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失踪者調査班編
派閥
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青木さんと吉岡先生の話が白熱してきた。
「拉致事件と老齢人口削減計画が明るみに出て、フ政府関係者は勿論、プロジェクトの中心の企業であったファイン製薬もその責任を問われ、社長の中野は逮捕されると共に退任を余儀なくされた。」
「それは勿論知ってるわ。
その後、事件とは無関係とされた、研究畑出身の森下が社長に就任。
現在に至る。」
「そうよ。
森下は、中野の逮捕によって停滞していた薬の研究を急ピッチで進め、僅か10年足らずのうちに実用化に成功させたのよ。」
「でも…」
「その薬には不備があった。
正確に言うと、不備がある事に今になって気付いた…
と、表現した方がわかりやすいわね。
ただ、今さら不備がありましたとは言えない状況にあり、森下は国側に接触し、秘密裏に問題解決を図った。」
「なるほど」
「もう一つの説は、この事件の裏で旧経営陣とその息のかかった人間が結託し、わざと不備が出るように仕向けた。」
「中野が指示して
ってこと?」
「そうよ。
あの男なら十分に考えられるわ。」
「で、ワタシと乃亜ちゃんは、どうすれば…」
「ファイン製薬内において、最初の被験者五名に接触した者がいる…
つまり、良心の呵責に耐えられずに、独断で行なった者がいると考えてもいいはず。
奈緒と乃亜ちゃんは、ファイン製薬に協力するフリをしながら、その良心の呵責に耐えられなくなった男に接触して。」
「堀口大輝…」
「そうね。
あの男に必ず接触して。
そして、情報を聞き出すのよ。
いいわね。」
「わかったわ。
かなりハードルが高いけど、やるしかないわね。」
「奈緒…」
「えっ?」
「この事件の真相を探り、そして解決を図るということは、あなたや乃亜ちゃんの未来にも関わってくる…
だから、何が何でも情報を得るのよ。」
「どういう事?」
「いえ、何でもないわ。
私もいい歳になってきたしね、やたらと心配性になってきたのよ。
別に他意はないわ。」
青木さんは、そう言って笑った。
でも、なんとなく…
雰囲気が違うというか…
まあ、そんな事は考えなくていいか。
ワタシ達はファイン製薬に入り込み、情報をこの手に掴む。ただそれだけの事だ。
「拉致事件と老齢人口削減計画が明るみに出て、フ政府関係者は勿論、プロジェクトの中心の企業であったファイン製薬もその責任を問われ、社長の中野は逮捕されると共に退任を余儀なくされた。」
「それは勿論知ってるわ。
その後、事件とは無関係とされた、研究畑出身の森下が社長に就任。
現在に至る。」
「そうよ。
森下は、中野の逮捕によって停滞していた薬の研究を急ピッチで進め、僅か10年足らずのうちに実用化に成功させたのよ。」
「でも…」
「その薬には不備があった。
正確に言うと、不備がある事に今になって気付いた…
と、表現した方がわかりやすいわね。
ただ、今さら不備がありましたとは言えない状況にあり、森下は国側に接触し、秘密裏に問題解決を図った。」
「なるほど」
「もう一つの説は、この事件の裏で旧経営陣とその息のかかった人間が結託し、わざと不備が出るように仕向けた。」
「中野が指示して
ってこと?」
「そうよ。
あの男なら十分に考えられるわ。」
「で、ワタシと乃亜ちゃんは、どうすれば…」
「ファイン製薬内において、最初の被験者五名に接触した者がいる…
つまり、良心の呵責に耐えられずに、独断で行なった者がいると考えてもいいはず。
奈緒と乃亜ちゃんは、ファイン製薬に協力するフリをしながら、その良心の呵責に耐えられなくなった男に接触して。」
「堀口大輝…」
「そうね。
あの男に必ず接触して。
そして、情報を聞き出すのよ。
いいわね。」
「わかったわ。
かなりハードルが高いけど、やるしかないわね。」
「奈緒…」
「えっ?」
「この事件の真相を探り、そして解決を図るということは、あなたや乃亜ちゃんの未来にも関わってくる…
だから、何が何でも情報を得るのよ。」
「どういう事?」
「いえ、何でもないわ。
私もいい歳になってきたしね、やたらと心配性になってきたのよ。
別に他意はないわ。」
青木さんは、そう言って笑った。
でも、なんとなく…
雰囲気が違うというか…
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