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異世界旅館②
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そして10駅ほど過ぎた頃……。
「夢……気持ち悪い……」
「キース大丈夫?」
「ソフィさん……気持ち悪いです……」
「あらあら、大丈夫かしら」
心配していた通り、キースとヴェントスは完全にダウンした。
俺の肩に寄りかかるキース。
ソフィの膝に寝転がるヴェントス。
2人とも顔色がとても悪い。
「2人とも大丈夫ですかね……」
みんなが早起きの反動で眠っている中、イムだけは平然と起きている。
人を心配する余裕まであるとは……さすがはイム。
そんなことより、酔っちゃった2人をどうにかしなければ。酔う人は眠っちゃうのが1番いいんだけど、確か酔いに効くツボがいくつかあったはず。
効くかは知らんが試してみる価値はある。
「キース、ちょっとだけ手を触るよ」
「うん……」
俺はキースの手を取った。
「えーっと、確か……手のひらを上向きにして、手と手首の境目にあるしわの真ん中から、腕側に指3本分移動したところにあるのが内関。
そのまま手をひっくり返して、同じ位置にあるのが外関。
この2つのツボは、平衡感覚を正常にし吐き気を抑える効果があると言われているらしい」
俺は2つのツボをそれぞれ押した。
「す、すごいです」
「あらあら、料理の時と言い本当に知識が豊富なのね」
イムとソフィは興味津々に俺の手元を見ている。
確かにソフィの言う通り、変な知識だけはよく覚えている自信がある。
俺はソフィにツボの場所を教え、ヴェントスにも同じことをしてもらった。
すると不思議なことに、2人は眠りについた。
キースの寝息が、とてもよく聞こえてくる。
結局起きていたのは、俺、ソフィ、イムの3人だけだった。
しばらく電車に揺られていると、突然こんなアナウンスがかかった。
「みなさま、進行方向左側をご覧下さい!」
俺はチラッと窓の外を見たあと、急いで寝ているみんなを叩き起こした。
「むむ……もう朝か?」
「違うよ、窓の外見てみ」
「うむ……って、な、なんだこれは!」
「綺麗だよな」
その景色は、一瞬にしてみんなの目を奪った。
透き通るような湖、そこに反射するリダンド山。
俺は自然の美しさ、ありがたみを改めて知った。
「まもなく、リダンド山前、リダンド山前」
綺麗な景色に見惚れていると、目的の駅が目の前に迫っていた。
「おいみんな、降りるぞ」
「は~い!」
「おう!」
無事駅に着いた俺たちは、そのままロープウェイに乗り換える。
このロープウェイは、駅と旅館とを1本で繋いでいるらしい。
3人乗りだったためメンバー決めを行ったが、1分もかからずすぐに決まった。
ちなみに、俺と水月とキュレル、スラとイム、キースとヴェントスとソフィ、ラプスとカプラとメルという組み合わせだ。
早速俺たちはロープウェイに乗り込んだ。
「これ結構揺れるな、2人とも……」
俺が共感を求めようとしたら……。
「ちょっと筋肉、もっとそっち寄りなさいよ」
「誰が筋肉だ!」
「あんた以外いないでしょ!」
「何を~!」
俺のメンバーはとにかく騒がしかった。
一方、スラとイムは……。
「スラお姉様、とても綺麗ですね!」
「うむ、絶景であるな」
「あの~……スラお姉様……」
「むむ? モジモジして、どうしたのだ?」
「と、隣に座ってもいいでしょうか?」
「なんだ、そんなことか! もちろんいいぞ」
「本当ですか! では、失礼します。うふふ」
そこには、付き合いたてのカップルのような空間が広がっていた。
一方、キースとヴェントスとソフィは……。
「ソフィ……いい景色ね……」
「ソフィさん……いい天気ですね……」
「あらあら、もう酔ったのかしら? うふふ」
ソフィの肩にもたれ掛かる2人の姿があった。
最後に、ラプスとカプラとメルは……。
「風が気持ちいいな」
「風吹いてないですよ」
「玉子日和なのです!」
「全然わからないんだけど……」
不思議な感覚を持つ2人に、メルは困惑していた。
「夢……気持ち悪い……」
「キース大丈夫?」
「ソフィさん……気持ち悪いです……」
「あらあら、大丈夫かしら」
心配していた通り、キースとヴェントスは完全にダウンした。
俺の肩に寄りかかるキース。
ソフィの膝に寝転がるヴェントス。
2人とも顔色がとても悪い。
「2人とも大丈夫ですかね……」
みんなが早起きの反動で眠っている中、イムだけは平然と起きている。
人を心配する余裕まであるとは……さすがはイム。
そんなことより、酔っちゃった2人をどうにかしなければ。酔う人は眠っちゃうのが1番いいんだけど、確か酔いに効くツボがいくつかあったはず。
効くかは知らんが試してみる価値はある。
「キース、ちょっとだけ手を触るよ」
「うん……」
俺はキースの手を取った。
「えーっと、確か……手のひらを上向きにして、手と手首の境目にあるしわの真ん中から、腕側に指3本分移動したところにあるのが内関。
そのまま手をひっくり返して、同じ位置にあるのが外関。
この2つのツボは、平衡感覚を正常にし吐き気を抑える効果があると言われているらしい」
俺は2つのツボをそれぞれ押した。
「す、すごいです」
「あらあら、料理の時と言い本当に知識が豊富なのね」
イムとソフィは興味津々に俺の手元を見ている。
確かにソフィの言う通り、変な知識だけはよく覚えている自信がある。
俺はソフィにツボの場所を教え、ヴェントスにも同じことをしてもらった。
すると不思議なことに、2人は眠りについた。
キースの寝息が、とてもよく聞こえてくる。
結局起きていたのは、俺、ソフィ、イムの3人だけだった。
しばらく電車に揺られていると、突然こんなアナウンスがかかった。
「みなさま、進行方向左側をご覧下さい!」
俺はチラッと窓の外を見たあと、急いで寝ているみんなを叩き起こした。
「むむ……もう朝か?」
「違うよ、窓の外見てみ」
「うむ……って、な、なんだこれは!」
「綺麗だよな」
その景色は、一瞬にしてみんなの目を奪った。
透き通るような湖、そこに反射するリダンド山。
俺は自然の美しさ、ありがたみを改めて知った。
「まもなく、リダンド山前、リダンド山前」
綺麗な景色に見惚れていると、目的の駅が目の前に迫っていた。
「おいみんな、降りるぞ」
「は~い!」
「おう!」
無事駅に着いた俺たちは、そのままロープウェイに乗り換える。
このロープウェイは、駅と旅館とを1本で繋いでいるらしい。
3人乗りだったためメンバー決めを行ったが、1分もかからずすぐに決まった。
ちなみに、俺と水月とキュレル、スラとイム、キースとヴェントスとソフィ、ラプスとカプラとメルという組み合わせだ。
早速俺たちはロープウェイに乗り込んだ。
「これ結構揺れるな、2人とも……」
俺が共感を求めようとしたら……。
「ちょっと筋肉、もっとそっち寄りなさいよ」
「誰が筋肉だ!」
「あんた以外いないでしょ!」
「何を~!」
俺のメンバーはとにかく騒がしかった。
一方、スラとイムは……。
「スラお姉様、とても綺麗ですね!」
「うむ、絶景であるな」
「あの~……スラお姉様……」
「むむ? モジモジして、どうしたのだ?」
「と、隣に座ってもいいでしょうか?」
「なんだ、そんなことか! もちろんいいぞ」
「本当ですか! では、失礼します。うふふ」
そこには、付き合いたてのカップルのような空間が広がっていた。
一方、キースとヴェントスとソフィは……。
「ソフィ……いい景色ね……」
「ソフィさん……いい天気ですね……」
「あらあら、もう酔ったのかしら? うふふ」
ソフィの肩にもたれ掛かる2人の姿があった。
最後に、ラプスとカプラとメルは……。
「風が気持ちいいな」
「風吹いてないですよ」
「玉子日和なのです!」
「全然わからないんだけど……」
不思議な感覚を持つ2人に、メルは困惑していた。
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