新 或る実験の記録

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ファイン製薬潜入編

不都合な真実

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「じゃあ、私は帰るわ。

あんまりムリしないようにね」


青木さんは、ワタシ達にそう言い残して去っていった。


吉岡先生とワタシがファイン製薬に行くのは明日から。
そういうことで、今日は一旦帰る事にした。

帰りの車の中で、ワタシは吉岡先生に質問した。


「先生、さっきおっしゃっていたワタシ達の体の秘密って何ですか?

セックスで感じやすい事ですか?」

吉岡先生は少し笑みを浮かべて、チラッとこちらに視線を向けた。


「そうじゃないの。

これはあくまでもワタシの仮説だから軽く聞き流してくれていいからね。」


「はい」



「この性転換薬が開発された経緯は乃亜ちゃんも知っての通りなんだけど、ワタシがプロトタイプ、例の五人が改良型I型

そして、乃亜ちゃん達がさらなる改良をされたII型。」


「ええ。それは知っていますけど。」


「ワタシ、この事をずっと考えていたの。
たとえばの話だけど、ワタシのプロトタイプ、改良型Iの五人、改良型IIの乃亜ちゃん達十人と実験を重ねる中で、薬に対して不備があることがわかった。

それに気付いたのはファイン製薬側。

ファイン製薬は、既に一般社会に紛れ込んで生活している五人が、一番危険だと判断し、接触を試みた。」


「なるほど。
それが堀口って人ですね。」


「そう。
でも、一人が死に、もう一人が失踪しているという事について、ワタシは説得力のある仮説を立てられないの。」


「えっ」


「いくら何でも、この現代の日本において、口封じで殺したり、拉致したりなんて事が本当に起きるのだろうか?
ひょっとしたら、乃亜ちゃんのときのように外国の組織が絡んでいたり、競合他社による妨害が為されているとも考えられる。」


「あり得ますね。
でも、それだったら堀口って人が接触を図ったっていうのは、どう説明します?」


「そうね。
そこがワタシにもわからないの。
先ずはファイン製薬に入り込んで、堀口に接触して、真相を聞き出す。
そして、もう一つはその不備について…
向こうにとって、不都合な事実が一体何であるかを調べてみないと。」


「わかりました。
ワタシも少しでもお役に立てるように頑張ります。」

なんか、ヤバそうな感じがしてきた…
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