新 或る実験の記録

フロイライン

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始動×指導

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「あなたもだと思うけど、ここに来たのはお金の為。
これからの人生を割り切って生きるしかないわね。

相部屋でプライバシーの面では不満があるかもだけど、この部屋は見たところ豪華な作りだし、普通に生活するには問題ないわね。」

直人は部屋を色々物色しながら言った。

「はい。
一人だと色々不安に思うこともあるし、ワタシは逆に相部屋でよかったって思います。」


「そうね。
ワタシ達は同じ境遇の同士なんだし、仲良くやっていきましょ。」

「はい。よろしくお願いします。」

ワタシは直人に頭を下げた。



その後、直人とワタシは食堂に行き、夕食を食べたんだけど、そこで他のみんなとも話す機会があって、食後はコーヒーを飲みながら一時間ほどおしゃべりをした。
みんな声が甲高いから、周りから見たらかなりうるさかったと思う。


十人の中で最年長の重岡って人が、自然にリーダーの役割をするようになり、今後のセンターでの生活において、ワタシ達を引っ張っていく事になった。


「性転換は無事に終わったけど、これからどうなっていくんだろ…」

滝野っていう人が不安そうに呟くと、重岡さんは頷き、話を始めた。


「ワタシもそこまで詳しくは知らないけど、センターからの説明とか、ネットの情報とを合わせ見ると、先ずは体力回復。
これは、急激に落ち込んだ筋力を回復させるために運動をみっちりやらされると思う。
それ以外の時間は、女として生きていくための最低限の知識であったり常識、技術なんかを仕込まれていく…
今は化粧一つ、自分では出来ないんだからね、ワタシ達は。
多分、これだけでだいたい一年近くかかると言われてる。

全てのカリキュラムを終えたら、いよいよ男性との結婚、出産になるんだけど、その男性っていうのがどういう形で選ばれるのか、お見合いみたいな感じになるのかは、ワタシも知らない。

一つ言えるのは、ワタシ達は性転換プロジェクトの第一号の被験者であり、一日でも早く、そして全員が確実に結果を残さなくてはならない。

これは国を含めてこのプロジェクトに関わる人全員の総意よ。」


「責任重大ですね。」

直人が言うと、重岡さんは深く頷いた。


話は尽きなかったが、吉岡センター長がワタシ達のところに現れて

「みんな、お話が盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、みんなは性転換したばかりで、体の状態も不安定だから、早くお部屋に戻ってゆっくり休んでね。」

と、皆に部屋に戻るよう促してきた。


ワタシ達は頷いて立ち上がり、それぞれの部屋に帰っていった。
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