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第1章 ギルド入会

第三十一話

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 賞金首のイベントミッションが起こった付近の武器店で、僕はゴブリンからドロップしたゴミアイテムを売却した。
 錆びた剣や斧、槍、ナイフ。ゴブリンの錆びた武器シリーズは予想通り一律3Gという安い買取値だった。
 これじゃこの世界のコンビニで売ってる【UMAIBOサラミ味】定価10G(全33種類。効果、HP5回復。各味によって効果が異なる)すら買えない。
 でも塵も積もれば山となる。
 各武器100前後あったおかげで総額1910Gにもなった!
 これで手持ちの所持金と合わせて3000Gジャスト。
 これを元手に新しい防具を買いたいところだ。

「防具ですか?」
「はい。全部買い替えるのは難しいですけど、せめて胴種の防具を変えたいなと」
「えっ!?変えるんですか?その服似合ってるし防御力もそこそこあるのに…」

 アーノルドさんは僕が今装備している【ホテルクリティーの制服】を見て残念そうに言った。
 たしかに物理と魔法防御力ともに+10ついてて初期装備の革の鎧(物理防御力+7)より性能がいい。
 まだ革系の装備が多い中、僕のいま装備している制服は使える防具といってもいいだろう。
 だがしかし!ただ一つだけ僕はこの防具に不満があった。
 それは………見た目が恥ずかしいからだ!(ここ重要!)
【ホテルクリティーの制服】は白のワイシャツに黒のベスト。そして黒のスラックスで構成されている。
 現実世界リアルならこの格好は別におかしくないだろう。
 ホテルマンの制服はよくわからないけど、こういう服着たホテルのスタッフはいると思うし、街を歩けば普通に歩いている人もいるかもしれない。
 だがしかーし!ここはゲーム、仮想世界バーチャルだ!しかも中世ヨーロッパ風のVRMMORPGだ!
 違和感ありすぎてなんか浮いてる感じがする…。
 すれ違うPC達の中には「あの服なに?」「カッコよくない?」とか「それどこで売ってるんですか?」と聞いてくるPCもいた。
 その度に持病のコミュ症が発生してしまう僕の気苦労がわかるだろうか?
 それにクエストのホテルの清掃作業の報酬で簡単に手に入れられる品物なのに!何故だ!
 なにより僕は目立つことが嫌いだ。好奇の目で見られることを極端に嫌う。
 防御力アップのために装備していたけど、そろそろ限界です…。
 これ着て街を歩く勇気がもうありません…。
 それに………これから同じギルドに入るPCひと達と会うんでしょ?
 その前に防具を買って装備しときたいのですよ!
 できるだけ目立ちたくないんです!

「というわけで、防具買わせてくださいお願いします!」
「な、なにがなのかわかりませんけど…わかりました。防具屋に行きましょう」
「あざーっす!」

 そんな僕の心の葛藤を知らないアーノルドさんは戸惑いながらも了承してくれた。
 これから会う人達もアーノルドさんのように気心の知れた友達になれるといいな…。
 そのためにはまずは服!ていうか防具だ!





そんなわけで僕らは 商業区のメインストリートにある大きな防具屋へやってきた。
 アーノルドさんが言うにはここが一番品揃えがいいとのことでここにやってきたんだけど………

「うーん………」

 僕は商品を映したウインドウとにらめっこをしていた。
 僕は主に防具胴種と言われる防具を選択表示して見ているけど………
 商品名、商品の画像、値段などが記載されている。

(無難なの…無難なの…出来るだけ普通っぽくて防御力あるやつ……)

【革の鎧(防具胴種、物理防御力+7)】300G。
【革のベスト(防具胴種、物理防御力+5)】200G。
【鉄の鎧(防具胴種、物理防御力+15)】2000G。
【鉄の胸当て(防具胴種、物理防御力+13)】1500G。
【ダマスカスメイル(防具胴種、物理防御力+28魔法防御力+15)】5000G。
【ミスリルの鎧(防具胴種、物理防御力+40魔法防御力+52)】10000G。

 一番品揃えがいい店にしては少ない気がする…。
 胴種のみを選んで見たからかな?
 まあ随時更新していくようなことを攻略サイトや公式HPにも書かれていたし、現状これが店で買える防具か……。
 
(最強装備はミスリル系か…)

 試しにミスリルで全身固めるといくらするのか調べてみた。

「高っ!!」

 兜、鎧、盾、靴合わせると4万する!
 今後のことを考えて目標4万G貯めよう…。
 とりあえず今買える鎧買ってこれからやる予定の賞金稼ぎでどこまで稼げるかだな。

「ていうか鉄の鎧一択だよねこれ……」

 それ以外は買えないし買う必要のないモノばかりだ。
 もう少し貯めてダマスカスメイル買うのも手だけど、それまで僕のメンタルがもたないし……。

「仕方ない。買うか…」

 魔法防御捨てて物理防御アップだ。
 見た目の変わらないゲームだったらこのままで我慢したんだろうけど、背に腹はかえられない。
 僕は【鉄の鎧】を購入した。

「本当に良かったんですか?」
「はい。これで良かったんですよ」

 鉄の鎧を装備した僕は言った。
 多分アーノルドさんから見た僕の顔はさぞ達観した表情かおをしていることだろう。
 メニューの【オプション・カラー設定】で買った鉄の鎧を漆黒に染めてみた。
 姿見で装備した自分を見たけど、なかなかイケてるに近づいたと思う。
 コスプレ感がハンパないけどみんな似たようなコスプレ格好だしそんなに目立つことはないと思う。

 防具を買い替え、一応用は済んだのを確認したアーノルドさんはドンペリキングさんがスカウトしたというPCに連絡を入れた。
 何人かクエストで街を離れていたり連絡がつかなかったりしたけれど、どうにか二人ほどのPCと連絡がとれた。
 広場で待ち合わせということで僕はアーノルドさんとともに待ち合わせ場所の広場へ向かった。

(神様。どうかいいPCひとでありますように…!)

 広場へ向かう道中アーノルドさんと雑談しながら僕は心の中でずっとで祈っていたことはアーノルドさんには内緒だ。
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