異世界マンションの管理人

ゆざめ

文字の大きさ
上 下
41 / 57

絢爛の殺し屋②

しおりを挟む
 こいつは一体何を言っているんだろうと言いたげな二人。
 でもこれならみんなにご飯を作れるし、人の多い場所で殺しを行ったりはしないはずだ。
 問題はどうやって言いくるめるかだが……。

「ご飯をみんなで食べると、幸せな気分になれるだろ?
 その感情が念話キャンセルへの鍵になるんだ」

「いえ、そのような経験がないのでわかりません」

「右に同じくなのです」

「そうなのか……まあいい。
 とりあえずみんなの前では、俺の知り合いの知り合いってことで話を合わせよう。
 それから武力攻撃は当然禁止だ、いいな?」

「わかった。変態を回避するためにも協力しよう」

「了解なのです!」

 カプラは敬礼のポーズを取っている。
 目に見えるポンコツだ。
 それから俺たち三人は十六階へ向かった。
 まだ時間が早かったこともあり、誰もいないようだ。

「お前たちって料理は出来るのか?」

「私は野菜を切ることなら出来る」

「そうですね……お味噌汁だけなら作れるのです!」

「じゃあみんなのために、料理作るの手伝ってくれ」

「わかった」

「了解なのです!」

 なぜ味噌汁だけ作れるのかものすごく気になる 。
    料理を手伝ってもらうのも、信頼関係を築くためだ。
 しかし、彼女たちは殺し屋だ。
    発言に注意し、丁重に扱わなければ……死ぬ。

「というかその前に、お互いをなんて呼びあったら自然に見えるのか考えなきゃな」

「いいんじゃないか、ラプスで」

「私もカプラで問題ないのです!」

 あれ、こいつら名前知られたらまずいんじゃなかったの?
 まあいいか。
 こちらとしては好都合だ。

「俺は夢でも夢さんでも何でもいい。
 好きに呼んじゃってくれ」

「わかった」

「了解なのです!」

「それじゃあ今回作るメニューだが、ハンバーグにしよう」

「聞いたことはあるが、作ったことは無いな」

「私もなのです!」

「大丈夫だ、心配するな!
 俺の言う通り作れば、誰でも絶品ハンバーグを作れる!」

「なんという自信。この男……信頼出来る……」

「全力で頑張るのです!」

「あ、その前に一つ……」

 俺は二人に、百均で売っていそうな純白のエプロンを着用させた。

「なんなんだ……この動きにくい服は……。
 戦闘になったら確実に負けるではないか」

「ラプス、とても可愛らしいのです! 」

「バ、バカを言え! ……カプラもかなり似合っている……」

「本当ですか! 嬉しいのです!」

 カプラはうさぎのようにぴょんぴょん跳ねている。
 なんとも女の子らしい振る舞いだ。
 いくら殺し屋と言っても、やはり心はただの女の子ってわけか。

「よし、準備も整ったところで調理開始だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

処理中です...