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みんなでお泊まりに行こう②
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「確かに俺もそう思う。
でも、今はどうでもいい!
早速旅行カバンの準備だ~!」
俺は天高く手を突き上げた。
「我も準備するのである! イム!」
「はい、スラお姉様!」
スラとイムはエレベーターに乗り込み、自分の部屋に戻っていってしまった。
「個性的な人たちですね……」
キュレルは少し驚いているようだ。
そんなリアクションをしているが、キュレルもかなり個性的だと思うんだけどな……。
「とりあえずみんな行く気みたいだし、二日後に出発ってことで」
「二人には私から伝えておきますね」
「お、ヴェントスよろしくな」
「は~い」
俺たちは解散し、各々旅行カバンの準備を始めた。
結局あまり触れられなかったキュレルは、俺の部屋に来ていた。
「それでさ……結局私は行ってもいいのかな?」
「いいんじゃないの、別に」
部屋の角で体育座りをし、天井を見つめるキュレル。
その顔はどこか寂しそうな顔をしていた。
そんなか彼女は口を開いた。
「私には仲良い友達、一人もいないんだよね」
「え……?」
キュレルから出たとは思えない言葉に、俺は驚いた。
テンションが高く、よく喋るタイプの彼女に友達がいないなんて事があるのだろうか。
キュレルは続けてこう言った。
「女神様に拾われてなかったら、私は今頃堕天使になっていたかもしれない。
あのお方には、本当に感謝しかない」
俺は堕天使になる理由を知らない。
だが、女神様はやはり寛大で寛容な人であることはよく分かった。
「なぁキュレル、服買いに行くか?」
「いい、要らない。
服なら、たくさん天界に置いてあるから」
「あ、そう」
気まずい……。
こんな時、女の子にはどのように接すればいいんだろうか。
全くわからない。
キュレルは視線を下げたあと、下を向いたまま動かなくなってしまった。
「とりあえず、キュレルはこのカバン使って。
このカバンはおそらく妹が使ってたやつだと思う」
「ありがとう……」
とにかくテンションの低いキュレルを部屋に残し、俺は食事の間に向かった。
なにかこの状況を解決とまでは行かなくとも、緩和する方法は無いのだろうか。
俺はコップに入れたオレンジジュースを飲みながら、必死に考えていた。
そんな時エレベーターが開き、誰かが食事の間にやってきたようだ。
誰かを頼るのが一番いいのかもな……。
足音がだんだん近づいてくる。
眠そうにあくびをしながらやってきたのは、キースだった。
「ふわぁ~……あ、夢だ! 何してるの?」
キースは俺が座っているすぐ横に椅子を移動させ、隣に座った。
「この前紹介したキュレルって天使がいただろ?」
「うん」
「過去になにかあったのか、突然病んでしまっただけなのかわからないけど、テンションが低くてさ。
せっかく泊まりに行くんだったら、どうにかしてあげたいなって思って」
「ふ~ん、なるほどね」
それから、キースも一緒になって考えてくれた。
目の前に置いてあるオレンジジュースが入ったコップを躊躇なく飲みながら。
それ一応俺のやつなんですけど……まぁいいや。
「思いついた」
「え、本当か!」
「うん。夢のためにって思ったらすぐに思いついた」
「キース頼む、教えてくれ」
「なにかプレゼントしてあげるのがいいと思う」
「俺が?」
「うん」
「キュレルに?」
「うん」
「確かにな……誰かからプレゼントを貰ったとなれば、なにか変わるかもしれない。
キース、まじでナイスアイデアだ!」
「そんな事ないよ……照れる……」
「じゃあ俺行ってくるわ」
そう言って俺は部屋を飛び出した。
一方部屋に残されたキースは……。
「これって夢がキュレルにプレゼントするってこと……?
へぇ……私にはくれないのに、夢はそういうことするんだ」
あなたのアイデアですよ、キースさん。
でも、今はどうでもいい!
早速旅行カバンの準備だ~!」
俺は天高く手を突き上げた。
「我も準備するのである! イム!」
「はい、スラお姉様!」
スラとイムはエレベーターに乗り込み、自分の部屋に戻っていってしまった。
「個性的な人たちですね……」
キュレルは少し驚いているようだ。
そんなリアクションをしているが、キュレルもかなり個性的だと思うんだけどな……。
「とりあえずみんな行く気みたいだし、二日後に出発ってことで」
「二人には私から伝えておきますね」
「お、ヴェントスよろしくな」
「は~い」
俺たちは解散し、各々旅行カバンの準備を始めた。
結局あまり触れられなかったキュレルは、俺の部屋に来ていた。
「それでさ……結局私は行ってもいいのかな?」
「いいんじゃないの、別に」
部屋の角で体育座りをし、天井を見つめるキュレル。
その顔はどこか寂しそうな顔をしていた。
そんなか彼女は口を開いた。
「私には仲良い友達、一人もいないんだよね」
「え……?」
キュレルから出たとは思えない言葉に、俺は驚いた。
テンションが高く、よく喋るタイプの彼女に友達がいないなんて事があるのだろうか。
キュレルは続けてこう言った。
「女神様に拾われてなかったら、私は今頃堕天使になっていたかもしれない。
あのお方には、本当に感謝しかない」
俺は堕天使になる理由を知らない。
だが、女神様はやはり寛大で寛容な人であることはよく分かった。
「なぁキュレル、服買いに行くか?」
「いい、要らない。
服なら、たくさん天界に置いてあるから」
「あ、そう」
気まずい……。
こんな時、女の子にはどのように接すればいいんだろうか。
全くわからない。
キュレルは視線を下げたあと、下を向いたまま動かなくなってしまった。
「とりあえず、キュレルはこのカバン使って。
このカバンはおそらく妹が使ってたやつだと思う」
「ありがとう……」
とにかくテンションの低いキュレルを部屋に残し、俺は食事の間に向かった。
なにかこの状況を解決とまでは行かなくとも、緩和する方法は無いのだろうか。
俺はコップに入れたオレンジジュースを飲みながら、必死に考えていた。
そんな時エレベーターが開き、誰かが食事の間にやってきたようだ。
誰かを頼るのが一番いいのかもな……。
足音がだんだん近づいてくる。
眠そうにあくびをしながらやってきたのは、キースだった。
「ふわぁ~……あ、夢だ! 何してるの?」
キースは俺が座っているすぐ横に椅子を移動させ、隣に座った。
「この前紹介したキュレルって天使がいただろ?」
「うん」
「過去になにかあったのか、突然病んでしまっただけなのかわからないけど、テンションが低くてさ。
せっかく泊まりに行くんだったら、どうにかしてあげたいなって思って」
「ふ~ん、なるほどね」
それから、キースも一緒になって考えてくれた。
目の前に置いてあるオレンジジュースが入ったコップを躊躇なく飲みながら。
それ一応俺のやつなんですけど……まぁいいや。
「思いついた」
「え、本当か!」
「うん。夢のためにって思ったらすぐに思いついた」
「キース頼む、教えてくれ」
「なにかプレゼントしてあげるのがいいと思う」
「俺が?」
「うん」
「キュレルに?」
「うん」
「確かにな……誰かからプレゼントを貰ったとなれば、なにか変わるかもしれない。
キース、まじでナイスアイデアだ!」
「そんな事ないよ……照れる……」
「じゃあ俺行ってくるわ」
そう言って俺は部屋を飛び出した。
一方部屋に残されたキースは……。
「これって夢がキュレルにプレゼントするってこと……?
へぇ……私にはくれないのに、夢はそういうことするんだ」
あなたのアイデアですよ、キースさん。
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