新 或る実験の記録

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ファイン製薬潜入編

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「すいません

裸になっていただいて…」


堀口さんは全裸で仰向けになっている吉岡先生に声をかけた。


「いえ、ワタシは全然大丈夫です。
続けて下さい。」


吉岡先生がそう答えると、堀口さんは頷き、電極?みたいなものとか、心電図をとる時に挟むやつみたいなのを、全身に取り付けた。


取り付け終わると、すぐにモニターのところに行き、難しい顔をして、画面を食い入るように見つめた。


「…」


「堀口さん

何かわかりました?」


沈黙の長さに、不安になったのか、吉岡先生は、少し顔を上げ、堀口さんに向かって言った。


「あ、いえ…

もう少し詳しく調べてみないと断言は出来ませんが…

マウスでの実験と、改良型Iのデータを元にシュミレートしていたんですが…やはり、吉岡さんに使用されたプロトタイプの性転換薬は、根本的に違います。
何一つデータの共有が出来ません。」


「そうですか…」


「これが良い方向に出ればいいのですが」


「と、なると
ワタシや乃亜ちゃんは、改良型Iの人達と同じような危険に見舞われる可能性もあるし、そうでないという可能性もあるってことですよね?」


「乃亜さんもこれから調べさせていただきますが、おっしゃる通りです。」


「だったら、喫緊の課題は、改良型Iの人達で生きている四名を救う事にありますね。

先にそちらの解決策を講じましょう。」


吉岡先生は冷静な口調で言った。


「はい。
そう言ってもらえると助かります。」


堀口さんは吉岡先生に頭を下げ、体につけていた端子みたいなものを外していった。


「あの、堀口さん
この事とは全然関係ない話なんですが」


吉岡先生が言うと、堀口さんは手を止めて顔を上げた。


「どうされましたか?」


「あの、ワタシや乃亜ちゃんて、異常に感じやすい体にされてますよね?
プロトタイプのワタシは特に。」


「そうですね。」


「これについては改良ってうか、改善はされていないんでしょうか。
感じないより感じる方がいいんですが、度を超えた快感は、日常生活にも支障をきたすほどで…」


「それについては、この薬の開発者の一人として、本当に申し訳なく思っています。

この薬によって性転換する仕組みは、その八割は脳に指令を出して変化させるようになっています。」


「視床下部にってやつですか」


「そうです。

その副反応として、吉岡さんのように異常なな感度を指し示す形になってしまったのですが…

実は、改良型Iで性転換した5名については、そこまでの感度ではないんです。」


「どういうことです?」


色々と知らない事実が出てくるもんだ。

ワタシは腕組みして、二人の会話を後ろで聞いていた。



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