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こういう慰めかたのほうががよかった?
03
しおりを挟む授業が終わるとスーパーに寄って急いで家に帰る。
帰ってすぐに夕飯を作り、お風呂を焚く。その間にささっとごはんを食べてしまった。食後すぐの入浴は良くないという話を聞いたことがあるけれど、三日間だけだ。そんなに悪いことは起きないだろう。
お風呂を上がったタイミングで、玄関のドアが開く音がした。
ちょうど廊下にいたので、玄関まで迎えに行く。
「雪哉くんおかえり」
「っ……ただいま。今日のごはん何?」
少し驚いた表情を見せたあと、すぐにすっといつもの表情に戻る。
「今日は生姜焼きだよ。準備しておいておくね」
「……梓はもう風呂入ったの?」
「うん。ごはんも食べちゃった。部屋で勉強するね」
「勉強? なんかあるの?」
雪哉にしてはやけに食い下がる。
「試験があるの。順位も出るからがんばりたくて」
「なんの試験? 俺が教えようか」
「えっと、統計学なんだけど……」
「俺得意だよ」
「ほんと!? お願いしたい!」
より良い点を取るなら、協力者がいたほうがいい。しかも雪哉が得意だというならなおさら心強い。
「わかった。飯食ったら梓の部屋に行くね」
「ありがとう!」
梓はいそいそと部屋に戻り、さっそく準備をした。
教えてもらうんだったら、学習机ではだめだろう。梓は普段は閉まってあるピンク色の折り畳み式のテーブルを取り出し、部屋の中央に置いた。
ほこりをかぶっていたのできれいにして、資料を広げる。
雪哉が来るまでにわからないところをまとめておきたかった。
「梓、お待たせ」
1時間も経たないうちに、雪哉が梓の部屋のドアをノックする。
「雪哉くん仕事で疲れてるのに、ありがとう」
「うん。生姜焼きおいしかった」
「よかった。ここ座って」
「進んでる?」
雪哉は梓の真横に座りながら、梓のノートを覗き込む。
「……うん。でもわからないことが多くて」
「どれ。見せて」
雪哉が身体を寄せる。とん、と肩がぶつかって、雪哉の身体のぬくもりが伝わってきた。梓はそっと、身体を離す。
「雪哉くん、ちょっと近い」
「あ、ごめん。見えなくて」
目が悪いのかな、とノートを雪哉のほうに寄せる。
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