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ファイン製薬潜入編
pandemic
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「最初のうちは同じタイミングで死んでいったマウスでしたが、番いで入れていたマウスが早く死に始めたのです。」
「番い?
どういう事ですか」
吉岡先生は当然の如く、堀口さんに質問した。
「はい。
我々は様々な条件下に置いたマウスを観察していましたが、死ぬタイミングはだいたい皆同じでした。
しかし、オスからメスに性転換させたマウスを、オスのマウスと一緒にゲージに入れていたグループについては、全てにおいて、単独でゲージにいるマウスよりもかなり早く死んでしまったのです。」
「それって、何を意味しているのですか?」
「それらのマウスは全て、オスのマウスと交尾を行ったんです。
あくまでも私が立てた仮説ですが、死期が早まったのは、交尾にあるのではないかということです。」
「交尾?」
「ええ。
先ほども申しましたように、この薬による性転換は、脳の視床下部に刺激を与えます。
つまり、脳のコントロールが重要なのですが、交尾や、人間でいうところのセックスもまた、性欲、性衝動、性感など、全ては脳の働きによるものです。
私は死が早まった原因は、脳に因果関係があるのではないかと推測し、上司に報告しました。
私のレポートはすぐに厚労省、国にもたらされたのですが、国から出てきたのは、この件には一切関与するな
でした。」
「えっ」
「つまり、黙殺せよということです。
一応四十年の猶予があるという事まではわかっているのです。
その間に改善策を見つけろというものです。
私が報告したケースについてはあくまでも偶然に過ぎない。
そう結論づけられたのです。」
「そんな…酷い…」
「勿論、私自身も納得出来ず、自分なりに原因の特定と打開策を講じようとしましたが、謎が多すぎて、遅々として進みませんでした。
やはり、被験者達の協力がいると考えた私は、例の五人に接触する事を独断で決めました。
それと、この薬による副作用の忠告もしたかったので。」
「なるほど」
「私は、まず一人目の被験者である佐久間美香さんにお会いして、正直に薬の副作用によりマウスが死んだ事、交尾をしたマウスがさらに早くに死んだ事を告げました。
その上で、我々の研究に協力していただくようにお願いしました。
ですが、佐久間さんは私の話を聞いて取り乱されました。
女性に性転換されてから、男性のパートナーも出来、何度もセックスをされていたようなので。
いつ死んでしまうかわからない恐怖に駆られ、彼女は、協力をするどころか、私からの連絡に一切反応しなくなりました。
仕方なく、二人目の被験者への接触を試みたのですが…」
その結末は、ワタシ達も知っている。
「番い?
どういう事ですか」
吉岡先生は当然の如く、堀口さんに質問した。
「はい。
我々は様々な条件下に置いたマウスを観察していましたが、死ぬタイミングはだいたい皆同じでした。
しかし、オスからメスに性転換させたマウスを、オスのマウスと一緒にゲージに入れていたグループについては、全てにおいて、単独でゲージにいるマウスよりもかなり早く死んでしまったのです。」
「それって、何を意味しているのですか?」
「それらのマウスは全て、オスのマウスと交尾を行ったんです。
あくまでも私が立てた仮説ですが、死期が早まったのは、交尾にあるのではないかということです。」
「交尾?」
「ええ。
先ほども申しましたように、この薬による性転換は、脳の視床下部に刺激を与えます。
つまり、脳のコントロールが重要なのですが、交尾や、人間でいうところのセックスもまた、性欲、性衝動、性感など、全ては脳の働きによるものです。
私は死が早まった原因は、脳に因果関係があるのではないかと推測し、上司に報告しました。
私のレポートはすぐに厚労省、国にもたらされたのですが、国から出てきたのは、この件には一切関与するな
でした。」
「えっ」
「つまり、黙殺せよということです。
一応四十年の猶予があるという事まではわかっているのです。
その間に改善策を見つけろというものです。
私が報告したケースについてはあくまでも偶然に過ぎない。
そう結論づけられたのです。」
「そんな…酷い…」
「勿論、私自身も納得出来ず、自分なりに原因の特定と打開策を講じようとしましたが、謎が多すぎて、遅々として進みませんでした。
やはり、被験者達の協力がいると考えた私は、例の五人に接触する事を独断で決めました。
それと、この薬による副作用の忠告もしたかったので。」
「なるほど」
「私は、まず一人目の被験者である佐久間美香さんにお会いして、正直に薬の副作用によりマウスが死んだ事、交尾をしたマウスがさらに早くに死んだ事を告げました。
その上で、我々の研究に協力していただくようにお願いしました。
ですが、佐久間さんは私の話を聞いて取り乱されました。
女性に性転換されてから、男性のパートナーも出来、何度もセックスをされていたようなので。
いつ死んでしまうかわからない恐怖に駆られ、彼女は、協力をするどころか、私からの連絡に一切反応しなくなりました。
仕方なく、二人目の被験者への接触を試みたのですが…」
その結末は、ワタシ達も知っている。
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