新 或る実験の記録

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失踪者調査班編

仕切り直し

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ワタシは吉岡先生の家に泊めてもらう事となり、高山さんと三人で帰宅した。


実家のないワタシにとって、この家は今一番落ち着く場所だ。


「お姉ちゃん、遊ぼうよ」

みいちゃんとお部屋で話をしたり、好きなアニメのグッズを見せてもらいながら食後のひとときをすごしたんだけど…

みいちゃんの好きなアニメって、やっぱり女の子向けのやつなんだよね…

見た目も心の中も完全に女の子だし、やっぱり性転換薬の影響なのかなあ…
それと、今回の事件て、何か関連があったりして…
今は何もわかんないけど、そのうち少しずつわかってくることもあるだろう。


「みいちゃん。
早くお風呂に入りなさい。」


吉岡先生が部屋に来てみいちゃんに声をかけた。


「はーい
じゃあママと入る」

甘えたさんなのに、いつもママと離れ離れで暮らすみいちゃんは、吉岡先生に抱きついた。


「うん。入ろっか」


吉岡先生もニコッと笑い、みいちゃんと手を繋いで部屋を出ていった。


何か良い光景だなあ。

ワタシもいつか子供を産んで、こういう感じになれたらいいんだけど。

旦那さんは涼音か…

そこに関しては全く想像出来ないよ。
あの美人で優しい涼音が男になってワタシの前に現れるなんて…

でも、男になってんだよなあ、今はもう。


なんて考えてたら、ノックする音が聞こえ、そして扉が開いた。

「少し、いいかな」

高山さんだった。


「あ、はい。」

ワタシは少し背筋を伸ばして、高山さんを迎え入れた。


高山さんは、部屋にあった椅子に腰掛け、ベッドに腰を下ろしていたワタシと対面の位置となった。


「今日はご苦労様」


「あ、いえ、ワタシは何もお役に立てなくて、ただの空気でしたから。」


「いやいや、そんな事はないよ。
キミは今回の件で、最も重要なファクターだよ。」


「えっ」 


「多分、これからキミはファイン製薬の研究棟の連中と直に接触する事になる。」


「はい。青木さんもそうおっしゃってましたね。」


「私も例の事件の前はファイン製薬への出入りも自由にさせてもらっててね。
自身の研究の成果を出すのに大いにプラスになったよ。
だが、あれだけの大きな事件の当事者の一人としてら訴追され、今は近づく事さえ許されていない。」


「そうなんですね。」


「ああ。
まあ、それは仕方ない事さ。

で、キミに頼みがあるんだ。」

「頼み?」


「そうだ。

今から私が話す事を、ファイン製薬の中に入った時に行なってほしい。」

高山さんは、そう言うと、ワタシに顔を近づけてきた。
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