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ファイン製薬潜入編
仮説
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吉岡先生の話を元に、ワタシも自分なりの仮説を立ててみた。
性転換実験後に、ファイン製薬は、薬の或る欠陥に気付いた。
それは、計画自体を白紙に戻すほどのインパクトのある出来事で、もう失敗が許されない状況のファイン製薬は頭を悩ませていた。
欠陥が出たのは、最初の妊娠出来なかった五人だけなのか
それとも、ワタシ達二期生も含まれるのか、吉岡先生もなのかはわからない。
少なくとも、最初の五人は間違いなく対象者であろう。
ここからはワタシの立てた仮説だ。
あるとき、ファイン製薬は性転換薬に不備がある事に気付いてしまう。
それが今の段階では何であるかはわからないが、相当深刻な問題が起きたと考えるのが妥当だと思う。
ファイン製薬の堀口は、センター内にいるワタシ達とは接触しにくいので諦め、既に社会生活を送る五人との接触を試み、一人目の佐久間美香との対面を果たす。
堀口は、クスリの欠陥について正直に話したのかは不明だけど、もし、ちゃんと説明したとすれば…
佐久間さんがその話の内容にショックを受けて、自らの命を…
ってこともあり得る。
次に話を聞いた杉原小春って人も、失踪して行方がわからない。
これもショックを受けての事ではないのか?
だとすれば、性転換薬の欠陥とは、命に関わる事なんじゃないだろうか。
つまり、ファイン製薬の性転換薬で性転換すると、何年か後に体の中で突然、異変が起きて死に至らしめるとすれば…
だいたいの辻褄が合ってくる。
もし、ワタシや吉岡先生も対象者だとすれば、性転換から死に至るまでの期間はどれくらいになるのか。
たしか、吉岡先生が性転換したのは約十年前なので、十年から十五年といったところか。
対象者が例の五人だけだった場合、もっと早くに異変が起きるかもしれない。二年とか三年で。
自分が二年後に死ぬとなったら冷静でいられるだろうか?
ワタシは多分ムリだ。
自ら死のうとはしないと思うけど、自暴自棄になるかもしれない。
ファイン製薬は今、相当焦っているに違いない。
彼らは、性転換者の体に起きると予測される異変のメカニズムを解明し、速やかに解決させること。
プロジェクトを成功させるためにも、出来るだけ速やかに、そして、極秘裏に行わなければならない。
だが、佐久間美香が死んだ事と杉原小春が失踪した事により、週刊誌に嗅ぎつかれてしまった…
三人目以降に接触出来ない中、ワタシと吉岡先生がファイン製薬に来るという話が舞い込んできたのだ。
向こうにとっては、千載一遇のチャンスだと捉えているに違いない。
ワタシの仮説が当たっているのか、ただの妄想に過ぎないのかは、明日になればわかること。
性転換実験後に、ファイン製薬は、薬の或る欠陥に気付いた。
それは、計画自体を白紙に戻すほどのインパクトのある出来事で、もう失敗が許されない状況のファイン製薬は頭を悩ませていた。
欠陥が出たのは、最初の妊娠出来なかった五人だけなのか
それとも、ワタシ達二期生も含まれるのか、吉岡先生もなのかはわからない。
少なくとも、最初の五人は間違いなく対象者であろう。
ここからはワタシの立てた仮説だ。
あるとき、ファイン製薬は性転換薬に不備がある事に気付いてしまう。
それが今の段階では何であるかはわからないが、相当深刻な問題が起きたと考えるのが妥当だと思う。
ファイン製薬の堀口は、センター内にいるワタシ達とは接触しにくいので諦め、既に社会生活を送る五人との接触を試み、一人目の佐久間美香との対面を果たす。
堀口は、クスリの欠陥について正直に話したのかは不明だけど、もし、ちゃんと説明したとすれば…
佐久間さんがその話の内容にショックを受けて、自らの命を…
ってこともあり得る。
次に話を聞いた杉原小春って人も、失踪して行方がわからない。
これもショックを受けての事ではないのか?
だとすれば、性転換薬の欠陥とは、命に関わる事なんじゃないだろうか。
つまり、ファイン製薬の性転換薬で性転換すると、何年か後に体の中で突然、異変が起きて死に至らしめるとすれば…
だいたいの辻褄が合ってくる。
もし、ワタシや吉岡先生も対象者だとすれば、性転換から死に至るまでの期間はどれくらいになるのか。
たしか、吉岡先生が性転換したのは約十年前なので、十年から十五年といったところか。
対象者が例の五人だけだった場合、もっと早くに異変が起きるかもしれない。二年とか三年で。
自分が二年後に死ぬとなったら冷静でいられるだろうか?
ワタシは多分ムリだ。
自ら死のうとはしないと思うけど、自暴自棄になるかもしれない。
ファイン製薬は今、相当焦っているに違いない。
彼らは、性転換者の体に起きると予測される異変のメカニズムを解明し、速やかに解決させること。
プロジェクトを成功させるためにも、出来るだけ速やかに、そして、極秘裏に行わなければならない。
だが、佐久間美香が死んだ事と杉原小春が失踪した事により、週刊誌に嗅ぎつかれてしまった…
三人目以降に接触出来ない中、ワタシと吉岡先生がファイン製薬に来るという話が舞い込んできたのだ。
向こうにとっては、千載一遇のチャンスだと捉えているに違いない。
ワタシの仮説が当たっているのか、ただの妄想に過ぎないのかは、明日になればわかること。
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