていける自信がない…。
「アーノルドさん。ギルマスだからってワガママ言うのやめましょうよ。PTバランス考えたらファントムっちがC班確定っしょ?」
「バランスは良くてもここは連携を重視したほうがいいでしょ?いきなり知らないメンバーとPT組んでもうまく行きませんよ?」
「それはファントムっちが悪くね?他のメンバーとクエこなさねーし、誘っても断るし。この機会に他の面子と協力してほしいんだわ。今後のためにさ」
「だからってこの大事なクエでしなくてもよくないですか?」
…このままじゃ平行線だな。
いつまで経っても行けない。
夜明けまでにクリアしなきゃいけないし、アーノルドさん明日も仕事でしょ?
今日は平日で無理して来てるみたいだし………
「いいですよ。僕C班で…」
「ファントムさん!?」
「さすがファントムっち!」
これ以上迷惑かけたくない僕はC班に行くことを了承した。
それを聞いて驚くアーノルドさんと喜ぶドンペリキング。
「ようやく決まったか」
「アイツが自分でとっとと決断すれば話が早かったのにね」
どこかの誰かが聞こえよがしに言っているけど僕は無視した。
コイツらはB班だし必要以上に関わることはない。
ようやくPT編成が決まった。
A班。
アーノルドさん(剣士LV15、大剣)
ドンペリキング(剣士LV19、長剣)
ヴィンスさん(戦士LV13、片手剣、盾)
ちーずプリンさん(黒魔導士LV8、杖)
アタッカー2。タンク1。ヒーラー?1の構成。
バランスはいいと思う。
ちーずプリンさんは本来サポート寄りのアタッカーだけど一応回復魔法も使えるからヒーラーとしては合格だと思う。
B班。
masato(剣士LV17、片手剣、盾)
いちご大福(白魔道士LV14、杖)
miya(射手LV12、弓)
愛の戦士(重戦士LV5片手剣、大楯)
アタッカーは2。タンク1。ヒーラー1の構成。
ていうか重戦士ってもう転職したPCがいることに驚いた。
まだ下位クエストの段階で僕の目指していた中級職の重戦士のPCがそこにいた。
レベルは低いけどステータス的には僕よりはるかに上だろうな。
C班。
僕(ファントム)(戦士LV10、槍、盾)
殺し屋A(剣士LV9、大剣)
ごはんはおかず(黒魔導士LV7、杖)
サイタマ(白魔道士LV7、杖)
アタッカー2。タンク1。ヒーラー1の構成。
知らない面子。
加入したばかりのメンバーで初心者で構成されている。
魔導士は必要EXPが多いからレベルが低いのは仕方ない。
…まあ、相手は雑魚モブのゴブリンだし、ボスのロードはA班が相手するだろうから露払いとしては問題ないだろう。
編成を決めた僕らのギルド【幻想大陸探検隊】は目的地に向かった。
ようやく初のギルドクエストが始まる。
場所は東の森にあるゴブリンの砦。
12人で行うハーフレイド。
僕は若干の不安と不満、そしてそれを上回る緊張を胸に、みんなの中に混じって歩を進めていった。
応援ありがとうございます!
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