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第1章 ギルド入会

第三十五話

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『喧嘩屋カインを倒した!』
『パーティーメンバーそれぞれにEXP90を獲得しました!』
『ファントムのLVが5から6に上がりました!』
『長剣スキル【刺突】を習得しました!』
『【盾使い】のLVが2から3に上がりました!』
『盾スキル【シールドバニッシュ】のLVが1から2に上がりました!』
『防御スキル【堅牢】を習得しました!』

 喧嘩屋カインを倒したあと視界にシステムメッセージが現れた。
 すらすらと流れるように表示されていくメッセージを僕は自分のことが表示された箇所まで戻して改めて見直した。
 朝方の時もレベル上がったけどその時はなにも習得しなかった。
 盾系は順調に上がった。
【刺突】?突きばかりやってたからかな(笑)
 防御スキルを覚えたのは嬉しい誤算か。
 なんかいまいち発生条件がわからないなあ……。

「やったー!レベルアーップ!」
「おめでとうございます」
「オ疲レ様デシタ」
「おめでとうございます。やりましたね」

 パーティーメンバーと健闘を讃えあってると警備隊のNPCが数人やってきた。
 警備隊は倒れてるカインのもとへ行き、その一人が僕らのところへやってきた。
 警備隊のおじさんが僕らを一瞥すると

「通報があったので来てみれば…これは君達が?」
「はい。そうですが」

 警備兵の質問にアーノルドさんが代表して答えた。

「あの者は賞金首の【喧嘩屋カイン】ご苦労だったな」

 アーノルドさんは【証明書】を受け取った。

「懸賞金は後で詰め所まで取りに来るといい」

 ずいぶん横柄な態度でアーノルドさんに言うと賞金首を担いた仲間とともに酒場から出ていった。

「なにあのおじさん感じ悪!」
「日本ノ警官ミタイタ」
「まあまあ…」

 不満そうに呟くパーティーメンバーとそれを宥めるリーダー。
 僕はそれを横目で見ていた。

 その後僕らは懸賞金を受け取りに街の南西にある【管理区】へ向かった。





 警備隊の詰め所へ入り受付で懸賞金の受け取りを申請すると大きな皮袋がいくつも置かれた。
 視界にシステムメッセージが浮かび上がる。

『【喧嘩屋カイン】の賞金25200Gをパーティーリーダー、アーノルドが受け取りました』

 賞金額7000Gが25200G!?
 僕は頭の中で素早く計算をした。
 手下は26体倒したから手下一体賞金額一割の計算か…。
 それを四人で分けると一人頭6300G。
 うん?パーティーだと少し賞金が減るな。
 上限いっぱい手下倒せればいいけど、半端に倒したらその分取り分減らなくない?
 これならソロでやった方が稼げるんじゃ………:-()
 ちらりと僕はアーノルドさんを見た。
 
「はいファントムさんの取り分です」
「あ、ありがとうございます」

 僕はアーノルドさんから6300Gもらった。
 アーノルドさんはちーずプリンさんとヴィンスさんにも分け前を渡していく。
 …まいっか。
 勘ぐりすぎだと思うことにした。

「それじゃお疲れ様でした。俺はこれで落ちますね」
「はーい。お疲れ様でした!」
「オ疲レ様デシタ。マタヤリマショウ」
「あ、アーノルドさんお疲れ様でした」

 別れの挨拶をしてアーノルドさんはその場から消えた。
 ログアウトの瞬間って初めて見たけど急に消える感じなんだ。

「じゃあ私もこれで」
「オ疲レ様デス」
「あ、お疲れ様でした」

 ちーずプリンさんも消えるようにログアウトし、ヴィンスさんは何処かへ歩いていってしまった。
 ぽつんと一人取り残される僕…。
 べ、別に淋しくなんかないんだからね!
 ネトゲでもこういうの慣れてるし。

「さて…これからどうしようか」

 ってこれじゃ始まりの街で独り言言ってるPCプレイヤーじゃん。
 何故かいるよね、そういう人(笑)
 ネトゲ時代のあるあるネタを思い出して一人笑う僕。

「とりあえず、僕も手配書貰ってこようっと」

 僕はそう呟くと踵を返して再び詰め所へ入っていった。





 警備隊の詰め所で【手配書】を貰ってきた僕は特に行きたい所もなかったので転移門のある広場まで戻ってきていた。
 広場のベンチに腰掛けてさっき貰った手配書をペラペラとめくりながら見ていた。
 ランクFの賞金首はどれも似たような感じのだな。
 みんなヒャッハー軍団に見えてしょうがない。
 一人で聞き込みとかよく考えるとハードル高いよね…(自嘲)

「よし!」

 僕は勢いよく立ち上がった。
 ソロで賞金稼ぎしようと思ったけどやめた!
 一応手配書を持ってるから街で歩いててばったり賞金首に出くわすこともあるかもしれないし。
 自分から探し回るのはやめよう!
 
「…討伐クエでレベル上げでもするか」

 まずは冒険者組合へ行ってなんかいい討伐クエないか見てみよう。
 そう思って歩き出したその時……

『メールを受信しました』

 システムメッセージが視界に浮かぶ。
 僕は歩きながらメニューを開いてメールをチェック。
 妹からのライーンだった。

『お腹空いた』
『いい加減落ちないと頭から引っこ抜く』

「………」

 何故か最後に鉈をもったウサギの絵がスタンプされていた。 
 僕はメニューからログアウトをタップした。
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