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絢爛の殺し屋③
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「まずはラプス、この玉ねぎをみじん切りにしてもらえる?」
「ああ、任せろ」
ラプスは腰から小さなナイフを取り出し、まな板に置かれた小さめな四つの玉ねぎをあっという間にみじん切りにして見せた。
その手慣れた動きに、改めて彼女がどういう人間か思い知らされた。
「す、すげえな……」
「これくらいどうってことない」
「そ、そうか……。
それならラプス、お前料理向いてるかもな」
「バ、バカ言わないで!
でも……ありがとう。ちょっと嬉しい」
「ん~? なんかいい雰囲気なのです……」
新婚夫婦のようなやりとりを目の当たりにし、なぜか嫉妬してしまうカプラ。
すぐ横に置いてあったボウルを手に、声をかける。
「私も何かしたいのです!」
「そうだな……なら、今ラプスが切った玉ねぎを全部炒めてくれるか?」
「任せろなのです!」
俺は心配だった。
ラプスには料理経験がなかった。
だから、玉ねぎを切る作業を任せた。
カプラには味噌汁を作った経験しかない。
果たして玉ねぎを無事に炒めることができるのだろうか。
「カプラ、まずは油を適量フライパンに入れてくれ。
そのあとは、いい感じに色がつくまで中火で炒めるって流れだ」
「了解なのです!」
「じゃあカプラが炒めてくれてる間に、ラプスはソース作っちゃおうか」
「問題ない」
「玉ねぎの時は気づかなかったが、十二人分作るとなると……ウスターソースを大さじ十二杯、ケチャップを大さじ六杯、酒を大さじ六杯入れたソースを作らないといけない計算になるな……」
「さすがにこれは、料理未経験の私にもわかる多さね……」
「そこに置いてある大きめのボウルに入れよっか」
「そうね」
真剣に炒めるカプラ、初めてのソース作りに奮闘するラプス。
行動の一つ一つが拙く、まるで子供に教えているみたいだ。
「夢さん! 玉ねぎがいい色になったのです!」
「お~どれどれ……完璧じゃん! カプラ偉いぞ」
俺は無意識にカプラの頭をよしよしと撫でていた。
カプラはとても嬉しそうだ。
ラプスはソースを必死に混ぜている。
「炒めた玉ねぎは、そのまま粗熱が取れるまで放置な」
「了解なのです! 次は何をすれば!」
「元気だな……次は1.2キロの合い挽き肉を捏ねて、パン粉60グラム、卵を6個いれて、粘り気が出るまで捏ねてくれ。
いい感じになったら、また声をかけてくれ」
「了解なのです!」
本当に健気で可愛らしい。
俺がカプラを親のような気持ちで見ていると、後ろからラプスに肩をトントンされた。
「ん? ソース出来たのか?」
「どう……かな……?」
俺はスプーンに少しだけすくい、味見をした。
「めっちゃ美味しいよ! 俺よりよく作れてる」
「嬉しい……」
「それじゃあラプスも、カプラの作業手伝ってあげて」
「わかった」
必死にハンバーグのタネを捏ねる二人。
これが初めての料理か……なんだか懐かしいな……。
「夢さん! 粘り気が出てきたのです!」
「いい感じだと思うんだけど」
「どれどれ……」
俺が触って確認したところ、とてもいい感じだった。
「二人ともセンスいいな。毎日手伝って欲しいくらいだよ」
「そうかな……」
「カプラは天才なのです!」
「ああ、天才だな」
それから粗熱を取った玉ねぎを入れて混ぜ合わせ、ボウルに半分ずつ分けた。
「いよいよ形を作っていく工程だ。
よ~く見とけよ」
俺はハンバーグのタネを楕円形にまとめ、右左の手のひらでキャッチボールするようにポンポンと往復させた。
「よし、こんなもんかな?」
綺麗な楕円形のハンバーグをフライパンの上に乗せた。
「ああ、任せろ」
ラプスは腰から小さなナイフを取り出し、まな板に置かれた小さめな四つの玉ねぎをあっという間にみじん切りにして見せた。
その手慣れた動きに、改めて彼女がどういう人間か思い知らされた。
「す、すげえな……」
「これくらいどうってことない」
「そ、そうか……。
それならラプス、お前料理向いてるかもな」
「バ、バカ言わないで!
でも……ありがとう。ちょっと嬉しい」
「ん~? なんかいい雰囲気なのです……」
新婚夫婦のようなやりとりを目の当たりにし、なぜか嫉妬してしまうカプラ。
すぐ横に置いてあったボウルを手に、声をかける。
「私も何かしたいのです!」
「そうだな……なら、今ラプスが切った玉ねぎを全部炒めてくれるか?」
「任せろなのです!」
俺は心配だった。
ラプスには料理経験がなかった。
だから、玉ねぎを切る作業を任せた。
カプラには味噌汁を作った経験しかない。
果たして玉ねぎを無事に炒めることができるのだろうか。
「カプラ、まずは油を適量フライパンに入れてくれ。
そのあとは、いい感じに色がつくまで中火で炒めるって流れだ」
「了解なのです!」
「じゃあカプラが炒めてくれてる間に、ラプスはソース作っちゃおうか」
「問題ない」
「玉ねぎの時は気づかなかったが、十二人分作るとなると……ウスターソースを大さじ十二杯、ケチャップを大さじ六杯、酒を大さじ六杯入れたソースを作らないといけない計算になるな……」
「さすがにこれは、料理未経験の私にもわかる多さね……」
「そこに置いてある大きめのボウルに入れよっか」
「そうね」
真剣に炒めるカプラ、初めてのソース作りに奮闘するラプス。
行動の一つ一つが拙く、まるで子供に教えているみたいだ。
「夢さん! 玉ねぎがいい色になったのです!」
「お~どれどれ……完璧じゃん! カプラ偉いぞ」
俺は無意識にカプラの頭をよしよしと撫でていた。
カプラはとても嬉しそうだ。
ラプスはソースを必死に混ぜている。
「炒めた玉ねぎは、そのまま粗熱が取れるまで放置な」
「了解なのです! 次は何をすれば!」
「元気だな……次は1.2キロの合い挽き肉を捏ねて、パン粉60グラム、卵を6個いれて、粘り気が出るまで捏ねてくれ。
いい感じになったら、また声をかけてくれ」
「了解なのです!」
本当に健気で可愛らしい。
俺がカプラを親のような気持ちで見ていると、後ろからラプスに肩をトントンされた。
「ん? ソース出来たのか?」
「どう……かな……?」
俺はスプーンに少しだけすくい、味見をした。
「めっちゃ美味しいよ! 俺よりよく作れてる」
「嬉しい……」
「それじゃあラプスも、カプラの作業手伝ってあげて」
「わかった」
必死にハンバーグのタネを捏ねる二人。
これが初めての料理か……なんだか懐かしいな……。
「夢さん! 粘り気が出てきたのです!」
「いい感じだと思うんだけど」
「どれどれ……」
俺が触って確認したところ、とてもいい感じだった。
「二人ともセンスいいな。毎日手伝って欲しいくらいだよ」
「そうかな……」
「カプラは天才なのです!」
「ああ、天才だな」
それから粗熱を取った玉ねぎを入れて混ぜ合わせ、ボウルに半分ずつ分けた。
「いよいよ形を作っていく工程だ。
よ~く見とけよ」
俺はハンバーグのタネを楕円形にまとめ、右左の手のひらでキャッチボールするようにポンポンと往復させた。
「よし、こんなもんかな?」
綺麗な楕円形のハンバーグをフライパンの上に乗せた。
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